ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。初めは水族館、その後は動物病院で勤務していました。新入社員時代に私がとても苦労したのが、「上司への報告」です。
何を言ってもイライラされ、言わなければ仕事は進まず、さらにもっと怒られてどんどん上司への報告が怖くなり、億劫になっていきました。負のスパイラルにハマりましたね。そして報告が本当に下手くそでした。
そんな私も10年以上獣医師をやっていると、今度は報告を受ける側になりました。昔の自分を見てるような後輩の報告を聞いて、「ああ、こういうことなんだな」と感じることがあり、今なら当時の私にこんなアドバイスをしてあげたい!と思うポイントをまとめます。
報告、連絡、相談って?
新入社員はまず報告が大事!
報告、連絡、相談って分けずに「報告して指示を仰ぐ」ことをまずやることが大切だと思っています。
動物病院は命を扱う仕事です。獣医師でも動物看護師でも受付でもそれは全く同じです。それぞれの業務、仕事には責任を伴いますが、新入社員はまだその責任を全ておうことは出来ません。なので必然的に判断は先輩にしてもらうことになります。よって初めの頃は、いかに正確に状況を報告できるかが一番重要になってきます。
「ホテルで預かり中のチョコちゃんが下痢しています。元気や食欲は問題ありません。」
「今電話で業者さんから薬が欠品していると言われました。」
異常があった事を先輩に報告すること、新入社員にはこれだけでも大ごとです。その後どうするかは指示を仰ぎましょう。
仕事に慣れてきたら徐々に相談なども加えるようになる
仕事にだんだんと慣れてきたら徐々に自分で判断して仕事を進めていくことが求められます。今まで異常が起こったことの報告だけだったのが、
何か異常が起こった⇨自分はこう思って、対応はこうしようと思う⇨それでいいですか?
自分の考えと対応を伝えた上で先輩から許可をもらいましょう。最終的な判断はまだ先輩に聞いた上でやった方が無難です。上記の例で言うと、
「ホテルで預かり中のチョコちゃんが下痢しています。元気食欲、身体検査上は問題ないです。オーナーさんに連絡して検査や投薬の許可をもらいますか?」
「業者さんから薬の欠品情報が来ました。1ヶ月後くらいに欠品解除予定とのことです。今ならまだ5箱程度もらえるそうなので発注してもいいですか?」
こうやって徐々に仕事の幅が広がっていくんですね。基本は何年経験を積んでも同じです。
こんな報告の仕方はNG!
タイミングが悪い
先輩も人間です。忙しいときや切羽詰まっている時に声をかけられると、「今?勘弁してよ」という思いもあるんです。緊急の報告ならまだしも、「それ今言わなきゃダメなの?」ってことを言われるとやはりイライラしてしまうのが人情です。
先輩が集中が必要な処置をしている時や急患対応中は、緊急の報告以外は避けた方が無難かと思います。
タイミングを見過ぎて後手になる
逆に声をかけるタイミングを見計らっていたら、どんどん後手後手になってしまうこともよく見受けられます。いつのまにか1日が終わりそうになることも。
終業間際に言われても対応できないこともありますし、場合によっては早く言ってくれたら今日中に対応できたのに、明日になってしまう‥なんてことも。
何が言いたいのかよくわからない
何を報告したいのか、聞いていて分からないこともあります。自分の中でまとまっていないうちに思いつくまま話していると、第三者にとっては理解するのが難しいことがあります。
「で、結局はなに?」
と、言われてしまいます。
小さな声でよく聞こえない
先輩が怖かったり、自信がないとついついボソボソ、おどおどしてしまう気持ちは痛いほど分かります。
話し方は人それぞれで個性があるのは当たり前のことです。だからといって、小さな声でボソボソと言われても、聞き辛く、誤解の原因になります。
長い
これも聞いていて、何についての報告かすぐに分からなくなってしまいます。時系列でずっと言ってくれることも時に必要ですが、肝心の要件がいつ出てくるのか‥
忙しい中で対応するためにも、時間がかかる報告の仕方はNGです。
こんな報告は喜ばれる
適切なタイミング
必ずしも先輩のタイミングに合わせることだけが重要ではありません。患者さんに迷惑がかからず、業務もスムーズに進むように適切なところで報告をし、指示を受け、実行することが望ましいと思います。
何を言いたいかがすぐ分かる
始めに要件をしっかり伝えることで「このことについて指示が欲しいんだ」と分かり、先輩側でも頭で整理しながら聞くことができます。必要に応じて追加で聞きたいことがあるかもしれません。
はっきり喋る
はっきりと喋ることで、忙しい合間でも聞きやすい報告になります。「1(いち)」なのか「7(しち)」なのか分からないとか、ちょっとしたことで誤解が生じる可能性もあるので、はっきり落ち着いて喋ることをお勧めします。
端的にまとめる
あまり長いと聞いている方も疲れますし、なんせ多忙な動物病院なので先輩にとっても負担になってしまいます。それが続くと怒られてしまう原因にもなりかねません。時系列に沿って全ての情報を伝える必要は必ずしもないです。端的にまとまっていると助かります。
常に意識!緊急度と重要度はどうか?
そして忘れてはならないのが緊急度と重要度です。報告の重要ポイントにタイミングがあります。このタイミングを取るために必要なのがこの2つの要素です。
①緊急度:高い 重要度:高い
一番優先すべきはこの領域です。たとえ相手が忙しくても、どんな処置中でも、機嫌が悪くてもすぐに伝えなければいけないことです。
例
- 患者さんの急変など命に関わること
- 苦情、クレーム
- その他迅速な対応が必要なこと(検査機器の故障、会計ミスなど)
②緊急度:低い 重要度:高い
そこまで急ぎではないけど重要なものです。これについては、先輩が少し落ち着くようなタイミングを見計らって報告しましょう。
例
- 患者さんからの電話へ折り返しのお願い
- 入院患者の処方についての確認
- 保険などの書類についての確認
- 外注検査結果の報告など
③緊急度:高い 重要度:低い
早く対応した方がいいけどあまり重要度は高くないものは、緊急の対応中などよほど難しい場合を避けつつ、なるべく早く報告しましょう。
例
- 患者さんの忘れ物やお返し忘れの物品の確認
- ホテル中の子の食餌の確認など
④緊急度:低い 重要度:低い
緊急度も重要度も低いものに関してはなるべく手が空いたタイミングで声をかけるようにしましょう。
例
- 〇〇さんからお菓子いただいたので、休憩室にあります
- 急ぎではない業者さんからの販促などの伝言
例だけが全てではないので、自分で頭の中でチャートを作り、どうやって報告をしていくか考えてみましょう。
まとめ
報告とひと口に言っても、これだけ気をつけることがあるんですね。動物病院という職場では、やはり優先順位をつけていくということがポイントかなと思います。最初はなかなか難しいと思いますが、勇気を出して声をかけてみましょう。怒られたらその時はその時で、次回から気をつければいいことです。
- 報告で重要なのはタイミング
- タイミングを取るためには緊急度と重要度がどれくらいか
- 端的にわかりやすく
- はっきりと喋る
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