【獣医師解説】いいペットフードの選び方のポイント5選

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。犬猫の動物病院で勤めていた時に大切にしていたのが、「食べること」。

私は水族館獣医出身なので、野生動物たちのケアから獣医師としての仕事が始まりました。食べることができなくなった野生動物は生きていくことができません。さらに現在、ペットたちの栄養やサプリメントに関する仕事についています。勉強をしているとより「栄養」の重要性を感じます。

『食べること』って生命に直結しますよね。食べたものが消化され、栄養、エネルギーになり身体がつくられていく。だからこそ健康で長生きできるように、人も動物もごはんに気をつけて生活をします。

よく、「いいごはんがあったら教えてください!」と聞かれます。動物病院でも、プライベートでも聞かれます。それだけみなさんフードへの関心が高いということだと思います。

わんちゃんや猫ちゃんの場合は、一部の子(半野良で狩りをする)以外は飼い主さんがその子の食事に関して責任があります。身体にいいものを選びたいのはもちろん、それだけでは生活をする上で不十分です。必要な要素は以下のようなものです。

  • 身体にいい、栄養がある
  • 経済的に続けやすい
  • 購入する手間が少ない
  • 美味しく食べてくれる(本当にこれ!)
  • 体質に合ったもの

今はペットフードもたくさんの種類があります。実際にネットなどで大々的な広告をうっているフードが優良なものとは限りません。何を選んだらいいか本当に困りますよね。それぞれについて解説していきますので参考になれば嬉しいです。

総合栄養食を選ぶべし

総合栄養食ってなに?

ペットフードの裏のラベルを見ると、必ず『総合栄養食』か、『間食』『その他の目的食(一般食、療法食、サプリメントなど)』かが記載されています。

総合栄養食は必要な栄養素が全て入っていて、それだけを食べていても栄養バランスが満たされるフードです。基本となる主食には必ず総合栄養食を選びましょう。

一般食というのは含まれてる栄養に偏りがあるので、主食にはならないものです。少し誤解が多いのが、「病気用の療法食以外を一般食(病気じゃない、健康な子用のフード)という」と思われてる方もいらっしゃるのですが、実はちょっと違うのです。一般食は基本的には『おやつ』扱いです。嗜好性がいいものが多いので、トッピングなどにも使えます。ただ、一般食をメインにしてしまうと栄養に偏りができてしまいます。

なので、ベースとなるごはんには、年齢に合った総合栄養食にしましょう!

栄養バランスってなにが大切なの?

出典:環境省ペットフード安全法

これをみると、犬と猫でもだいぶ違いますよね。なのでドッグフードを猫ちゃんにあげていると栄養が不足してしまう可能性があります。このグラフのようなバランスのフードがあればいいのですが、実際のフードはタンパク質が少なめでその分炭水化物が増えている傾向があります。なぜならコスト面だったり、フードの粒の成形のために炭水化物が増えていることが多いのです。炭水化物や脂質が極端に多いフードは注意しましょう。

粗タンパク質:肉や魚の使用量が多いと高くなる。成犬で18%以上、成猫で26%以上。キャットフードで多くて40%程度もある。

粗脂質(脂肪):多いと嗜好性は高いけどもちろん太りやすい。成犬で5.5%以上、成猫で9%以上。多いものだと20%を超えることも。

なんだか数字ばかりで嫌になってきますよね。脂質や炭水化物が悪者ではありません。タンパク質が多いほど良いということもないです。全てのバランスが重要ということになります。

中価格帯以上のものを選ぶと安心

かといって、難しい栄養成分表記を読み解いてまで選ぶ必要はありません。迷ったらだいたい、中価格帯以上の総合栄養食を選べば栄養成分が満たされていることがほとんどです。

あとは、食べてくれるかどうか。そして後述の合わない場合に見られる症状がないかをチェックしていけばいいのです。

安定して手に入るかどうか

手に入りやすいかどうかは実は重要です。いくら身体に良くても、高価だったり、購入するのに手間ひまがかかるようだと続けることが難しくなってきます。

また、選り好みで1種類のフードしか受け付けないとなると、これはリスクになります。例えば欠品や製造中止になるともう手に入りません。(何種類か欠品になったフードを知っていますが、飼い主さんはとても大変そうでした)

そして病気になったときに、療法食への変更が難しく、十分なケアができない可能性もあります。災害時などでも食べるものがなくなってしまいます。

なので、若いうちにいろいろなタイプのフードを試して、なんでも食べられるようにしておくと安心です。

美味しく食べてくれるか

なんでもガツガツ食べる子は見ていても気持ちがいいですよね。やはり美味しく食べてる姿が嬉しい!

じゃあどんなフードが美味しいのか?

個体差はありますが、基本的には上記の栄養バランスに近いと美味しく感じると言われています。

フードのパッケージの裏側には成分の表示がありますね。この原材料は含有量が多い順になっています。トップにくる原料がとうもろこしとか、大豆など植物性のものだとあまり嗜好性が良くないと言われています。動物性タンパク質が表記されてるものが好まれる傾向にあります。タンパク質が多いものは高齢の子や腎臓に不安のある子は獣医師に相談しましょう。

お店によっては少量のお味見サンプルがあったりしますので、試してみるといいですね。

ただ、上記の通り脂肪分が多いと嗜好性が高いですが肥満のリスクもあります。美味しさだけでなく、総合的に判断しましょう。

フードが合っているかチェックするポイントは?

合わないフードはこんなことがある

  • 吐く、下痢する
  • 便の量や回数が増える
  • 毛艶が悪くなる
  • フケがでたり、逆にベタつきがでる
  • 皮膚に赤みやポツポツができる

フードを変えて少し軟便になっても1〜2日で治るようなら問題のないことがほとんどですが、続くようなら受診しましょう。

※食べてすぐ皮膚に赤みがでたり、発疹がある場合は、アレルギーの可能性があります。そのフードを中止して早めに受診しましょう。

体質にあっているごはんなら?

まず1番は便の状態が変わります。ツヤのある、バナナ状の便(大きさはその子のサイズによって違いますが)が1日に1〜2回がいいです。

毛ヅヤや皮膚に食べ物の影響が現れるのはだいたい1〜2ヶ月後です。これは皮膚のターンオーバーの周期に関係します。その頃にそのフードを続けるかを判断しましょう。一緒に体重の増減もチェックするといいですね。

フード変更の仕方

新しいフードを買ってもいきなり全量を切り替えてしまうのは注意が必要です。

何も問題のない子もいますが、できたら前のフードと混ぜながら最低3日、心配なら7日くらいかけて徐々に新しいフードの量を増やしながら様子を見てあげると安心です。

なぜならいきなりフードが変わることで下痢したりする子がいるからです。数日でおさまることもあれば、そのフードを食べ続ける限り下痢が続く場合もあります。続く場合は上記にもありますが、受診しましょう。

まとめ

いいフードといっても、それぞれの子にとってのいいフードは違います。なので、いろいろ試しながら探してみましょう。

  • ベースは必ず総合栄養食
  • 脂質や炭水化物が多すぎるのは注意
  • 栄養はそれぞれ必要、バランスが大事
  • 迷ったら中価格帯以上の総合栄養食
  • 安定して手に入るかもチェック
  • 複数のフードが食べられると安心
  • フードが合うかどうかは、便や毛艶でチェック
  • 体重管理も忘れずに

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