知ってほしい、供血犬のこと。実際にあった事例も紹介

どうぶつ

ぽこです。

供血犬ってご存知ですか?

なんだかよく知らないけど、血を取られるなんてかわいそう。そんな声を聞くことがよくあります。

供血犬とは輸血が必要なわんちゃんのために血液を提供してくれるドナーのわんちゃんのことをいいます。人では献血というシステムがありますね。血液のストックが各病院にあり、必要な時に速やかに輸血ができるようになっています。でも動物病院ではなかなかそれが難しいことが現実です。

基本的に血液のストックは動物病院にはありません。

なので、その都度、必要な血液を他のわんちゃんから分けてもらって輸血をしています。病院で飼われているわんちゃんやスタッフの飼い犬が供血犬として出動することもありますし、その病院に患者としてかかっているわんちゃんがドナー登録をしていて、必要な時に出動することもあります。

供血犬は緊急時に命を繋いでくれる、とても大切な存在なんです。

実はあなたのわんちゃんも供血犬として協力できるかもしれません。普段あまり知られていない供血犬についてお話ししたいと思います。

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犬の輸血って実際どんな感じ?

困った!輸血が必要だ。ドナーを探せ!!

輸血が必要な時は突然来ます。

具合が悪くて診察に来てみたら、重度の貧血だった。手術をしたいが、輸血がないと難しい…など色々なケースがありますが、総じて輸血が必要=命の危険がある場合がほとんどです。

まずはドナーとなる供血犬を探します。病院で飼われている病院犬が血液を提供してくれることもありますが、当然、全ての病院にそんなわんちゃんがいるわけではありません。またいたとしても最近血液を輸血用に採ったばかりであればその子の体のために、また再度とるわけにはいきません。

病院によってはドナー登録をしてくれているわんちゃんたちがいます。「いざという時は病院に来て血液を提供してもいいですよ」と事前に登録してくださっている方々です。スタッフは片っ端から電話をかけていきます。だいたい緊急なので、「今から来られますか?」という感じになってしまい、ご都合がつかないことも多々あります。そんな中で来てくださった飼い主さんとわんちゃんには感謝感謝でいっぱいです。

検査

ドナーとなる供血犬が見つかったら検査が始まります。

人と同じようにわんちゃんにも血液型があります。人はABO式ですがわんちゃんはDEA式が使われます。犬の血液型に関してはまだ研究段階で8〜13種類あると言われていますが、現場で使われているのは「DEA1.1」という抗原を持っているか、持っていないかでDEA1.1(+)と DEA1.1(−)の2種類の血液型です。要するに「プラス」のわんちゃんと「マイナス」のわんちゃんがいるので輸血の際には血液型を調べていく必要があります。

供血犬からとった血液と輸血を受けるわんちゃんの血液を決まった方法で混ぜて凝集(かたまり)が起きないかどうかの最終チェックをします。これをクロスマッチと言いますが、輸血前には基本的にしっかりと検査をしていきます。

採血

血液型、クロスマッチの両方をクリアしたらいよいよ輸血用の血液を採っていきます。輸血を受ける患者さんに必要な量と、供血犬の体重から適切な量を採っていきます。その際に血液が途中で固まってしまわないような処理をします。採血が終わったら、採った分の補液をしたりして、供血犬はお家へ帰ることができます。

輸血開始

ここまできて、やっと輸血が始められます。一分一秒でも早く輸血をしたい場合もありますが、これだけの手順が必要なんです。

供血犬って?

どんなことするの?

先述の通り、輸血が必要になった際、ご都合が許せば来院していただき、検査と採血をします。所要時間としてはだいたい1時間前後くらいが多いかと思いますが、状況によりもう少しかかる場合もあります。(機械のトラブルや病院の混雑具合など)

そのほかの生活は特に制限もなく、食べるものも一般的なドッグフードで大丈夫です。いつも通りの生活をしていただけます。

わんちゃんに負担はないの?

