ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。今まで水族館や動物病院で働いてきました。獣医師の中では割と変わり種で、珍しい動物たちを診る機会が比較的多く経験させてもらいました。
昨今、SNSで珍しいペットの動画などが人気です。そして家で過ごす時間が増えた影響で、犬猫以外のエキゾチックペットと言われる小動物を飼う人が増えてきています。
動物病院への問い合わせで多いのは
「〇〇(動物種)って診察してもらえますか?」
そこで、獣医師の本音。
獣医師だからってどんな動物も診られる訳じゃない!!!
いや、法律上は、診られます。でも責任を持って診療するにはある程度の知識と経験が必要です。イルカやアシカ、ペンギンから野鳥、うさぎ、ハムスター、そして犬猫などなどを今まで診てきました。
そんな経験から、どうして獣医なのに違う動物は難しいのかを解説。珍しいペットを飼っている方、飼おうと思っている方へ。かかりつけ動物病院を見つけることが意外に大変なのは、こんな理由があるんです!
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獣医学部で勉強をして、国家試験に出てくるのは基本的には牛、馬、豚、鶏などの家畜家禽がメインです。私の時代は少し8:2くらいの割合で犬猫のお勉強もありました。
魚(ウナギやブリなど養殖魚)の勉強はしましたが、サメやエイなんかはもちろん習いませんでした。
実際のキャリアは卒業後から
私は新卒で水族館で働き始めたので、全くのゼロからのスタートでした。おそらく犬猫であっても、牛や豚など大動物の獣医師であってもほぼ同じだと思います。大学で勉強したことよりも実際の現場で学ばなければいけないことは、文字通り山積…
教科書通りにはいかない、実際の症例の前で試行錯誤しながら経験をつみ、学んでいきます。
なので必然的に目の前の動物たちのために勉強も経験もしていくことになります。将来的に珍しい動物も診られるようになりたい!という志があれば、休みの日にセミナーにでたり、研修に行ったりすることはありますが、プラスアルファで勉強することは、なかなか難しいのが現状です。
勉強をしていない、経験がないと診療しづらい
結果、犬猫しか診療したことがない獣医師にいきなりウサギやハムスター、爬虫類などの診療をお願いしても
「うちはやってません、診られません。」
と、なる訳です。動物みんな同じじゃないかという方もいるのですが、実はだいぶ違うんです。
犬と猫というだけでも栄養学的、代謝、病気のなりやすさなど違うのに、さらにうさぎ、ハムスター、爬虫類、鳥類など、それぞれの動物の生態や食性を理解して病気への対応をする必要があります。
ましてやイルカなんて、胃が四つあるって知ってました?私は獣医学部にいても知りませんでした!イルカがどんな病気になるか、どんな注意が必要かなんて新人獣医師には全く歯が立ちませんでした。ベテランの飼育担当者に骨の髄まで鍛えられ、教えてもらいました。
人の医者は人間しか診ないですし、さらに専門分野も細分化されています。内科、外科から皮膚科、耳鼻科、眼科、小児科などなど。動物病院はそれらを全て総合的に診療し、かつ多くの動物種にも対応する…控えめに言って獣医師の仕事の範囲ってすごいと思います笑
一般的なケガの治療とか、軽い症状なら診る場合もありますが、詳しい検査をしたり治療をするにはそれなりの技術と知識が求められます。
獣医師は生命を預かるので生半可な判断はできません。すると、どうしてもちゃんと知識と経験のある動物の診療以外は難しいということになります。
珍しい動物がくると内心あせる?
以前勤めていた動物は犬猫からエキゾチックペット、保護された野生動物まで幅広く診療していました。
珍しい動物が来ると、正直、内心ちょっとドキドキします。
エキゾチックペットは教科書や本でなんとなく見たことがある!という動物だったりするのですが、難易度が高いのが野鳥!
ん?これはなんだ??どうしよう???
そんな時は野鳥図鑑を使って、食性や生態をしっかり調べていきます。何とかしなきゃ!と試行錯誤していきます。そこが大変でもあり、楽しいところでもあります。
珍しいペットを飼う際には注意!
飼育者にもちゃんとした知識が必要
かわいいから、珍しくて面白そうだからという理由だけでは動物を健康に飼うことは難しいです。特に珍しい動物たちは人との歴史が長い犬や猫と違い、野生に近いです。
人に馴れなかったり、(人にとっての)問題行動が起こったり、意外とお世話が大変だったり、具合いが悪いことを隠したりします。
ちゃんとその動物の生態や食性を理解して飼うことをおすすめします。
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また、上記のように、獣医師だからといってどんな動物も診療できるわけではありません。近くの動物病院が受け入れ可能かどうかも確認しておきましょう。
中には片道1時間以上かけて専門の動物病院へ通う方もいます。ただ、何かあったときに近くにかかりつけがあった方が絶対にいいと個人的には思っています。
まとめ
獣医師だからってどんな動物も診られるわけじゃない理由
- 獣医学部で習うのは家畜家禽が中心
- 結局、卒業後の現場での経験と勉強が必要
- 動物種によって対応が大きく変わることも
- 分からない動物種で100%の診療は難しい
- 珍しい動物は対応しない獣医師も多い
もし、珍しい動物を飼いたいと考えている方は、その動物についてよく知った上で、かかりつけ動物病院を探しておこう。
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