健康診断の季節ですね。犬猫の採尿方法と注意点を獣医が紹介

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やってます。動物病院でよく聞かれることなどを、なるべく専門用語を使わず、分かりやすく、おしゃべりする感覚で解説していきたいと思います。

春ですね。予防と健康診断の季節です。この機会に健康診断を受けましょう!

さて、動物たちの健康診断の際によく聞かれるお悩みの一つ

検診用のおしっこってどうやって採るんですか??

確かに便はなんとなくそのまま持っていけそうだけど、おしっこはどうやって採るのか想像がつきづらいですよね。尿は検査によって腎臓や膀胱・尿路の問題、尿石症など多くの情報が分かります。特に高齢のわんちゃん、猫ちゃんではしっかりみてもらったほうがいい検査ではあるので、今回は採尿のポイントを解説していきたいと思います。

尿検査で何をみているの?

尿検査でわかることは主に尿を作る腎臓での問題、膀胱・尿路系の問題です。

尿試験紙

いくつも項目がある試験紙を使って成分やphを調べます。主な項目を説明します。

ph

phとは尿が酸性かアルカリ性かを調べるものです。わんちゃん、猫ちゃんの正常なphは弱酸性で5.5〜6.5くらいです。ここから外れていると尿の中に結晶ができやすくなります。(尿石症)

タンパク質

腎臓が壊れていたり、ばい菌の感染、血圧が高かったりすると尿タンパクが出てきます。疑わしい場合はさらに詳しく調べる検査(UPCといいます。)に進みます。

潜血

その通り血が混じっているかどうかの検査です。腎臓から膀胱、尿路に石ができていたり、出来物ができたり、炎症があると混じってくることがあります。正常では血液は出ないので、潜血反応陽性であれば要注意です。

ブドウ糖

糖尿病や腎臓のトラブルによって尿にブドウ糖が出てきます。これも正常では検出されないので、陽性であれば更なる検査が必要になってきます。

ケトン体

体が飢餓状態になると出てくるのがケトン体です。これが陽性だとなかなか重篤なことが多いので、検査、治療が早急に必要です。

尿沈渣

尿を遠心して下に沈んだものを顕微鏡で確認します。細胞(炎症、腫瘍など)や結晶(尿石症)がないかどうかチェックしています。

尿比重

尿の濃さを調べています。腎臓が正常であれば濃縮された尿なのですが、腎機能が低下していたり、多飲多尿(たくさん水を飲んでたくさんおしっこが出る)と呼ばれる症状がある場合には薄い尿になってきます。この場合は原因を調べる必要があります。

採尿方法

さていよいよ採尿方法です。ペットシーツや砂に吸収された尿では検査できません。液体の状態での尿が必要です。大きく分けると以下の3つの方法で取ります。

直接受ける

わんちゃんのお散歩中など、おしっこをする際に、キレイに洗ったお肉やお魚のトレイなどで受けてとります。小さな容器よりもお皿型のほうが取りやすいです。もし大きなものが背後にあることを気にしてしまう場合はこんな製品もあります。

出典:楽天市場

これはウロキャッチャーという製品で先端がスポンジ状になっており、ここで尿を受けて吸収します。小さいので猫ちゃんでも使える子はいます。動物病院に相談して出してもらいましょう。

トイレを工夫する

やはり排泄をする際に、飼い主さんが背後で待ち構えていると我慢してしまう子もいます。(落ち着かないですよね笑)そんな際はトイレに一工夫しましょう。猫ちゃんであればトイレの砂を少なめにしておくと尿が全て吸収されずに水たまりのようになり、そこを吸い取ればOKです。わんちゃんでペットシーツをトイレで使っている際には裏返してビニール面が上になるように置いておきましょう。

また、システムトイレを使っている場合は一番下のシーツを抜いておくだけなので簡単に採ることができます。

病院でとってもらう

それでも気にして我慢してしまう子も中にはいます。そんな場合は遠慮せずに動物病院でとってもらいましょう。方法としては直接針を膀胱に刺してとる穿刺採尿や、細い管を入れてとるカテーテル採尿などがあります。この時の注意点としては、膀胱に尿がたまっていないと取れないので、診察直前の排泄は避けましょう。

注意点

なるべく早めに検査

やはり検査は新鮮尿が一番です。時間が経つと菌が繁殖したり、性状が変わってしまうこともあります。正確な結果を出すために、可能であれば1時間以内、遅くても半日以内には持っていくようにしましょう。

どうやって持っていく?

尿の保存は密閉できる容器がいいです。病院から容器をもらえることもありますし、なければお弁当のお醤油さしのようなもので大丈夫です。5〜10ml程度あれば十分検査ができます。よほどの猛暑などでない限り保冷したりする必要はなく、常温でお持ちください。

便や砂の混入を避ける

尿をとる際に便が混じってしまうと、細菌感染なのかどうか分からなくなってしまいます。なるべくキレイな状態の尿を持っていくようにしましょう。

同居の他の子のものと混じらないようにする

同居の動物たちでトイレを共有している場合は、他の子のものが混じらないようにしましょう。そして確実に、検査をする子の尿をとりましょう。以前、間違って持ってきた方も少なからずいらっしゃいます。意外な落とし穴なので気をつけましょう。

まとめ

いかがでしたか。これらの方法を試してみて、やっぱりダメなら遠慮せずに動物病院でとってもらいましょう!

  • 尿検査は健康診断で大切
  • キレイで新鮮な尿が検査にはベスト
  • トレイなどで直接受ける
  • ペットシーツを裏返す
  • 病院でとってもらう
  • とれたら密閉容器で遅くとも半日以内には検査をしてもらう

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