ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。動物病院で勤務していた頃、新人さんたちの最初の難関といえば‥
電話の応対!
これ、最初は電話取るの怖いですよね。ついつい電話が鳴っていても「誰か出てくれないかなぁ」と様子を伺ってしまったり‥特に新人さんにはハードルが高く感じるかもしれません。
そろそろ電話に出てみない?と、聞いても「まだ不安なんですと言って、なかなか一歩踏み出せない子もいました。
今回は動物病院の電話応対でおさえるべきポイントを紹介!最終的には慣れが必要ですが、そこに行くまで、初めの一歩の不安が少しだけでも取り除ければ嬉しいです。
動物病院は電話が多い
立ち仕事が多いイメージの動物病院ですが、じつは電話応対ってとても多いのです。大きな動物病院では受付専任の人が電話など全て対応する場合もありますが、小さな個人病院などでは、動物看護師、獣医師関係なく、電話に出られるタイミングの人が対応する必要があります。
診療や事務仕事をしながらの電話は本当に大変です。忙しい時に限って電話も多かったり、電話の対応をしていたら今後は診療のための人手が足りなくなったり。
慣れとコツを掴むまでがやはり大変ですね。
どうして電話応対が怖いんだろう?
ではなぜ動物病院での電話応対を怖いと感じてしまうのでしょうか?
電話になじみがない
最近は携帯電話が主流で、固定電話に触れる機会が減りました。新人さんの中には、固定電話の使い方から奮闘している子も見たことがあります。また、普段自宅に固定電話があっても、外線、内線などの使い方に焦ることも。
分からないこと聞かれたら怖い、できるか不安
また、新人さんは動物病院の仕事に慣れることも精一杯ですし、まだまだ分からないこともたくさんある中で、電話でいろいろ聞かれても
「えー、そんなの私も分からんよ‥」
という状態ですよね。しかも電話の内容は事前に分からないので、相手がどんなことを言ってくるかも分からない。失敗したら怖いし、よく分からないし、メールと違ってやり直し出来ないし‥それは躊躇してしまうのも仕方ないです。
動物病院の電話でよくある用件
飼い主さんから予約、注文の電話
多いのは診察の予約や、トリミング、ペットホテルの予約電話。お薬やフードの注文の電話です。動物病院によってはECサイトを持っていたり、ネット予約ができたりすることもありますが、まだまだ少ない印象です。
また、高齢の飼い主さんだとなかなかネット予約ができず、電話をかけてくることも多いです。
飼い主さんからの問い合わせ
これが新人時代に怖かった電話でした笑。自分がまだ自信がないなかで、いろいろ聞かれるのは不安ですよね。
「次のお休みはいつ?」「午後の診察は何時までやってる?」
といった、軽い質問であれば答えられますよね。
業者からの電話
薬の代理店からの案内や、機械、検査会社からなどの連絡です。なかには薬の欠品や納品遅れ、検査についてなど重要事項もあるので、要注意。
動物病院の電話応対でおさえるポイント
電話が鳴ったらメモ準備
だいたいは電話の近くにメモが用意されていますが、ない場合は速やかに準備して電話を取りましょう。どんな内容の電話かは出てみないと分かりません。複雑な内容だとメモがないと引継ぎをするにも正確に伝えられないことがあります。まずはメモを準備して電話をとる習慣、癖をつけると便利です。
まずは挨拶で時間稼ぎ
電話をとったらまず名乗って挨拶をしましょう。このフレーズは各病院で少しずつ違うことがありますが、先輩の真似をするのが簡単です。
「はい、〇〇動物病院です。」
「はい、〇〇動物病院、獣医師のぽこがお伺いします。」
自分の名前を名乗る病院もありました。
私がやっていたのは、このあとに「こんにちは」の一言を入れてみると、用件を言い出そうとしてた相手でも、だいたいは、「こんにちは」と返してくれます。バタバタと電話を取ったとしても、この「はい、〇〇動物病院です。こんにちは。」「(電話相手)こんにちは。」
挨拶のやりとりの間、これだけ余裕が作れるので、この間にメモやらなんやらを準備していました。また、電話相手もスローダウンして落ち着く気がします。
用件を聞く
そして、ちゃんと落ち着いた段階で用件を聞いていきましょう。用件を把握したら、電話相手のお名前を聞きます。でも動物病院ならではの悩みが!
