こんばんは、ぽこです。
動物病院でよく遭遇するのが「誤食・誤飲」。特に好奇心旺盛な若い子で多いです。今回も本当にあった誤食の事例を紹介したいと思います。
前回の投稿での事例は食べたものがはっきりしていましたが、今回は初めは分からずに結果的に誤食だったというケースです。
誤食・誤飲の対策は以下の投稿を参考にしていただけると嬉しいです。
https://konporopan.com/現役獣医師が現場より本当にあった誤食事件簿/
誤食するとどうなるの?
胃腸への刺激になる
例えば人の食べ物などを食べてしまったり、異物を食べたりした場合、胃腸へ刺激になり、吐いたり下痢したりすることが多いです。また厄介なのは異物などが消化管に詰まってしまい、閉塞を起こしてしまうことがあります。そんな場合は1日に何回も嘔吐があったり、ぐったりしたりすることが多いです。こうなると適切な処置をしないと命に関わることもあります。
中毒
中毒を起こす食べ物や化学物質の場合、それぞれで症状は異なります。嘔吐や下痢といった消化器症状のほか、貧血やけいれんなどの神経症状など様々です。
無症状
意外に何も症状がない場合もあります。ただ、時間が経ってから症状が出る場合もあるので、何か食べてしまったならまずは動物病院へ相談しましょう。
症例1 マルチーズのお腹からまさかの??
主訴
若いマルチーズちゃん。2−3日前から食欲がなく、1日に何回も吐いている。ここ最近で誤食は心当たりなし。
様々な検査の結果、胃の出口に何かが詰まっている可能性があるため開腹手術になりました。
結果と考察
かわいいマルチーズちゃんのお腹から出てきたものは…なんとゾウさんとトラさん!…の指人形でした。後で飼い主さんに聞いたところ、1ヶ月前に無くなっていた人形とのこと。真実はわかりませんが、もしかしたら1ヶ月前からお腹の中にあった可能性も。胃のなかは意外に広がるのであまり嘔吐などの症状が出ないことがあります。今回のケースのように狭い胃の出口に詰まって、初めて症状が出ることもあるんですね。誤食してから時間が経って症状が出るパターンでした。
症例2 トイプードルのお腹の中に毛玉?
主訴
中年齢くらいのトイプードルちゃん。最近なんだか痩せてきたのと週に2回くらい吐く。色々いたずらはするけど大きなものを飲み込んだり、誤食はしない。
色々な検査をし、バリウム検査の結果、胃のなかに巨大なモジャモジャした毛玉のようなものが見つかり、その後摘出手術になりました。
結果と考察
胃の中から出てきたのは、タオルのくずや輪ゴム、ビニールの切れ端などが絡み合ってこぶし大のダンゴ状になった物体でした…おそらく遊んで引きちぎりながら少しずつ飲み込んでいたんでしょうね。一つずつは小さいので、うまく便と一緒に出ていれば悪さはしなかったのでしょうが、それぞれが絡んで大きくなってしまったようです。胃のなかで消化がうまくいかず、痩せてきて、異物の刺激で吐いていたんですね。「少しだけ食べちゃったけど大丈夫だろう」というのも積もり積もると大ごとになる時もあることがわかりました。
症例3 猫ちゃんいたずらの結果??
主訴
若い雑種猫ちゃん。元気だが2−3日前から食べても吐いてしまう。数日前に荷物が届いた周辺で遊んでいた。
レントゲン検査で腸がうねうねとしている像がありました。これはアコーディオンサインといい、ヒモなどを食べてしまうと腸がアコーディオンのようにたぐり寄せられてしまうのです。
結果と考察
これは手術かと思っていましたが、通過障害がないか確認するためにバリウム検査をしたところ、バリウムはちゃんとお尻まで流れたのです!つまり腸の中にヒモはあるのですが、完全につまっていない(閉塞していない)状態でした。元気もあったので入院して吐き気どめや点滴をして翌日様子を見てみると、なんと!便の中にバリウムに固められたスズランテープの束が!!バリウムで一緒に流れて自然に出てきてくれました。お腹も切らずに済んで、これはとってもラッキーでした!猫ちゃんはヒモが大好きです。くれぐれも気をつけてくださいね。
まとめ
誤食というと、何か食べてしまってすぐに具合が悪くなりそうなイメージですが、実は時間差があったりします。誤食で出てくる症状としては嘔吐や下痢、元気がないなど他の病気でも起こりうるものです。色々な検査で他の病気ではないと除外して診断をしていくのですが、やはりご家族からお聞きする情報が診断に大きな助けとなります。以下を教えていただけると嬉しいです。
- 普段から誤食癖はあるか
- 食べてしまった可能性のあるもの
- 嘔吐の内容物や回数
- その他の症状
何か少しでも怪しいと思ったら小さなことでも獣医師へ話していただけると嬉しいです。
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