【獣医師解説】ペットにサプリメントって実際どうなの?

療法食、サプリメント

ぽこです。

獣医師を10年以上やってます。動物たちの健康管理の中で出てくる「サプリメント」。

これって結局どうなの??

そんな声が多かったように思います。人では数多くのサプリメントが販売されていて、ご自身もサプリメントを愛用している飼い主さんであれば比較的受け入れてくださることが多かったです。

ただ、あまり普段から馴染みのない方にとっては「本当に効くの?」「動物病院のお金のためなんじゃないの?」と不安な気持ちがありますよね。サプリメントは日々の継続が大切なので、費用的な心配もあります。

さらに獣医師の中でも考え方がいろいろあって、「サプリは信用していないから使わない」という先生もいます。

今回はサプリメントってどんなものか?サプリメントを使うことのメリット、デメリットを獣医師の視点から解説したいと思います。

私が獣医師として感じること、それはサプリメントは健康管理の強い味方になる!ということです。ぜひ、この記事で「うちの子にはどうしようかしら、あげた方がいいの?」というお悩み解決のお手伝いができたら嬉しいです。

サプリメントって結局なに?

サプリメントとは、健康食品に分類される食品で、健康食品もサプリメントも法律上の定義はなく、健康の維持増進のために利用されています(図)。サプリメントはビタミンやミネラルなど健康の維持増進に役立つ特定の成分を濃縮し錠剤やカプセル状にしたものです。

引用:健康長寿ネット
図:健康食品・保健機能食品・医薬品の分類を示す図
図:健康食品・保健機能食品・医薬品の分類1)を参考に作図 引用:健康長寿ネット
サプリメントの定義と正しい利用法 | 健康長寿ネット
サプリメントとは、健康食品に分類される食品で、健康食品もサプリメントも法律上の定義はなく、健康の維持増進のために利用されています。サプリメントはビタミンやミネラルなど健康の維持増進に役立つ特定の成分を濃縮し錠剤やカプセル状にしたものです。役割や目的により「ベースサプリメント」「ヘルスサプリメント」「オプショナルサプリメ...

要するに医薬品(薬)ではなくて、食品なんです。健康は食事から!医食同源!なんていう言葉もあるくらい栄養は大切ということですね。

 

どんなものがあるの?

人用サプリメントは本当にたくさんありますね。動物用サプリメントも近年増えてきましたし、用途も多岐に渡っています。全身の免疫を上げるもの、関節に良い成分(これは人の方でも有名ですね)、栄養状態の改善のためのもの、スキンケアにいいもの、腸活…動物用に膀胱炎に対するサプリなんていうものもあります。

ペットサプリってどこで買うの?

動物病院またはECサイト

基本的に動物病院で獣医師に処方をしてもらう方法です。中には一般では買えない、動物病院専用のサプリメントもあります。獣医師が使用経験があり、その子に合わせて処方してくれるので安心感があります。さらに経過も追えるので、調整もしやすいです。

ただ、継続が基本のサプリメントにおいて、動物病院でしか買えないとなると、忙しくて通院が難しい場合などは大変ですね。中には動物病院がECサイトをもっていることもありますし、動物病院のコードを使った公式サイトでの購入ができることも。便利な世の中になりましたね。

インターネットを含む市販

お手軽なのは市販のものです。一般的に安価なものが多く、ペットショップやインターネットですぐに購入できるので、お試しには向いていると思います。

ただ、注意しなければいけないのは玉石混合ということです。獣医師おすすめ!とかさまざまなうたい文句がありますが、中には「この内容でこの値段かぁ」と思うようなものもあります。

さらに公式サイトより安く扱っているサイトがあったりしますが、中にはパッケージだけが本物で、中身は別物だったなんていう事件もあるそうです。

ペットサプリのメリット

健康管理にプラス

人間のサプリと同様、健康管理にプラスになることがあります。わんちゃん猫ちゃんのフードは日々進歩して、栄養面でも充実しています。総合栄養食を食べていれば、栄養面としては問題ないとも言われています。

