【犬の療法食】ユリナリーS /Oエイジング7+ってどんなごはん?獣医師が解説

療法食、サプリメント

獣医師を10年以上やっています。動物病院勤務の時に、療法食を出す機会がとてもたくさんありました。でもそれと同時に、療法食について飼い主さんからいろいろ聞かれることもたくさん。もちろん、かわいいうちの子のお口に入るものだから気になりますよね。

ただ、それなのに、療法食ってパッケージとか名前とか似たりよったりで分かりづらくないですか??

先生に出されたけど、結局このごはんってどんなフードなの?サンプル何種類も貰ったけど、どれを選んだらいいの??

なかなか診察室で詳しく聞くことができない方も多いはず。そんな方の参考になれば嬉しいです。

今回はロイヤルカナンのユリナリーS /Oエイジング7+について語ります。このユリナリーシリーズは名前もパッケージも似ていて特に混乱します。(私は初めそうでした)

これは尿石症と7歳以上のシニアのわんちゃんの高齢のケアが両方できるというごはんです。以下で具体的に解説していきますね。

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どんなごはん?

出典:ロイヤルカナン

【下部尿路の健康維持】ミネラルなどを調整することでストルバイト結石を管理し、尿石の80%を形成しにくくします。

【高齢期サポート】独自の栄養素と抗活性酸素物質を配合し、健康を維持することで愛犬の活力と健康的な認知機能をサポートします。また、腎臓の健康をサポートします。

原材料

米、コーンフラワー、肉類(鶏、七面鳥)、動物性油脂、小麦粉、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、コーングルテン、超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、卵パウダー、魚油、大豆油、トマト(リコピン源)、フラクトオリゴ糖、加水分解甲殻類(グルコサミン源)、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、菜種レシチン、加水分解軟骨(コンドロイチン硫酸源)、セルロース、アミノ酸類(DL-メチオニン、L-チロシン、L-アルギニン、タウリン、L-トリプトファン、L-カルニチン)、ポリリン酸ナトリウム、β-カロテン、ミネラル類(K、Cl、Ca、Na、P、Mg、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、B6、B1、B2、ビオチン、葉酸、B12、K3)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス)

カロリー

385 kcal/100g(通常のユリナリーS/Oは388kcal/100g)

カロリーに関しては大きくは変わらないですね。

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どんな子に向いているの?

ストルバイト尿石症

尿のpHを弱酸性にするように栄養バランスを調整されています。目標尿pHは5.5〜6.5とのこと。石の原料になるマグネシウムを制限しています。また、ナトリウム量を調整して尿量を増やすことが期待できます。すでに出来てしまったストルバイト結石や結晶を溶かす働きと予防する働きが期待できます。

シュウ酸カルシウム尿石症

シュウ酸カルシウムの予防のため、結晶のもとになるカルシウムを中程度に制限してあります。

シュウ酸カルシウム結石は一度できると療法食で溶かすことができない石です。なので石ができてしまうと場合によっては手術が必要になることも。再発もしやすい、厄介な石です。100%はなかなか難しいですが、基本は療法食による予防が大切です。

7歳以上の中高齢のわんちゃんへの配慮

高品質なタンパク質を使用

高品質なタンパク質を使用(家禽肉:消化率88%、加水分解動物性タンパク:消化率95%、超高消化性小麦タンパク:消化率99%)

加水分解というのはタンパク質を小さく分解して消化吸収がしやすいようにしてあるということです。身体をつくるもとになるタンパク質はしっかり摂りたいですよね。

リンやナトリウムを低減

リンやナトリウムをやや低めに設定してあります。

今までのユリナリーシリーズの悩みが「高齢で心臓や腎臓などが弱ってきたわんちゃんにやや塩分が高めのフードを使い続けるのが心配」ということです。

塩分が高いことがいきなり悪さをするわけではありません。生きていくのに塩分は必要な成分ですが、病気の進行状況、それぞれの子の状態によっては高めのナトリウムがリスクになる場合もあります。

シニアに嬉しい成分配合

高齢の子に嬉しい抗酸化成分や、グルコサミン、コンドロイチンといった関節ケア成分も配合されています。また、ウェットパウチもあるのでトッピングや水分補給に活用してもいいですね。

出典:ロイヤルカナン

こんな子は注意

栄養がたくさん必要な妊娠・授乳期、成長期にはタンパク, リン含有量不足になる可能性があるため使用はおすすめできません。
尿量を確保するために必要なナトリウム量が心疾患のリスクとなることがあります。心疾患、慢性腎不全、代謝性アシドーシス(尿を酸性化するものなので、血液が酸性に傾く代謝性アシドーシスを助長する恐れがあります。)には推奨されません。

※ある程度の高齢に対するケアはしてありますが、実際に心疾患や腎疾患を持っている子にはより適した療法食がある場合があります。状態によって変わるので担当医と相談しましょう。

膵炎や一部の消化器疾患など、脂肪を制限したい場合には推奨されません。カロリーも通常のユリナリーS/Oとほぼ同程度なので、高齢で運動をしなくなった、代謝が落ちて太ってきたという子は肥満に注意が必要です。


病状の変化にあわせ、療法食の種類および給与方法についてできるだけ頻繁に、また定期的に獣医師の診察を受けて、見直しを実施してください。

まとめ

ユリナリーS/Oエイジング7 +はこんなごはん

  • 犬の下部尿路疾患(ストルバイト結石の溶解、予防とシュウ酸カルシウム結石の予防)への療法食
  • 7歳以上の尿石症を持っているシニア犬向け
  • 通常のユリナリーS/Oシリーズに比べるとリンとナトリウムを低減
  • シニアに嬉しい関節ケアや抗酸化成分配合
  • 脂肪を制限したい場合や減量が必要な場合は注意
  • 実際に心疾患や腎臓病を持っている場合は獣医師と相談
  • 定期的な診察と尿検査をしていきましょう

参考:獣医療法食評価センター、ロイヤルカナン公式ホームページ

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