こんにちは、ぽこです。
獣医師を10年以上やってます。動物病院でよく聞かれることなどを、なるべく専門用語を使わず、分かりやすく、おしゃべりする感覚で解説していきたいと思います。
動物病院でよく聞かれる質問です。
猫ちゃんのフードはどうやって選んだらいいですか?
猫ちゃんは特にグルメさんだったり、好みがはっきりしている子がいるので苦労されている飼い主さんもいらっしゃいますよね。今回は特に持病がなく、健康な猫ちゃんのフードの選び方についてお話したいと思います。
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よくあるお悩み
猫ちゃんのご飯でよく聞くお悩みは以下のものが多いです。
- 色々ありすぎてどれを選んでいいのかわからない
- 同じフードを食べていると飽きてしまう
- おやつなど美味しいものばかり食べてしまう
- 病気が心配だから療法食にしたほうがいい?
フードを選ぶポイントを紹介していきますね。
その1 総合栄養食を選ぼう
一般食と総合栄養食とは?
必ずフードのラベルなどに「総合栄養食」か「一般食」と記載があります。総合栄養食とは猫ちゃんに必要な栄養が全てバランスよく入っているフードのことです。これを主食にしていきましょう。一方、一般食は栄養面では偏りがあったり、足りない場合がありますが、嗜好性(食いつき)が高く、美味しいものが多いです。おやつなどに一般食の記載が多いですが、一見主食のように見える缶詰でも一般食のこともあり注意が必要です。
総合栄養食を食べていれば、一般食は基本的に使わなくても大丈夫です。例えば病中病後で食欲がない時のトッピングや(獣医師と相談して)、ご褒美やおやつとして少量時々使う分には問題ありません。
価格帯
だいたい、中価格帯以上であればいいと思います。あまりにも高価なものだと続けるのが大変ですし、安価なものだと添加物などの問題もあります。それぞれのフードメーカーのHPなどを見て、フードの研究に力をいれているかチェックしましょう。
その2 カリカリ?それともウェット?
フードは形態でドライフードとウェットフード(缶詰やパウチ)があります。それぞれのメリット、デメリットがあります。
ドライフード(カリカリ)
メリット
- 保存がきく
- 歯石がつきづらい
- 比較的価格が割安
- (ウェットフードに比べて)少ない量で栄養が取れる
デメリット
- 水分が少ないので、しっかり水分補給が必要
- 硬い(口内のトラブルがあったり、シニアになると食べづらい事がある)
ウェットフード
メリット
- 嗜好性が高い
- 猫ちゃんに必要な水分がしっかりとれる
- 柔らかく食べやすい
デメリット
- 開封後の保存がきかない
- 歯石がつきやすい
- 一回の食事量が(ドライフードに比べて)多い
- 価格がやや割高
猫ちゃんが好むものを使っていただくのが良いです。あえて、どちらがおすすめかというと、ウェットフードです。猫ちゃんでは腎臓や尿のトラブルが多いので、水分補給はとても大切だからです。でも、ドライフードでも十分お水が飲めていれば無理にウェットフードにしなくてもいいですよ。
その3 大袋ではなく、小分けのものが○
開封後の使用期限は?
缶詰などのウェットフードは冷蔵庫でできたら当日以内、ドライフードは空気や湿気、光を遮断した状態で約1ヶ月が目安です。大きな袋のフードの方が割安ですが、品質やおいしさ、香りがなくなってしまうだけでなく、酸化したフードはお腹を壊す原因にもなってしまいます。ドライフードは1ヶ月で使い切れる量の袋、または小分けになっているものを選びましょう。
飽きっぽい猫ちゃんには何種類かをローテーション
先程紹介したお悩みで「すぐ飽きてしまう猫ちゃん」には、3〜4種類程度のフードをローテーションで使うことをお勧めします。ドライフード、ウェットフードも取り混ぜて、バリエーションを増やしましょう。この際にも小分けのフードの方が使いやすいですよね。
「うちの子、このご飯しか食べないのよねえ」
たまにそんな猫ちゃんがいますが、実はこれ、とても危ないのです。なぜかというと…
- 病気になった時、療法食へ変更が難しい
- 災害時にフードが手に入らないことがある
- 流通のトラブルやメーカーの製造中止でフードが無くなる事がある
なので、なるべく若いうちに何種類かのご飯を試していただくのをお勧めします。
その4 年齢に合っているか
元気でアクティブな若い猫ちゃんとゆったりしているシニアの猫ちゃんでは、必要な栄養やカロリーも違います。年齢に合ったフードにしましょう。
その5 グレインフリーがいいって本当?
グレインフリーとは、穀物不使用のことです。猫ちゃんはもともと肉食動物なので穀物の消化は苦手です。でも穀物が必ずしも悪いわけではなく、適切な量と製法であれば問題ありません。
グレインフリーのフードは肉食動物の猫ちゃんに合っているご飯であること、また穀物アレルギーのある猫ちゃんには療法食以外の選択肢になることという点ではいいフードだと思います。でも必ずこれじゃないといけないという限定的な感じではないです。
その6 病気が心配だから療法食の方がいい?
たまに病気ではないのに、病気が怖いからという理由で飼い主さん判断で療法食を食べている子がいます。療法食とは腎臓が悪い子用のフードや尿石症用のフードなど用途によってさまざまな種類があります。以前は療法食は病院で処方されるものでしたが、最近はネットやホームセンターで買えるようになっています。病院に行かなくても買えて便利な一方、誰でも買えるためこのようなことが起こっています。
基本的には獣医師の処方が必要で、使い方を間違えるとかえって健康を害する恐れがありますので、診断なしで療法食を使うのは避けたほうが無難です。健康に問題のない子であれば通常の総合栄養食でOKです。病気が心配であれば病院での定期検診をしていきましょう。
フードの良し悪しってどう判断するの?
どんなにいいフードでも合う、合わないがあります。まずは健康の指標であるうんちを見ましょう。その子に合っているいいフードであればいいうんち(硬すぎず、ツヤがある。指1〜2本分くらい)が出ますし、回数も一日に1〜2回程度です。
NGなのは…
- 一日に3〜5回など排便回数が多い(栄養がうまく吸収されずにそのまま出てきているかも)
- ころころした粒状のうんち、硬いうんち
- トイレの床にべちゃっと付くようなやわらかいうんち
- 良いうんちだけど血がつく⇨病院に相談しましょう。アレルギーなどが関係しているかもしれません
その他、毛艶や体重などもチェックしながら最適なフードを選んでいきましょう。
まとめ
猫ちゃんのフード選びポイント6選
- 総合栄養食
- 食べが悪い子にはウェットフードやグレインフリーがおすすめ
- 小分けの袋で適切に保存、ローテーションも検討
- 年齢に合ったフード
- 病気でなければ療法食は使わない
以上のポイントを押さえて猫ちゃんに合ったフードを選んでいただけたらと思います。いいご飯は健康長寿のもとだけでなく、おいしく食べている姿を見ているだけで幸せですよね。
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