それが「どっちの名前?」問題です。
単純に「お名前をお願いします。」と聞くと、飼い主さんの苗字だけだったり、または、わんちゃんや猫ちゃんのお名前だけ言われたり、「えっどっちの名前??」と混乱する飼い主さんも。
個性的すぎるお名前であればすぐ分かっていいのですが、パッと名前だけ言われても分からないことが、ほとんどです。さらに同じ名前であったら患者さんの取り違え、カルテミスにもつながります。チョコちゃんココアちゃん、マロンちゃんとかめっちゃ多いですよね。
- どうしましたか?(用件)
- 飼い主様のお名前と動物さんのお名前をお願いします。(犬や猫など動物種の情報がないことがある)
用件に関しては聞き取りは慣れが必要かとは思いますが、「何をしたくて電話したのか」が分かれば先輩への引き継ぎができます。要件をひと言、ふた言で伝えられる範囲まで、まずはそこまで頑張ってみましょう。
- 要約して繰り返す(その間にメモとるための時間が稼げる)
- 適度なあいづち:「そうなんですね」
- 「なるほど」は失礼になるので避けよう
- 詳しくは聞きすぎない
- 自分だけで対応した電話の内容は先輩へ必ず報告
先輩へスムーズにパス
おそらく始めの頃は自分1人での応対は出来ないと思うので、スムーズに先輩へパスしましょう。そして、先輩がその電話に対してどんな対応をしているかを見てみましょう。
- だれから
- どんな用件で(フードの注文、ホテルの予約、お薬について問い合わせなどなど)
「ぽこ先生、鈴木ポチちゃんでお薬について相談したいことがあると電話です。」
「先輩、佐藤たまちゃんがいつものごはんの注文でお電話が来ているので、引き継ぎお願いします。」
初めはこんな程度でも十分です。慣れてきたら先輩に聞きながら、または付いてもらいながら少しずつ自分で応対していくようになると、ちゃんとできるようになります!
- 誰からか、どんな用件かを簡潔に伝える
- 徐々に自分でも先輩に聞きながら、付いてもらいながらトライ
- 分からなければ素直に「分かりませんでした、すみませんがお願いします」でOK
こんなときどうする?
緊急性があるもの
- 急患の連絡
- 苦情、クレーム
動物病院なので時には緊急の電話もかかってきます。特に急患の場合は飼い主さんもパニック状態なこともありますので、速やかに獣医師又は先輩に変わってもらいましょう。たとえ忙しくても急患の連絡であればすぐに対応してくれるはずです。
また、苦情やクレームに関しては対応ひとつで、ややこしいことになる可能性もあります。もしそんな雰囲気を感じ取ったら、分かることなどでも中途半端に伝えることはしない方が無難です。この場合も速やかに責任ある立場の人に代わってもらいましょう。
自分は分からない詳しい話をされ始めた
飼い主さんによっては、電話にでた途端、詳しく時系列でお話してくださる方もいます。ただ、そこで詳しく聞いても診察をしないとはっきりしたことは言えません。なので上記の必要事項を聞いたら、「詳しくは獣医師が伺いますので、代わります。」とバトンタッチが無難です。代わってからまた同じ説明をするのは飼い主さんも大変ですし、時間もかかります。
あ、これは手に負えないやつだ‥
そう思ったら、失礼のないよう区切ってバトンタッチしましょう。
まとめ
動物病院にはさまざまな電話がかかってきます。それぞれに対応することを覚えるのは本当に大変ですね。対応するには慣れが必要。でも最初からできなくてもいいんです!
- まずは電話をとってみることから開始
- メモを準備して、挨拶をしてみよう
- 用件は簡潔に聞こう
- 言われたことを繰り返すことで、確認とメモする時間の確保
- 名前を聞くときは飼い主さんの名前と動物さんの名前の両方を聞こう
- はじめはスムーズに先輩へパスできればOK
- 急患、クレーム、苦情は速やかに上の人へパス
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