【獣医が思う】ペット保険って入ったほうがいいの?

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。ペットの犬猫の診療費って思ったよりも高いですよね。人と違って保険制度がないので、全額払わなければいけません。獣医さんもぼったくりな訳ではなく、ちゃんとした請求のもとにやってますが、たまに自分でも「わあ、高いなぁ」と思うことも正直あります。

診察室でよく聞かれる質問のひとつ。

ペット保険って入ったほうがいいですか??

ルール上、獣医師の方からどこそこの保険会社がいいよとかおすすめすることは出来ません。なので、今回は私がいつも診察室でこう聞かれたらどう答えるか、それを紹介したいと思います。

答えはズバリ

人による。

ペット保険とは?

ペットがケガや病気によって動物病院で診療を受けたときに、飼い主が負担した費用の一部を補償するのがペット保険です。

日本のペット保険の加入率は海外と比べるとまだまだ低いのが現状だそうです。スウェーデンなどは80%近くですが、日本ではまだ10%未満だそうです。だいぶ低いですね。

人の病院では窓口ですでに保険料を差し引いた分を支払っているので、病院に行っても会計は数百円から数千円程度で抑えられいます。

何種類くらいあるの?

ペット保険会社は増えてる

2022年4月現在、日本国内でペット保険を販売している会社は、損害保険・少額短期保険を合わせると17社あるそうです。

最近はネット型で保険料もお手頃なものもたくさん出てきました。

プランもたくさん

通院、入院、手術など、全ての診療費を対象に「〇〇%補償」となってる充実したプランや、保険料を安く抑えて手術など大きな出費に備えるプランまでさまざまです。

現在動物病院の窓口で精算できるのは大手2社(アニコムとアイペット)。窓口で既に保険の分を差し引いて支払いができます。

他社の場合は、いったん全額支払って、あとから補償分がもらえるという形になります。その分診療明細を添付したり、書類を病院で書いてもらったりという手間がかかることがあります。その分ネットで手続きが済んだり、保険料が安ったり違う面のメリットがあることが多いです。

どんな時に必要?

年間の医療費の平均

ペットの犬猫も高齢化が進んできたこと、さらに獣医療も進歩してきて、先進的な(高額な)治療も出てきました。

医療費が高いといっても、1度に100万円をこえるほどの高額なことなんてほとんどといってないです。(一部の専門病院ではあるかもしれませんが)

でも手術、入院で高くて30〜50万円程度、一回の通院や検査で高くて5万円程度。結構高いですよね。また、年齢により心臓や腎臓が悪くなると継続的な通院やお薬が必要になります。

若ければ大丈夫かと言うと、例えばアレルギー性疾患であればお薬がずっと必要になる場合もあります。3歳でアレルギーと診断されたら10年以上お薬を使うこともあるかもしれません。

基本的には「何かあったときのため」

保険なので、何かあったときに備えるものです。これだけ保険料払ったんだから保険使わないともったいないとか、元が取れないとかそういった損得ではないです。

今までずっと病気知らずで、病院にもかからなかった子が12〜13歳くらいで大病が発覚するケースもあります。そこで慌てて保険に入ろうとする方がいますが、大概年齢的に入れないか、その病気が対象外になって補償が受けられないことがほとんどです。

元気なうちから何かあった時のために備えるのが保険というくらいに思ってた方が良さそうですね。

加入の際の注意

持病、先天性疾患がある場合、それらが保障の対象外になることが多いです。初めは大したことのない問題でも、のちのちその持病などが起因して大きな問題になることもあります。加入の際には条件を確認しましょう。

回数、金額に制限がないかも重要です。これらに制限があるプランはその分保険料も割安です。ただ、アレルギー性皮膚疾患や心臓病など、いわゆる「ずっと付き合っていく必要のある病気」の場合は定期的な(月1回など)通院が必要なケースもあります。

人も動物も今後どんな病気や怪我をするかなんて分かりませんが、プランをどうするか、ライフステージに合わせて変更などが可能か、事前にしっかり確認をすることをおすすめします。

私(獣医師)はどう考える?

ペット保険が必要かどうかの答え

上記の通り、人による。

その金額がポンっと出せるような方は保険に入る必要はないと個人的には思っています。

ただ、そんな余裕がある人はひと握り。だいたいは「きついなぁ」と思うほうが多数派だと思います。私もそう思います。

将来、飼っている子がどんな病気になるか、どんなケガをするかそれは誰にも分かりません。そこをどう考えるかは、それぞれの家庭状況、経済面、優先度により異なってきます。

  • なるべく病気になったときに備えておきたい、選択肢をもちたいからしっかりした補償を選ぼう
  • 病気になったときに考えよう
  • 毎月の保険料はそんなにかけられないから、大きな「手術」くらいの補償だけでも持っておくと安心

このように色々な考え方があります。

飼い主さんにはこう伝えてる

保険が必要かどうかは人によります。保険に入ってても、たいして使わないまま寿命を全うする子もいます。一方で、保険に入ってたからこそ、積極的な治療をすることができた子もいます。保険に入ってないからと、費用面で治療を諦める飼い主さんもいます。

保険に入ることで何かあったときの治療の選択肢を増やすことができます。

このポイントに、いくらなら毎月保険料を払えるか、じっくり考えて決めてください。

まとめ

日本のペット保険の加入率は10%未満と低いです。

  • 補償される内容によってプランや保険料はかなり違う
  • 窓口清算できる保険会社は2022年5月現在では2社のみ
  • 保険に入っててもほとんど使わない子もいる
  • 保険に入ってたから高額でも積極的な治療をすることができたケースもある
  • 保険に入る前に適用外のケースを必ず確認!
  • 保険に入ることで治療の選択肢を増やすことができる
  • 何を重視するかは人それぞれ

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