ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。動物病院や一般企業での勤務経験から、飼い主さんや動物たち、動物病院で働く人たちに役立つ情報発信を心がけています。
おうちのわんちゃんや猫ちゃんは家族も同然、とても大切な存在です。さらに言葉が話せないので、その健康状態はやはり気になりますよね。
日々の健康チェックが病気の早期発見、治療に繋がることもたくさんあります。いろいろとチェックするところはたくさんあるのですが、今回はおしっこのチェックのポイントについて解説したいと思います。
わんちゃん猫ちゃんのおしっこの量や回数把握してますか?
これ、診察の際に聞くとびっくりされる方がいます。えっそんなこと聞かれるの?と思われるかもしれませんが、実は大事なことなんです。
今回はわんちゃん猫ちゃんのおしっこの量や回数について解説していきたいと思います。
排泄には健康状態を知る上での情報がたくさんあります。ぜひ、今回の記事が日頃からの健康管理の参考になれば嬉しいです。
排泄チェックは健康チェック
うんちやおしっこなど毎日の排泄の状態は、健康状態を知る上でとても重要な情報になります。診察の問診でも必ず聞くようにしていました。
尿は身体を循環する血液から腎臓でつくられ、尿管を通り膀胱に溜められます。そして尿道を通って排泄されることになります。
尿ひとつとっても、腎臓や膀胱のトラブルの他、ホルモンの異常や循環の状態、水分が足りてるかなどさまざまなことが分かります。
ぜひ毎日チェックをしてみましょう。
排尿回数ってどれくらいが正常?
大まかにわんちゃん、猫ちゃんの排尿回数は1日に3〜5回程度です。猫ちゃんで水をあまり飲まない子であれば2回程度かもしれません。
ただ、この回数は年齢や季節によっても変わります。また小さな子犬や子猫の場合は膀胱の大きさが十分ではないため、長時間尿を溜めておくことができません。7〜8回程度の排尿でも正常です。また、高齢になって来ると膀胱周囲の筋肉が弱ってきて排尿回数が増える傾向にあります。
季節によっても。夏はたくさん水を飲むのでその分排尿の回数、量共に増えます。逆に冬は寒くてあまり水を飲まなくなるため回数も量も減る傾向にあります。
ではどうやって正常か、異常かを飼い主さんが判断すればいいでしょうか?
それは継続していつもより極端に多い、または少ない場合は要注意!ということです。単発ならお水の飲み具合などで変わりますが、それがずっと続くとなると異常な場合があります。
排尿の量ってどれくらい?
ドライフードを食べているわんちゃんでは1日の飲水量は体重1kgあたり20〜90ml 、尿量は体重1kgあたり20〜45ml が正常だと言われています。ちなみにウェットフードを食べていると、あまり水を飲んでいなくても水分が摂れていることもあります。
体重5kgとすると、1日に100〜450mlのお水を飲み、おしっこが100〜225ml程度が通常と計算されます。
ちなみに1日の飲水量が体重1kgあたり100mlを超え、尿量が体重1kgあたり60mlを超えてくると病気などが懸念される、多飲多尿と言われる状態です。先程の例だと、体重5kgのわんちゃんが1日に500mlのペットボトル1本以上のお水を飲む計算になります。かなりな量ですね。
この多飲多尿が疑わしいとなると、獣医師から
毎日の飲水量と尿量を測ってみてください。
と、軽く言われることが多いです。私も言ってました。飼い主さんはまず戸惑います。
どうやって???
お水のお皿の重量を測ったり、排尿済みのペットシーツの重さを測ったりすることでだいたいの量を推測することができます。以下の投稿で詳しく解説しています。
konporopan.com/how-much-cats-dogs-drink-water/
一方で、排尿回数はペットシーツのシミや猫砂の塊などから大体の回数が分かりますね。たとえ飼い主さんが仕事などで留守をしていても後からチェックすることもできます。
また、最近はシステムトイレが回数などを記録してくれる優れものもあります。忙しくてなかなか見てあげられないけど、健康管理はしっかりしたい!という方におすすめです。
猫様の体重や排泄情報をかんたん記録【Catlog Board】排尿回数が少ない場合って?
排尿回数が少ない場合は以下のことが考えられます。1日以上排尿がない場合は緊急性があるケースも。排尿が少なすぎる時は速やかに動物病院へ相談しましょう。
尿を作る量が少ない
尿は全身を循環する血液から腎臓で作られます。なので重度の脱水や循環が悪い状態だと尿はあまり作られません。すると膀胱に溜まる量も少ないので、必然的に排尿の回数も減り、量も減る傾向があります。
また、急激に腎臓にダメージを受けた場合にも尿を作ることができなくなることがあります。
尿は作っているが、物理的に出せない
尿は正常に作られているけれど、尿の通り道に何らかのトラブル、閉塞があり、尿が出せない場合があります。これは尿道閉塞といってかなり危ない状態です。
原因としては、尿石症、炎症、腫瘍などがあります。また、物理的な閉塞がなくても、排尿をするための神経がダメージをうけて排尿できないというケースも。1日もすれば膀胱はおしっこでパンパンになってしまいます。
排尿回数が多すぎる場合って?
排尿回数が多い場合も以下の2つのことが考えられます。
尿自体が多くなっている
身体で作る尿の量自体が多くなっている場合です。上記の通り、血液から尿は作られます。血液を濾して、必要な成分は再吸収して、いらない老廃物を排泄し、ぎゅっと濃縮して尿が出来ます。
この濃縮がうまくいかないと、身体に必要な水分まで尿と一緒に排泄されてしまいます。結果、薄い尿が大量に出ることになります。
いつもの猫砂やペットシーツから溢れたり、明らかに多い量のおしっこが続く場合は要注意。原因としては腎臓の機能低下やホルモンの病気、糖尿病などが考えられます。こういう場合は身体の水分が足りなくなるので、お水をがぶがぶ飲むようになることが、あわせて見られることが多いです。
尿量は変わらないが、排尿しようとする回数が多い
作られている尿量自体は変わらないけれど、それを出そうと何回も何回もトイレに行くケースです。原因としては膀胱炎や尿道炎などが多いです。
炎症のため、膀胱に尿を溜めておくことができず、少し溜まっただけでもちょこちょこトイレに行きたがります。
この時に注意して欲しいのが、ちゃんと少量ずつでも、ある程度の尿量が出ているかの確認です。上記の尿道閉塞の場合も何回もトイレに行きたがります。症状だけでは区別することは正直難しいケースもあります。尿が少しずつでもちゃんと出せているのか、出てなくて溜まってしまっているのか…不安な場合は獣医師に相談してみましょう。
まとめ
わんちゃんや猫ちゃんの排尿回数や量は、病気の発見のためにとても重要!
- 正常な排尿回数は1日に3〜5回
- フードや年齢、季節によっても変わってくる
- 異常かどうかは、極端に多いまたは少ないことが継続していること
- 1日以上尿が出てない時は速やかに動物病院へ
- 排尿が少ないと尿があまり作れていない、すなわち循環や腎臓にトラブルがあることも
- 排尿が極端に少ない場合、尿道閉塞のこともあり
- 排尿が多すぎる場合は、腎臓やホルモンの病気のこともあり
- 膀胱炎などでは量は少ないが何回もトイレに行くことがある
- 排尿回数や尿量の異常は、病気が隠れている可能性もあるため獣医師に相談しましょう
konporopan.com/how-to-check-yourpet-urine/
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