【ペットの肥満】先生、うちの子って太ってますか?セルフチェックの方法解説!

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やってます。動物病院で勤務しているとき、診察ついでに聞かれた質問で多かったのがこれ!

先生、うちの子って太ってますか?

診察で体重をはかるからかもしれませんが、やっぱり気になりますよね。お散歩中まわりの子と比べてうちの子太ってる?それとも痩せすぎ??どこをチェックしたらいいの???

最近はペットたちの肥満が増えてきてます。ぽっちゃりもかわいいのですが、健康に長生きするにはやはり肥満には気をつけなければいけません。人もメタボは注意されますよね。

わんちゃんや猫ちゃんの体型に関して、おうちでもできるセルフチェックを含めて解説していきます!

肥満が増える原因って?

カロリーの需要と供給のバランス

人も同じですが、それぞれエネルギーの消費量は違います。それは年齢、種類、運動量、筋肉量などによって変わります。

同じチワワで同じごはんを同じ量食べてても体型が違うということが起こり得ます。

もちろん必要なエネルギー量以上に食べてれば、どんどん太ります。ぽっちゃりの子はカロリー過剰のことがほとんどです。

太り続ける負のスパイラル

人と違って動物たちは自分の体型を気にすることはありません。食欲に正直に、食べたいだけ食べているとぽっちゃりまっしぐらです。

一度太ってしまうと減量がとても大変なんです。ごはんやおやつを減らせばおねだりが激しくなり、運動をさせようとしても身体が重くて億劫、ぜんぜん動かない。するとまた太っていく。この繰り返しになり、苦労している飼い主さんが本当に多いです。

太ってから痩せるのは大変なので、基本的には「太らないように」しなくてはいけません。

誘惑がいっぱいでダイエット断念

さらにダイエットには飼い主さんの強い意志が不可欠です。

買い物に行けば、美味しそうなペット用のおやつがずらりと並んでいます。「これ、うちの子喜んで食べるだろうなぁ」ついつい手が伸びてしまいます。

わんちゃんはお散歩に行けばお散歩友達からおやつのお裾分けがあるかもしれません。

ご飯どきにはテーブルのしたから熱烈な「ちょっとちょうだい」アピールがあるかもしれません。

これらの誘惑を克服しないといけない‥しかもそれは家族全員でやらないと意味が無いのです。これがなかなか難易度が高いです。

一生懸命減量してるのになかなか減らない場合、家族の誰かがこっそりおやつをあげてることが多いです。おねだりについ負けてしまうんですね。

肥満だと起こる怖いこと

まあぽっちゃりもかわいいから!

そうよね、痩せないと!一緒にダイエットしなきゃ笑笑

たかが肥満。されど肥満。笑っていられないかもしれません。肥満は万病のモトです。実はとっても怖いのです!

内臓機能にトラブル

  • 寿命が短くなる
  • 糖尿病や膵炎のリスクが上がる
  • 心疾患、呼吸器疾患の悪化
  • シュウ酸カルシウム結石ができやすくなる

肥満によって内臓のまわりに脂肪がつくと臓器の働きをおさえてしまいます。糖尿病や膵炎のリスクがあがり、長期的に治療が必要になることもあります。

体重が増えることで心臓や肺にも負担になります。血管障害なども起こってきます。のどの周りの脂肪が増えることで呼吸がしづらくなります。気管虚脱という、気管軟骨が弱い子や、短頭種と呼ばれるパグやフレンチブルドッグなどは肥満により呼吸困難を起こすこともあります。

また尿路に結石ができやすくなるという報告もあります。石ができてしまうと膀胱炎や血尿を繰り返したり、詰まってしまうと重篤な状態にもなりかねません。

※心臓病の子は少しぽっちゃりの方が平均余命が長いという報告があります。程度によって、病状によって違うので、減量をする際には獣医師に相談しましょう。

関節や背骨にトラブル

必要以上に体重が増えてしまうと、それを支える関節や背骨に負荷がかかります。関節の炎症が繰り返し起こることで、ずっと痛みを抱えて過ごさなければいけません。さらに痛いので動きたがらず、消費カロリーは落ちてさらに太りやすくなります。

うちの子って肥満なの??

結局体重をはかってもそれが適正なのかわかりませんよね。特にわんちゃんは品種によって大きさもまちまち。同じトイプードルでも2キロの子もいれば5キロを超える大柄な子も。標準体重と言われても当てになりません。

定期的に体重測定

まずは現状を知るということで、定期的に体重をはかりましょう。わんちゃんならお散歩がてら動物病院の待合室の体重計を借りてもいいですね。

猫ちゃんや小型犬なら自宅で抱っこして体重計に乗り、測定値から自分の体重を引けばその子の体重になります。

可能であれば2週間から1ヶ月に1回くらいのペースではかってみましょう。増えてても減ってても、体重の変化があるようなら何が原因か考えてみましょう。

BCS(ボディコンディションスコア)って知ってる?

わんちゃんや猫ちゃんの体型のスコアです。もしかしたら、動物病院などで見かけたことがあるかもしれません。

これによって痩せすぎから適正な体型、肥満までどこに当たるかを知ることができます。

出典:ROYALCANIN犬と猫の栄養成分辞典

この通り、9段階で(5段階で見るやり方もあります)4〜5が適正な体型とされています。迷ったら動物病院で診察時に獣医師に聞いてみましょう。そこを基準としてどう変化していくかをチェックします。

おうちで触ってわかるBCS

ではおうちでもっと簡単に出来る方法を紹介しましょう。

それは触ること。

いつも触ってるよーってお思いの方!意識して触るのとでは違うのです。体型変化を見るという目的で触っていきましょう。

  1. わんちゃんや猫ちゃんの後ろから背中側をさわっていく
  2. 両側の脇腹を触る
  3. お腹の背中側から下腹部を触る

このとき、適正体型の場合は以下のポイントをクリアしています。

  • 肋骨(あばら)の上に薄くお肉がついて、触ると骨が分かる
  • 上から見た時ウエストに軽くくびれがある

あばらがゴツゴツ触れて浮いているようでは痩せすぎ、お肉がついてあばらが触れないようなら太り過ぎになります。毛が長くてモコモコの子は外見からは分かりづらいので、しっかり触ってあげましょう。

※あばらが浮いてるのにお腹だけがぽっこりしている場合は要注意です。腹水やお腹の中に何かできものがある可能性があります。受診してしっかりと診てもらいましょう。

まとめ

おうちの子が太っているかどうかはなかなか毎日見ていると分かりづらいです。定期的な体重測定とセルフチェックで管理していきましょう。過剰な肥満は寿命を縮めてしまう「病気」です。動物病院で相談しながら減量しましょう。

  • ペットの肥満は増えている
  • 一度太ってしまうと減量はとても難しい
  • 肥満により寿命が短くなる
  • 肥満により心臓や呼吸器疾患が悪化したり、糖尿病などのリスクがある
  • 関節や背骨にも負担がかかる
  • 体型の評価にBCS(ボディコンディションスコア)というものがある
  • 自宅でできるチェックは肋骨(あばら)が触れるか、くびれがあるかどうか

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