ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。動物病院で勤務していた頃、アレルギーのわんちゃんや猫ちゃんを多く経験しました。
診察をしていると、当たり前に思っていたことも、ちゃんと伝えないとなかなか難しいんだということを感じました。
「えっ!先生、アレルギーフードを食べてたら大丈夫なんじゃないの??」
「ちょっとだったら、おやつあげてもいいんでしょ?」
実はそうじゃない場合もあるんです。
実際の臨床現場で多く経験したわんちゃんのアレルギーに対する、よくある勘違い5選を紹介したいと思います。
今、なかなかアレルギーの治療がうまくいかないと思っている方へ、ひょっとしたらヒントがあるかもしれません!参考になれば嬉しいです。
アレルギーとは?
アレルギーというと、皮膚が赤くなったり痒みが出たりというイメージがありますが、実はそれだけではないんです。
その子によっては消化器に下痢や嘔吐などの症状が出ることもあります。また、人の花粉症と同じように涙が出たり、結膜炎、鼻汁やくしゃみなどの症状であらわれることもあります。
今回は動物病院でもよく見るアレルギー性皮膚炎の対応として解説していきます。
食べ物が関与するアレルギーと、花粉やハウスダストなど環境中のアレルゲンが関与するアレルギーがあります。どちらかだけの場合もありますが、併発していることも多いです。全体的に見ても食べ物が関与している可能性が高いということです。
飼い主さんなど人がコントロールできることは、まずは『食べ物』です。花粉などはいくら掃除を頑張っても100%防ぐことは難しいですよね。食べ物であれば変えることが可能なので、アレルギーが疑わしいとなるとまずごはんを変えるところから始まります。
なのでアレルギー、イコールアレルギー用療法食と思ってしまうことも多いですよね。
飼い主さんのよくある勘違い5選
①アレルギー用療法食を食べてるから大丈夫!
獣医師に言われたアレルギー対応の療法食を食べているから、食べ物からのアレルゲンは大丈夫!と思っていませんか?
実はその子が何の食べ物にアレルギーがあるか完全にチェックすることは難しいです。アレルギーの血液検査でも100%ではありません。
また、アレルギー用療法食は各社からさまざまなものが出ていますが、全ての子にアレルギーを起こさないものは現時点ではありません。何らかのアレルゲンを含んでいるんです。一般的なフードよりもアレルギーを起こしづらいというだけなんです。
食物アレルギーがあるかは除去食試験の後に暴露試験をしてチェックする必要があります。
②おやつは含まれません
「先生、アレルギー用の療法食を食べてるのに痒いのも、皮膚が赤いのも全然治りません!」
こういうパターンはいくつか理由がありますが、そのうちひとつの理由が「おやつ」です。
「今アレルギー用のごはんは何を食べてますか?」
「半年前から〇〇というフードを食べてます。」
「‥(もしかして)おやつは何を食べてますか?」
「ボーロと、クッキー、ジャーキーとか。あとたまに歯みがきガムあげてます。」
これ、本当によくある話なんです。おやつをやめたら症状がよくなることも。
なぜかアレルギーとは分かっていても、ごはんを変えているから大丈夫だからと、おやつは普通にあげてしまっている方が多いです。
アレルギーはひと口でもアレルゲンが体に入ると症状が出ることもあります。せっかくアレルギー対応の療法食を(しかも高い)食べているのに、おやつでいろいろなアレルゲンを摂取してしまってはもったいないです。
でもおやつをあげたい!というそこのあなたへ。アレルギーがあっても大丈夫なおやつもあります。獣医師に相談してみましょう。
③ほんの少しなら大丈夫
これも②と似ていますが、NGな理由は同じです。少しで症状が出ない場合ももちろんありますが、逆に症状が出てしまう場合もあります。
アレルギーの治療があまりうまくいかない、痒みなどの症状のぶり返しが多いようなケースでは、改めてご家族を含めて「何か他のものあげていないか、拾い食いしてないか?」を確認してみるといいかと思います。
実はこっそりおじいちゃんがおやつあげてた、お父さんが晩酌のときにひと口お肉をあげてたとかよく聞きます。
④一生アレルギー用療法食しか食べられない
除去食試験などなどの結果から食物アレルギーが疑わしいとなったら、もう一生このアレルギー用療法食しかあげられないの??そう聞かれることが多いです。
確かに1種類だけのフードをずっとというのは味気ないですし、飽きてしまったり、おやつをあげたかったりしても変えることが難しいですね。さらにそのフードが品薄や欠品になったり、災害時に手に入らないともうその子は食べるものが無くなってしまうリスクもあります。
食物アレルギーだから一生同じ療法食でなくてもいい場合もあります!アレルギー反応を起こさない食べ物を探していく暴露試験をすれば、徐々に食べても大丈夫なものが分かってきて、フードのバリエーションが増える可能性があります。
以下の投稿で詳しく解説しています。
⑤一度良くなったらもう悪くならない
一生懸命病院に通って、ごはんも変えて、お薬も飲んで‥やっと皮膚も毛もキレイな状態になった!
と、ここで安心してしまうのはまだ早いです。アレルギーは体質的なもので、フードなどの対応をしている中でも周期的に悪化を繰り返すことも多いのです。いったんキレイになったからとシャンプーや保湿などをやめてしまうと、また悪化してお薬が必要になって、治って‥の繰り返しになってしまうことも。
ぜひ、アレルギーの子にはスキンケアやサプリなどの日常的なケアは継続していただくことをおすすめします。そうすることで、皮膚の状態をいい状態に保ち、悪化を遅らせることもできます。
まとめ
わんちゃんのアレルギーについて、動物病院での診察のなかでよく遭遇する勘違いを5つ紹介しました。
- わんちゃんのアレルギーは食べ物によるものと、環境アレルゲンによるもの、または両方が原因となるものがある
- アレルギー対応の療法食は全ての子にアレルギーを起こさないフードではない
- アレルギー用療法食を食べていてもおやつをいろいろ食べていたら、せっかくの療法食の意味がなくなってしまう
- ほんの少しだけでもアレルギー反応を起こす場合もある
- アレルギーになったからといって療法食だけを一生食べ続ける必要はないかも!
- 頑張って治療して、いったんキレイになっても油断は禁物、ぶり返しに注意!
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