わんちゃんの体重に合わせて、採れる血液の量には制限があります。身体に支障がない量を採りますので心配いりません。

人でも献血をしたあとに、少しふらふらする方がいるのと同じように、わんちゃんによっては少し元気がなくなったりするかもしれません。安静にして、もし具合が悪いようなら病院へ相談しましょう。

供血犬の条件

若くて元気な大きなわんちゃん

病院によって条件は少しずつ違うかもしれませんが、私のところでは以下の条件でした。

  • 10kg以上の体重
  • 7歳以下の年齢
  • 持病がなく、健康状態に問題なし
  • 予防接種やフィラリア予防を毎年している
  • 過去に輸血歴がない(輸血をされたことがないということ)

病院によっては特典があることも

病院によってはドナー登録だけでも特典があったりします。私の病院では、供血犬は健康第一なので、年に1回血液検査が無料でできたり、フィラリアの予防薬が割引になったり、フードサンプルがもらえたりしてました。

こんなことがありました

これは私の実際の経験です。

どうしても供血犬が見つからない

ある日、診療終わり間際に、具合の悪いわんちゃんが診察にきました。検査をしてみると重度の貧血。正常の5分の1しかありません。早く処置をしないと命が危険な状態でした。免疫が関係する貧血が疑われたのですが、お薬が効くまでの間、持ち堪えられない可能性があり、輸血をしなくては!ということになりました。

供血犬を探して探して探したのですが見つからず。系列グループ内の他の病院にもかけあって連絡を待っていましたが、どこも見つからない、来られないとのことでした。

看護師長の一言で…

そんなとき、看護師長から「うららちゃん(仮名)はどうかな、先生?」

うららちゃんは近所に住む中型犬で、病院が大好き。いつも爪切りや歯みがきなどのお手入れに来て、飼い主さん共々看護師さんたちとも大の仲良しです。

えっ。でもうららちゃんは供血犬登録してなかったと思いますけど…

看護師長が「お父さんに話してみて協力してくれるかお願いしてみる!」と。

いきなりのお願いでびっくりされるか心配だったのですが、ここはもう看護師長に全てをお願いしました。

駆けつけてくれた!

「先生!うららちゃん来てくれるって!」

もう夜の8時すぎ、遅い時間にもかかわらず、お父さんとうららちゃんが駆けつけてくれました。お父さんはお仕事帰りの格好のまま…本当に本当にありがとうございます!

あとは検査でうららちゃんの血液が患者さんに合うかどうか…幸運なことに血液は大丈夫だったので、うららちゃんから血液をもらって、患者さんに輸血をすることができました。

ドラマのようなお父さんの言葉!

全てが終わり、感謝でいっぱいでした。お土産に美味しい缶詰もお渡しして、うららちゃんはご機嫌でお父さんの方へ走って行きました。

何度もお礼を伝えてると、お父さんが

「いいって。役に立てて嬉しいよ。先生、その子助けてやってな!!」

もう、お父さんありがとうございます!!!ドラマのような素敵なセリフで、泣きそうでした笑

うららちゃんとお父さんのおかげでその患者さんは徐々に回復し、お家に帰ることができました。供血犬の重要さもそうですが、飼い主さんの温かさ、心遣いに泣きそうになった、私の大切な経験です。

登録をするにはどうしたらいい?

かかりつけの動物病院にご相談ください。特に決まりなどはないですが、登録の際に血液型と一般的な健康診断を兼ねた血液検査をすることが多いです。

まとめ

もし、うちの子も供血犬に登録しようかしらと思っていただけたらとても嬉しいです。それだけ命が助かる可能性が広がります。

  • 犬の輸血はストックがないので、その場で採る
  • 供血犬はまだまだ知られていない
  • 供血犬は命を繋ぐ重要な役割をもつ
  • ドナー登録は条件があえば誰でもできる
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