獣医師を10年以上やっています。動物病院勤務の時に、療法食を出す機会がとてもたくさんありました。でもそれと同時に、療法食について飼い主さんからいろいろ聞かれることもたくさん。
ただ、それなのに、療法食ってパッケージとか名前とか似たりよったりで分かりづらくないですか??
先生に出されたけど、結局このごはんってどんなフードなの?サンプル何種類も貰ったけど、どれを選んだらいいの??
なかなか診察室で詳しく聞くことができない方も多いはず。そんな方の参考になれば嬉しいです。
今回はロイヤルカナンのマルチファンクションシリーズ、腎臓サポート+低分子プロテインについて語ります。
これは腎臓のケアと食物アレルギーのケアが両方できるというごはんです。今までこんな特徴を持つ療法食がなかなか無かったので、食物アレルギーの子が高齢になり、腎臓が悪くなった時にとても困っていました。以下で具体的に解説していきますね。
保険スクエアbang!/ペット保険資料一括請求腎臓サポート+低分子プロテインってどんなごはん?
犬用 腎臓サポート+低分子プロテインは、慢性腎臓病および食物アレルギーを呈する犬に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。この食事は、食物アレルギーの原因となりにくい加水分解したタンパク源を使用し、リンの含有量を制限しています。
【慢性腎臓病をサポート】犬の生活の質(QOL)の維持に配慮し、慢性腎臓病の療法食としてリンの含有量を低減。また、高消化性のタンパク質を配合。
【エネルギー含有量調整】エネルギー含有量を調整し、少ない食事量でも必要なエネルギーを摂取できるように配慮。
【加水分解タンパク】高消化性で食物アレルギーの原因となりにくい低分子ペプチド源として、加水分解大豆タンパクを使用。
【皮膚のバリア機能】健康を維持することで皮膚が本来持つバリア機能を維持。
原材料
米、動物性油脂、加水分解大豆タンパク(消化率90%以上)、チコリー、大豆油、植物性繊維、魚油(オメガ3系不飽和脂肪酸〔EPA+DHA〕源)、フラクトオリゴ糖、脂肪酸塩、ルリチシャ油、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、アミノ酸類(L-チロシン、L-リジン、DL-メチオニン、タウリン、L-トリプトファン)、ゼオライト、ミネラル類(Cl、K、Ca、Na、Zn、Mg、Mn、Fe、Cu、Se、I)、ビタミン類(コリン、E、ナイアシン、C、パントテン酸カルシウム、ビオチン、B6、B2、B1、A、葉酸、B12、D3)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)
アレルゲンは?
食物アレルギー対応の療法食ですが、全ての子にアレルギーを起こさないという訳ではありません。原材料に米が含まれているので、米アレルギーの子にはおすすめしません。また、加水分解といって、アレルギー反応を起こしづらいように小さく分解してある大豆も含まれます。大豆アレルギーの子は担当獣医師と相談しましょう。
ロイヤルカナンの食物アレルギー用の療法食、「低分子プロテイン」をすでに食べていて問題のない子ならスムーズに「腎臓サポート+低分子プロテイン」へ移行できると思います。
カロリー
402 kcal/100g
カロリー、脂質は少し高め。これは少ない食事量でも十分なカロリーが摂れるように設定されています。腎臓病の子は食欲が不安定なことが多いためと考えられます。逆に食欲が安定している子は肥満に注意しながら量を調整しましょう。
腎臓病のケアって?
同じくロイヤルカナンに腎臓病用の療法食があります。その名も腎臓サポート。腎臓サポートと同じように腎臓サポート+低分子プロテインも使用できます。
この腎臓サポート+低分子プロテインも同様に腎臓に負荷がかかるリンとタンパク質を制限しています。(リン:0.16g/400kcal, タンパク質:13.9g/400kcal) 高品質なタンパク質を使用(欧州基準に準拠し、タンパク質の消化率は85%以上) またオメガ3脂肪酸(EPA、DHA)もしっかり配合されています。
腎臓病は徐々に進行していく病気です。食餌療法で生存期間が延長するという報告があり、食餌の管理はとても大切です。
こんな子は注意が必要
妊娠/授乳期、成長期(タンパク, リン含有量不足)には推奨されません。
エネルギー源としてタンパク質を制限しているのでその分脂肪と炭水化物が多めです。脂肪を制限したい場合には推奨されません。
病状の変化にあわせ、療法食の種類および給与方法について獣医師の診察と定期的な見直しをしていきましょう。
ネットでは買えないフード
この腎臓サポート+低分子プロテインは一般の飼い主さんがネットで買うことができません。動物病院での購入が主になります。
マルチファンクションシリーズはロイヤルカナンでもAmazonや楽天には出ていません。その理由は以下の通りです。
マルチファンクションというのは、ひとつのフードで複数の疾患のケアが出来る療法食のことです。動物たちも人間と同じように、病気や健康トラブルがひとつだけとは限りません。なのでひとつの療法食で、例えば肥満と糖尿病と尿石症というように複数のケアができると助かりますよね。
基本的に療法食というのは栄養成分を疾病のケアに併せてバランスを調整しているので、ちゃんとした知識と、獣医師の指導のもとで使用するペットフードです。マルチファンクション=多機能ということで、使用するためには注意が必要なので動物病院での購入が必要とのこと。
しっかりと獣医師の診断と指導のもと、定期的な診察をしながら使いましょう。
まとめ
腎臓サポート+低分子プロテインはこんなごはん
- 腎臓病と食物アレルギーへの療法食
- 腎臓のケアとしてタンパク質やリンを制限
- タンパク質を制限している分、脂質、炭水化物がやや高め
- 食物アレルギーへの対応はアレルゲンの制限し、アレルギーが起こりづらく調整
- 米アレルギーは注意
- 定期的な獣医師の診察で見直しをしましょう
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