ただ、一般的に体調に問題のない子には十分でも、人と同じようにそれぞれ体質や抱えている悩みも違います。血液検査などの健康上問題なくても、関節が弱かったり、皮膚にトラブルが多かったり、涙やけが目立ったり、高齢で筋肉が落ちていたり‥

そんなお悩みに対してケアができるのがサプリメントです。それぞれに合わせて組み合わせ、オーダーメイドのケアを作ってあげることができます。

持病の薬を減らせるかも

持病で継続的に薬を飲んでいる場合、サプリメントを併用することでコンディションが整い、お薬を減らすことができる可能性もあります。

特に若いうちからのアレルギー性皮膚炎などはずっとお薬を飲んでいることがあるのですが、サプリを併用したら毎日飲んでないと痒かったのが、薬を2日おき、1週間おきに減らせた!なんて子もいました。

ペットサプリのデメリット

錠剤タイプが苦手

わんちゃん猫ちゃんにはお薬を飲むことが苦手な子がいます。サプリメントも錠剤のようなもの、カプセル、液体、粉末など形はさまざまですが、「何かいつもと違う!」と感じて食べなくなってしまうような子だと、継続は難しいかもしれません。

ただサプリメントは栄養補助食品で、美味しい味のものも沢山あります。人工的に作られた薬の臭いが苦手な子でも、意外とサプリなら食べるなんてこともあります。

薬が苦手で食わず嫌いで今まで避けていたのなら、物は試し!やってみるのもひとつかもしれません。

保険がきかない

サプリメントは今のところ、各ペット保険会社の適用の範囲外です。お薬は保険がききますが、サプリはきかないということです。

お薬は症状が治まればやめることもありますが、サプリメントは基本的に継続することで効果が見えてくるものがほとんどです。費用的な面で無理なく続けられるものをチョイスすることをおすすめします。

100%効果が保証されるものではない

サプリメントの難点のひとつ、100%効果を保証するものではない点です。

サプリメントは医薬品(お薬)ではなく食品です。

お薬は直接身体の部分や機能に作用するものですが、一方でサプリは栄養面からのサポートで、身体のもともと持っている力や機能を助けてあげることが目的です。栄養のある食事は健康にいいことは誰でも知っていることですが、ただ、体に良い食事を取ったからといって、全ての人が数日で体のトラブルが治るわけではないことは、なんとなくイメージできるのではないでしょうか。

なので、サプリに対する反応はそれぞれ違います。同じような病気、年齢、品種だったとしても、ものすごくよく効いたという子から全く効果が感じられないことまであります。「合う、合わない」がかなりあるということです。

試したサプリが合うかどうかは、1週間程度では分かりません。物にもよりますが1〜3ヶ月くらい試してから評価をすることをおすすめします。

食品と同じようにアレルギーに注意

栄養補助食品なので、食品成分が入っています。もし、アレルギーを持っているのであれば、使用前にしっかり原材料を確認しましょう。また、使用しているうちに体調に変化があった場合には速やかに獣医師に相談しましょう。

まとめ

わんちゃんや猫ちゃんにもサプリメントは健康を維持する上で大きな助けになることがあります。

  • サプリメントは栄養補助食品
  • 総合栄養食を食べてきても不足する分を補うことができる
  • 動物病院やインターネットで購入することができる
  • それぞれの悩みに合わせたオーダーメイドケアが可能
  • 持病の薬が減らせるケースもあり
  • 薬を飲むのが苦手な子は、続けるのが難しいかも
  • 美味しいもの、形もいろいろなので試してみるのもおすすめ
  • サプリメントは保険がきかない
  • その子により合う、合わないがある
  • 合っているかは、ある程度長期的に給与する必要がある
  • 食物アレルギーに注意
  • 何かお悩みがあれば試してみよう
  • 動物病院でも相談できるので気軽に聞いてみよう(獣医師によって意見はさまざまだが‥)

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