【犬の栄養】亜鉛って犬にも必要?亜鉛サプリのおすすめは?

療法食、サプリメント

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。実際に動物たちを診る臨床現場から離れて、現在は動物たちの栄養を研究しています。

人もそうですが、動物たちも「食べる」ことはとても大切です。東洋医学には医食同源という言葉がありますが、まさにそれだと個人的には思っています。

今回は「亜鉛」についてのお話。

亜鉛ってよく聞くけど実際に何に効果があるの?

亜鉛は体の機能の調節に大きな役割を果たしています。体の調子を整えてくれるほか、不足をすると毛や皮膚に症状が出てくることもあります。皮膚や毛を新しく作り出すためには亜鉛がとっても重要。

皮膚や毛にお悩みのわんちゃん、実は隠れた亜鉛不足かも??手作り食だったり、また栄養バランスが取れた総合栄養食を食べていても亜鉛が不足する場合もあるんです。その原因と動物病院で使っている亜鉛サプリを紹介していきます。

亜鉛って??

亜鉛って人のサプリでも良く聞くかと思いますが、どんな働きをしているのでしょうか?

身体のさまざまな働きは酵素反応が担っています。亜鉛はその働きを助ける補酵素として働きます。

イメージとしては歯車をまわすための部品といったところでしょうか。身体の機能の調節にとっても大事。

全身の健康、新陳代謝に関わるので、微量ながら必須のミネラルなんです。

亜鉛欠乏症ってわんちゃんいるの?

亜鉛欠乏なんて昔の話でしょ!今はフードも良くなっているから亜鉛欠乏なんていないよ!

獣医師の中でもそんなご意見の先生もいらっしゃいます。でも、たとえフードが良くても亜鉛が足りなくなることがあるんです。以下で詳しく紹介していきます。

フードの亜鉛が足りない

まず、総合栄養食の基準に亜鉛もふくまれています。以前、ペットフードの基準があまりはっきりしていなかった頃は、格安のフードに亜鉛が足りていなかったため、皮ふがただれたり、肉球がガサガサになったりすることがあったそうです。ジェネリックペットフード症候群と呼ばれたりしていました。

現在はフードの質も良くなって、あまり見かけなくなったそうですが、あまりにも価格が安すぎるフードは注意をしましょう。亜鉛に限らず、何らかの栄養が足りない、または過剰なことがあります。

もし、あるとしたら手作りご飯を食べているわんちゃんは可能性があります。亜鉛を多く含む食材は牡蠣、牛肉などですが、足りなくなってしまうこともあります。

亜鉛をうまく吸収できない

また、フードには十分亜鉛が含まれているのに、ワンちゃん側の原因で不足することもあります。腸管からの亜鉛の吸収がうまくできない場合、せっかく亜鉛を摂取しても身体に取り込めず亜鉛不足の症状が出てくることがあります。

遺伝的にシベリアンハスキーやアラスカンマラミュートなど北方系の犬に多いとされています。

亜鉛は足りてるけど喪失量が多い

亜鉛の摂取量も吸収も問題ないけど、喪失量が多い場合もあります。

アトピー性皮膚炎や皮膚病などでフケがぼろぼろと出る場合、亜鉛も一緒に剥がれ落ちてどんどん無くなっていきます。なぜなら身体の亜鉛の70%は皮膚に存在しているからです。

身体は無くなった皮膚を再生しようとしますが、そこに亜鉛がたくさん必要になってきます。そうなると通常の摂取量だと足りなくなってしまいます。

また、毛にも多く亜鉛が含まれるので換毛の時期は亜鉛を補充してあげることがおすすめです。特に柴犬さんは年に2回、かなりな量の毛が抜けます。新しい毛を作るためにはたくさんの亜鉛が必要になりますので、亜鉛サプリの使用がおすすめです。

総合栄養食を食べてたら大丈夫じゃないの?

ドッグフードは総合栄養食と表記されていれば、「これだけ食べてたら必要な栄養はまかなえるよー」というフードです。もちろんしっかり亜鉛が含まれています。

米国のペットフード基準であるAAFCOによると成犬で、80mg/フード1kg以上となっています。この”以上”というのがまた微妙な表現で、例えば100mgでも300mgでも基準はクリアしています。

このことから、フードによっても含まれている亜鉛の量が違う可能性があります。その上で、上記にある通り、わんちゃんによって必要な亜鉛の量が異なるので、潜在的な亜鉛不足が起こる可能性があります。

獣医師がおすすめする亜鉛サプリ

皮膚や毛がなんか艶がない、皮膚炎を繰り返す、フケが多い…なんてことがあったらもしかしたら亜鉛不足かも。でもいくら亜鉛が健康にいいとはいえ、過剰摂取は禁物です。過剰になると亜鉛中毒を起こし、重度の貧血になったという報告があります。(亜鉛を含む硬貨などの誤食による事例)

動物病院で相談して、亜鉛サプリを始めてみるのもいいかもしれません。動物病院でよく使う亜鉛サプリメントを紹介します。

ダーマザイムジンク

こちらは亜鉛と共に皮膚のコンディションを整えるビオチンが配合されています。皮膚にはいいのですが、少し粒が大きいことと、味があまり好まれないことがあるのが難点です。

【内容量】50粒/箱 
【成分(1粒)】 ●亜鉛:18mg、L-メチオニン:26mg、ビオチン:11mg、ビール酵母:200mg、ビタミンA:1,780IU
【給与目安】下記の目安量を3週間与え続けてください。 ※改善が見られない場合は、給与量を2倍にしてください。
●体重8kgあたり1日1粒

ダーマクト

味で言えば、こちらのダーマクトの方がかまぼこ風味で美味しくできています。ビオチンやオメガ3脂肪酸も含まれていて、こちらも皮膚にはとてもいい成分が配合されて皮膚の総合サプリといったテイストです。ただ亜鉛の含有量が不明なので亜鉛補充という点では不足する可能性もあることが難点です。

【内容量】100粒/1箱

【原材料名】月見草油、ボラージシード油、甘草抽出物(グリチルリチン含有)、マイタケ抽出物、ビタミンE、ビタミンC、亜鉛酵母、ビオチン、酵母エキス、魚類ペプチド、軽質無水
ケイ酸、γ-シクロデキストリン、クロルカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース

【用法・用量】1日あたり、下記の量を目安に1~2回に分けて与えて下さい。
●犬:
 5kg未満・・・・・・・・1粒
 5~20kg未満・・・・2粒
 20kg以上・・・・・・・3粒
●猫:1粒

まとめ

亜鉛は体の機能、皮膚や毛の健康にとても重要な役割を果たしています。総合栄養食を食べていても、わんちゃん側の理由で亜鉛が不足してしまうこともあるため注意が必要です。

  • 基準を満たさない、格安のペットフードでは亜鉛が不足していることもある
  • わんちゃんの腸管での亜鉛の吸収が悪くて不足することもある
  • フードも吸収も大丈夫だが、皮膚トラブルなどで亜鉛を喪失する場合はより多くの亜鉛を必要とする
  • 皮膚や毛にお悩みがあるわんちゃんは動物病院で相談しよう
  • 亜鉛は体にいいとはいえ、過剰摂取は禁物

コメント

タイトルとURLをコピーしました