ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。動物病院で犬や猫の診療をやっていた頃、獣医師ではない友人にこう聞かれたことがあります。
動物病院の休憩時間って長いよね。何してるの??
うん、仕事してるよ。
そうなんです!動物病院のお昼の休憩時間と言われる12:00くらいから16:00くらいまで、病院が閉まりますよね。午前の診察が終わってから、午後の診察が始まるまでの間、けっこう長く病院が開いてなくて困ったという方もいるのではないでしょうか。
実際に、この時間で診てもらえたら楽なのに…ということもありますよね。でも、動物病院の中ではしっかりと業務が進められているのです。
今日は知られざる、「動物病院の休憩時間」の現状をお伝えしたいと思います。どうしてもその時間に診てほしい場合の対応も併せてご紹介。
お昼はずっと休憩しているわけではない
動物病院の長い休憩時間。
もちろんお昼休みもありますが、全部の時間を休んでいるわけではないのです。むしろノンストップで走り続ける日も。何をしているか一部紹介します。
手術
まずは手術をしていることが多いです。基本的に外来のほか手術も行っている病院がほとんどです。獣医師やスタッフの人数が多い場合、緊急時などは外来と並行して手術をする場合もありますが、ほとんどは外来を終えてから行います。
毎日そんなに手術ってあるの?
そう思われるかもしれませんが、実際は結構あります。動物病院での手術は避妊、去勢手術といった急ぐ必要のないものから、病気の治療のための手術まで様々です。また、人では歯石取りはそのままできますが、犬や猫の場合は安全性の面から全身麻酔になります。以下の投稿で詳しく解説してます。
konporopan.com/no-good-that-scaling-without-anethesia/
一回の麻酔に関して少なくとも30分以上は拘束されます。手術がたとえ5分で終わっても、麻酔がしっかり醒めるまでは油断せず観察する必要があるためです。そう思うと、4時間あってもせいぜい手術出来るのは2件くらいまで。手術室やスタッフが多ければもっと件数は増えるかと思いますが、2件オペがある日は本当に忙しく走り回ってたと記憶してます。
検査
また、時間や人手のかかる検査などをこの時間に充てることもあります。例えば、心臓やお腹の超音波検査などです。
時間としては10分から長くても30分以内で終わる検査(たいてい無麻酔)ですが、外来中に落ち着いてまとまった時間が取れないことも多いので、お預かりして昼の時間にやることがあります。また、動物は検査の間じっとしていてくれないので、おさえるための人手も必要です。
嫌がることもありますが、時間をとって人手を確保して検査をすることで検査時間をなるべく短く、負担を少なくすることができます。
わんちゃん猫ちゃんドッグのような検診から、外来診察中に、「これはちゃんと詳しい検査が必要」となった子まで。日によって患者さんの数は違いますし、読めない。検査が重なってしまうと息つく暇もなく動き続けます。
その他業務
そして、その他にもいろいろやってます。備品やお薬、フードなどの在庫管理や注文、そうじ、事務仕事などなど。手術がなくてもエアコンのフィルターなど普段できない場所の掃除などやることはいっぱいあります。
実際のお昼休みは?
実際の各スタッフのお昼休みはだいたい1時間から1時間半程度です。労働時間が長い職場では休憩も長く取らなければなりません。法律上は。
でも実際は、上記のように昼休みといえどバタバタと忙しいことも多いです。麻酔前の注射を打ってからの待ち時間10分程度でお弁当をかき込んだり、また時間がなくて食べられないなんていう日もあります。ハードな部分もある仕事ですね。
なかなか外へ食べに出ることはできなかったので、もっぱらお弁当でした。
どうしてもその時間に診てもらいたい場合どうしたらいい?
急患の場合
1分1秒を争うような緊急時はご相談ください。基本はまず電話をしましょう。
病院に駆け込まれても獣医師が手術中だと対応できません。「こんな状態だが、すぐに診てもらえるか?」と聞いてみましょう。
緊急度が高ければ昼休みでも対応してくれる場合もあります。また、その獣医師が対応できなくても近隣の病院を紹介してくれることもあります。
状態を伝えることで、すぐ診察した方がいいのか、午後の診療まで待てるのかある程度推測することができます。獣医師の判断を仰ぎましょう。ただ、待っている間に状態が変わるようならすぐに連絡しましょう。
やむを得ない理由がある場合
例えば猫ちゃんで、待ち時間が長くなるとヒートアップして手がつけられなくなるとか。大型犬で、他の犬がいると興奮して噛みついてしまい、飼い主の手に負えなくなるとか。そんなやむを得ない事情がある場合には他の患者さんがいない昼の時間帯で診察を受けることがあります。
あとは要相談
例えば飼い主さん側の時間的な都合などの場合、多くは対応できないと思います。ただそこは応相談。獣医師の考えと、スケジュール、人手の余裕などで受けてもらえることもあります。
ただそれは善意によるものなので、どうしても困る時に頼って相談してみるというくらいに思っておくといいかと感じます。
konporopan.com/usage-of-animal-hospital/
まとめ
動物病院のお昼休みは長いけど何してるの?
- 手術や検査
- 日によって忙しさはばらつきあり
- 昼食がとれないくらい忙しいこともある
- その時間は基本的に診察を受け付けない
- 緊急時や事情がある場合にはまず連絡、相談しましょう
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