臨床獣医師の転職のカギは自身のスキル!!

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やってます。その間に何回か転職をしました。なかにはハズレを引いてとんでもないブラック動物病院に入ってしまったことも。

以前と比べると一般的にも転職は当たり前の時代になってきました。獣医師や動物看護師も例外ではないです。より良い労働環境やスキルアップを求めて転職をすることは全く悪いことではありません。

でも転職活動を何回かして思ったこと。

スキルや実力がなければ、容赦なく安く使われる‥

雇う方の気持ちを考えたら当たり前ですよね。経験年数があってもスキルがない人材に高給は出せません。

以前水族館勤務から小動物臨床に来たての頃、私もそうでした。獣医師になって6年目なのに、小動物臨床の経験が皆無だったので、新卒とほぼ変わらない給料でした。少しでも早くスキルアップをしようと焦っていましたね。

転職をするにあたってカギとなるのは獣医師としてのスキルです。

その人の人間性なんてちょっとの面接で評価出来ないですし、それでお給料変わりません!(採用には人間性は重要ですが)

転職をお考えの獣医師さんへ。転職を考えるなら、まずは自分のスキルを客観的に見て、伸ばせるところはとことん伸ばしておいたほうが何かと良いことがあります!

今回は転職を考える上でカギとなるスキルについて語りたいと思います。

みなさんがより良い生活ができるように、ブラックな職場で悩む獣医師や動物看護師が1人でも減る手助けになれば嬉しいです。

動物病院の獣医師の仕事って?

まず獣医師というと最初に思い浮かぶのが動物病院で働く獣医師ですね。主に犬や猫を中心に診療にあたりますが、最近ではウサギ、フェレット、ハムスターなどのエキゾチックペットにも対応している病院もあります。中には鳥類、爬虫類、両生類、魚類などを診る獣医師もいます。

診療内容としては、一般的な動物病院だと平たく一次診療を行っているところがほとんどです。内科、外科、皮膚科、眼科、産婦人科、小児科(子犬子猫科?)など広い範囲の診察、治療を行います。ある程度の手術にも各動物病院で対応しているところがほとんどです。

最近では循環器、呼吸器科、皮膚科、腫瘍科など専門性をもった動物病院や、規模が大きく、設備も揃っている大きな動物医療センターなども増えてきました。

さらに病気や怪我の診療だけではなく、栄養学的な指導からしつけ相談まで幅広く対応しています。

こうやって考えると獣医師の業務量ってすごいですよね。人の医者の場合は内科、外科など専門が細かく分かれていて、「それ専門外なんで診られません。」ということもあります。でも獣医師の場合は(動物種でお断りすることはありますが)基本的に最初はどんな疾患でも診察をします。

結論、動物病院の獣医師の仕事は多岐に渡り、多くの知識や技術が求められる仕事です。少なくとも私はそう思っています。

獣医師の転職について

以前と比べると一般的にも転職は当たり前の時代になってきました。獣医師や動物看護師も例外ではなく、より良い労働環境やスキルアップを求めて転職をすることは全く悪いことではありません。動物病院業界専門の転職サイトや転職エージェントも複数あります。

大きく分けると、同業の動物病院への転職と、一般企業や公務員へのキャリアチェンジの2つのパターンがあります。異業種へのキャリアチェンジの場合は状況により必要なスキルは違いますが、同業の動物病院への転職の場合は今までのスキルが重要になってきます。

転職のカギは自身のスキル

転職をする目的は、職場環境の改善やスキルアップなどが多いですね。中でもやっぱり大切なのがお給料、お金です。そりゃ少ないより多い方がいいですよね。その基準となるのが獣医師としてのスキルです。

勤続年数より実力

動物病院の獣医師は転職活動の段階で聞かれることが「何をどこまでできるの?」という点です。

これは獣医師専門の転職エージェントだったり、実際の面接でもほぼ聞かれる質問です。獣医師としての経験年数とはまた別なんですね。実際に私は水族館勤務から小動物臨床に移った際には、ほぼ新卒と同じ給料でスタートでした。

  • 獣医師5年目、採血などは出来るが診察や手術は未経験
  • 獣医師2年目、予防は1人で診察OK、避妊去勢手術の執刀はできる

極端な例ですが上記のような2人の獣医師がいた場合、獣医師としての経験年数は①の先生の方が長いですが、スキルとしては②の先生の方があります。おそらく、だいたいの動物病院では②の先生の方がいい給与条件での提示があるのではないでしょうか。

