【獣医師解説】家で犬猫の毛玉を切る時、これ気をつけて!

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。動物病院や一般企業での勤務経験をもとに飼い主さんや動物たちに役立つ情報発信を心がけています。

長毛種のわんちゃん、猫ちゃんの悩みといえば、そう

毛玉!

動物でも時々相談があり、毛玉の処理やケアについてお話する機会がありました。

毛玉って一回できてしまうとなかなかほぐすことが出来ず、どんどん大きくなったり、増えてしまったり。取ろうとしても嫌がられてしまうと、どうしたらいいか分からなくなってしまうという飼い主さんもいました。毛玉を切ろうとして皮膚を切ってしまって病院に駆け込んできた方もいました。

だからといって毛玉を放置しておくとさらに汚れや湿気がこもり、皮膚炎の原因になってしまうこともあります。

今回はわんちゃん猫ちゃんの毛玉対策について、予防から自宅で切る時の注意点など解説していきます。

毛玉ってどうしてできるの?

長くて柔らかい毛質

毛が長くて柔らかいと毛玉ができやすいです。長毛の猫ちゃんは毛玉トラブルに悩む子が多いですね。短毛の猫ちゃんでも油断は禁物です。

わんちゃんだと、ヨークシャーテリア、マルチーズ、ロングコートチワワなどといった犬種が多いですが、トイプードルでも毛玉ができてしまう子もいます。

また、一見毛玉とは無縁と思えるような短毛の柴犬などでも、換毛の際に古い毛が絡んで毛玉になってしまうこともあります。

スレなど物理的な刺激

毛玉ができやすいのは、よく動かす部分です。長い毛が擦れることによりねじれてまとまりやすくなってしまいます。多いのは耳の後ろ、脇、内股などです。また、お洋服を日常的にきている子も服と毛が擦れることにより毛玉になりやすい傾向があります。

濡れた毛がヨレてしまい、かたまる

シャンプー後や雨、水遊びなどで毛が濡れると、毛同士が絡まりやすくなります。絡まったまま乾くとそこを軸にしてどんどん毛が絡まっていきます。さらに毛玉になると濡れたら毛玉の内部まで乾かすことが難しくなります。そしてどんどん固くなってしまうのです。

ブラッシング、毛繕い不足

毛の長い子は普段からのブラッシングがとても大切です。少しヨレていても、お手入れできればリセットされて、キレイな状態をキープできます。ただ、ブラッシングをなかなかさせてくれない子はその分毛玉にもなりやすいです。

猫ちゃんの場合は毛繕いを自分でするため、毛玉になることを自分で防いでくれます。長毛の猫ちゃんでも全くブラッシングなしでキレイな状態をキープできる子もいます。そんな子は毛繕いが上手なんですね。上手な子がいれば、あまり得意でない子もいます。そんな子たちは人がブラッシングで手伝ってあげましょう。

また、高齢、持病などの体調不良、歯周病などの口のトラブルがあると毛繕いをしなくなってきます。そうなると毛並みがゴワゴワしたり、毛玉ができたりすることが多いです。毛玉は体調不良のサインのこともあるんですね。

毛玉を放っておくとダメな理由

毛玉って毛の塊でしょ?特に放っておいても見た目がちょっと悪いだけで問題ないでしょ??

そんなお声を聞いたことがあります。実は見た目だけの問題で済まないこともあるので大変なんです。

毛玉は毛同士が絡み合い、固まってしまったものです。少し絡んだだけのものから、存在感のある大きな塊まで程度は様々です。少し絡んだだけのものはそんなに悪さをすることはありませんが、それでも放っておくと、それを軸にどんどん毛玉が大きくなってしまいます。

フェルト状の大きな塊になってしまうと、なかなかほぐすことは困難です。引っ張られるともちろん痛みがあるので、余計にブラッシングなどを嫌がる悪循環になります。毛と皮膚の通気性が悪くなり、雨やシャンプーで濡れてしまうとなかなか乾きません。

さらに毛玉の下は湿気や汚れなどが溜まりやすく、毛玉の下で皮膚炎を起こしてしまうことも。毛玉を動物病院で除去したら、その下からずるっとただれた皮膚が出てくることもありました。

たかが毛玉、されど毛玉。なるべく早くケアしてあげることが大切だと獣医師としての経験から考えます。

自宅で切るなら気をつけたいポイント

毛玉を見つけるとついついすぐ切りたくなってしまいますよね。でも不用意にハサミやバリカンで毛玉をカットしようとして、皮膚まで切ってしまったという事件を多数診てきました。中には傷を縫わなければいけないくらいの子も。

動物病院スタッフやトリマーさんも毛玉を切る時には皮膚まで切らないようにかなり注意をしています。意外にも、毛玉取りってプロであってもそんな注意が求められる処置なんです。

ほぐせるかどうか?

おうちでまず毛玉を見つけた時にトライしてみていただきたいのは、ほぐせるかどうかです。

軽度で小さな毛玉であれば、ブラッシングをすることでほぐすことができます。その際に毛を引っ張らないように根本をしっかり持った状態でブラッシングをしましょう。人も動物も毛を引っ張られるとやっぱり痛いものです。痛みがあると嫌がってその後触らせてくれなくなることもあります。

なるべく痛くないようにブラッシングをするということがポイントです。スリッカーブラシを使うとほぐしやすいです。

切る時は細心の注意で

自宅で毛玉を切る際には本当に細心の注意が必要です。なぜかと言うと毛玉を切ろうとして皮膚まで切ってしまうという事例がとても多く見られるからです。

なぜ皮膚まで切ってしまうのでしょうか?

それはわんちゃんや猫ちゃんの皮膚が思いの外、伸びるからなんです。余談ですがウサギになるともっと大変。皮膚がすぐ裂けてしまうのでより注意が必要なんです。

毛玉を切ろうと毛玉をひっぱるとその下にある皮膚も一緒に引っ張られてしまいます。そうなると、イメージとして「ここまでは毛玉だな」というラインでも皮膚が伸びてきてしまうのです。そんな状態でざっくり切ってしまうと皮膚まで一緒に切ってしまうということが起こります。

また、わんちゃんや猫ちゃんが大人しくしてくれていればいいのですが、毛玉を引っ張られるとやはり痛いですよね。そうなるといきなり動いてしまうことも多々あります。手が滑って傷つけてしまったというお声もありました。

毛玉を切る際には一気に切ろうとせず、端から少しずつほぐして、毛だけのゾーンをつくり、さらに自分の手を後ろに当てて少しずつ切っていきましょう。引っ張らないのがポイントです。

プロにお任せも全然アリ!

そうはいってもなかなか難しいのが現実ですよね。なので、動物病院やトリマーさんなどプロにお任せも全然アリです。毛玉があると追加料金が発生することがほとんどです。でもそれは上記のように細心の注意を払いながら、手間と時間がかかるため。必要なコストとして考えましょう。

まとめ

毛玉は実は皮膚炎の原因になることもあり、早めの対処が大切!

  • 毛が長くて柔らかいと毛玉になりやすい
  • 擦れる部位、服などの影響で毛玉になりやすい
  • 濡れた毛をそのままにしておくと毛玉になりやすい
  • ブラッシングや毛繕い不足だと毛玉になりやすい
  • 毛玉は可能な限り早めに対処、ほぐせるならほぐそう
  • 毛玉を切る際には思いの外皮膚が伸びることをお忘れなく
  • プロにお任せも全然あり!

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