逆に勤続年数が長いのにスキルがないとなると、「この先生大丈夫か?」と、評価が低くなり、給与条件どころか採用にも行きつかないかもしれません。

このように経験とスキルを併せて判断されるのが獣医師の転職です。少しでもいい給与条件で転職をするためには自身のスキルアップが重要になります。

獣医師としてのスキルがあれば転職活動で有利なポイント

選択肢が広がる

ある程度のスキルがあれば働き方、動物病院の規模、時間帯など選択肢の幅が広がります。たとえば新卒すぐの先生に夜間救急の診療は難しいですよね。また、時短勤務なども自身である程度診療ができるようであれば交渉しやすいです。

給与条件など改善する可能性

現在の職場での条件よりも改善する可能性がありますし、交渉をすることも可能です。自身で交渉するのが難しい場合は転職エージェントの力を借りましょう。「最低でも〇〇円以上で」という条件で始めから求人を探してもらうこともできますし、選考を進めながら交渉してもくれます。

ただ、スキルがなければ先方も何もできないので、自分を高く雇ってもらうためにはスキルは必須になります。

ブラック動物病院につかまる可能性が低くなる

ブラック動物病院は人が定着しないので、「未経験でもブランクがあっても何でもいいからとりあえず人が欲しい」となっている場合があります。もし自分にスキルや経験がない場合は「未経験可」の求人しか応募できないことになり、その分ブラック動物病院に捕まる可能性も大きくなります。

ある程度スキルや経験があれば、そういった求人を避ける余裕ができますね。

獣医師のスキルってどんなふうに評価されるの?

スキルが重要ということは分かりますが、実際の転職活動において、どんなふうに評価されるのでしょうか?目には見えないですし、就活のための1日程度の実習で評価は不可能です。

答えは職務経歴書や面接において、今までやってきた業務、スキルをちゃんと客観的に自分で伝えるということです。そうしないと正しい評価がされないことになります。

ここでは自分を少しでも良く見せようとするのではなく、正直に伝えることが必要です。そうでないと、後から話が違うとなりかねません。たとえば、〇〇手術できます!と嘘をついて入職して、いざ手術を1人で任されたら?想像するだけで怖いですよね。

具体的な数字で表す

まずどれだけの業務を日常的にやってきたかを具体的な数字で表します。これは転職エージェントとの面談、職務経歴書などの作成から、実際の面接でも使われました。

1日の平均診療件数、1ヶ月の平均手術執刀数を出します。

さらに補足で、「予防中心に」「一般診療全般」「一般診療かつ、皮膚科を重点的に」などの説明があると相手に自分のスキルが伝わりやすいです。

どこまでの業務ができるか

どの程度まで自分で出来て、どのくらい手助けが必要なのかが分かるように説明できるといいですね。具体的な方が採用する側も分かりやすいです。ちなみに転職エージェントの登録の際にこのようなアンケートに答えていくものもありました。

以下に例を示していきます。

診察

  • 予防接種なら1人でも行ける
  • 皮膚、外耳炎の診療なら自身で診断治療が出来る
  • 先輩の監督のもと、一般診療が出来る
  • 一般診療は1人で出来る

検査

  • 正しいポジショニングでレントゲンを撮ることができるが、読影は先輩の確認が必要
  • レントゲンの読影までできる
  • 腹部超音波検査を先輩の監督のもと出来る
  • 腹部超音波検査ができ、自身で評価できる
  • 胸部超音波検査ができる
  • 細胞診を正しい手技で出来る

手術

  • 避妊去勢手術ができる
  • 軟部外科手術の助手が出来る
  • 先輩の指導のもと軟部外科手術の執刀が出来る
  • 整形外科手術ができる

このように出来る出来ないだけではなく、どの程度の補助が必要かも伝えるとより正確に自分のスキルが伝わりますね。

転職したいと思っても、スキルアップ

もう転職するよと思っても、働いているうちは現在の職場でできる限りのスキルを磨きましょう。それは動物病院のためではなく、自身のため、患者さんのためです。スキルアップに使えるものは先輩であれ、動物病院の本や資料であれ、診療の機会であれ、とことん使っていきましょう。

逆に、現職場で、もう学ぶことが無くなっている状態なら、新しい環境でさらなる成長が期待できます。

まとめ

小動物臨床の獣医師にとって転職は当たり前の時代になってきました。より良い条件で働くためには自分自身の実力、スキルを向上しておくことがカギとなります。

  • 転職の際に聞かれることは「何をどこまでできる?」
  • 勤続年数よりも内容の方が重要
  • むしろスキルがないと評価が低くなる恐れもある
  • スキルがあれば転職の選択肢が広がる
  • 獣医師のスキルを評価するのは難しいので、自身で職務経歴書や面接で効果的に伝える必要がある
  • スキルを伝えるためには具体的な数字で診療件数や手術件数を表す
  • また、検査や手術が何をどこまで出来るのか、どの程度の補助が必要なのかを伝える
  • スキルを伝える際には正直に
  • 学び続けることが獣医師にとっては必要なので、スキルアップを目的とした転職もあり

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