【元水族館獣医が解説】ペンギンの飼い方、ペットにおすすめできない理由

たわごと

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。大学を卒業後、初めて勤めたのは動物病院ではなく、水族館でした。

イルカやアシカ、ペンギンなどのお世話から治療まで毎日駆けずり回っていました笑

水族館でペンギンたちがよちよち歩いてたり、気持ち良さそうに泳いでいる姿を見ると癒されますよね。

ペンギンだ!かわいいー、飼いたいー!

そんな声もたくさん聞こえて来ました。でも内心、

いや、自宅でペンギンはめっちゃ大変だよ…やめといた方がいいよ…と、思っていました。先日、友人がペンギン飼いたいって言ってたので本気で止めました。

そう、ペンギンはペットに向かない!

その理由を元水族館獣医師が解説していきます。

ペンギン飼いたい

ペンギンっていろいろなキャラクターにも使われてますし、何より陸上をよちよち、おしりフリフリしながら歩く姿はとってもかわいいですね。

ぱっとイメージ的には、お風呂などで定期的な水浴びができて、多少の広さのお部屋かお庭があれば飼えそうな気がします。

大きさも小型犬程度ですし、素早く動いたりしなさそうだし、かわいいし、一緒にお散歩したり触ったり抱っこしたい!そう思う方も多いのではないでしょうか?

ペンギンを飼うためにはこれ必要

では、ペンギンをお家で飼うためにはどんなことが必要でしょうか?

ちゃんとした知識

基本ですが、ペンギンがどんな動物なのか知らないと飼うことができません。1年間での換羽、繁殖期、運動量、ごはんの量の変化、そもそもごはんの量、餌となる魚のあげ方、排泄物の正常な状態などなど…

挙げればキリがないくらい、飼育するに当たって、知らないといけないことはたくさんあります。こういった知識がないと動物を健康的に飼うことは難しいと考えられます。(ケージに閉じ込めておくだけという飼い方は別として)

購入費用

まずペンギンはワシントン条約で国際取引が制限されている種類、絶滅危惧種となっている種類がいます。

購入できるとしたら、国内繁殖個体などです。

それでも一羽あたり100万円から1000万円くらいするそうです。なかなかのお値段ですね。

部屋とプール

ペンギンたちは野生では餌を求めて動き回ります。それなりの運動量が必要ということです。

ある程度動き回れるお部屋とプールがあるといいですね。そのほかに散歩なども必要かと思います。

お部屋の床は平べったいままだと、足への負荷がかかり、足裏のトラブルの原因となります。ペンギンたちにとっては凸凹した床の方が足にとっていいんですね。ペンギンたちは決まったトイレはなく、したくなった所で構わず排泄します。お部屋の床は水洗いができる、または防水で汚れが落としやすいほうがおすすめです。時間が経ってカピカピになったヤツは本当に掃除が大変です。

あと、ペンギンたちは排泄をするとき、後ろへぴゅーっと飛ばし、最後に尾羽をフリフリします。かわいいのですが、結構壁にも飛び散ります。

プールの水は可能であれば海水がベストです。真水でもいいのですが、真水だと塩分が足りなくなってしまうので、餌と一緒に塩分をプラスする必要があります。汚れやすいので清潔を保てるように濾過装置やこまめな水換えをしましょう。

お部屋の温度管理にはペンギンの種類が大きく関係します。ケープペンギンなどはアフリカのペンギンで、日本の気候にも比較的馴染みやすく、屋外で飼育している動物園や水族館も多いです。逆に南極近くの寒い地域に生息している種類は温度管理が必須になってきます。

餌代

ペンギンの食べているものは小魚やオキアミです。小型のペンギンであるケープペンギンでも時期にもよりますが300〜500gの魚を食べます。水族館ではイワシやシシャモなどを丸ごとあげていました。毎日この量の魚を買うとなると、1ヶ月の餌代だけでも一万円は超えそうですね。

また、不足しがちなビタミンを補うためのサプリメントも必要です。

水道代

水に関してはかなり使うと思った方がいいです。プールの水は、塩素が入っている水だと羽根を痛めることがありますので、カルキ抜きしておくとなお良いです。

プールの水だけでなく、飼育スペースや道具を洗ったりすることも多いので水道代は覚悟しておきましょう。

かかりつけ動物病院

もし、ペンギンが体調不良になっても、診られる獣医師はほんのわずかです。なぜならペンギンを動物病院に連れてくる人がわずかしかいないので、ペンギンの診察の経験をしたり、勉強をする機会がないのです。

水族館に連れて行っても、当たり前ですが一般家庭で飼われている個体の診察はできません。

ペンギンを診られる動物病院の確保は難題です。

ペンギンをペットにするには3つのハードル

ここまででもかなりペンギンをお家で飼うためにはハードルが上がったかと思います。でも、ここからさらにペンギンがペットに向かない理由を解説していきます。

意外とキツい臭い

ペンギンの臭いは結構キツいです。魚を食べている動物特有の、生臭さがあります。しかも排泄はそこらじゅうで自由気ままにしてくれるので、少なくとも1日2回は水を流しての掃除が必要なのではないでしょうか?

さらに餌の魚を処理したり、食べカスなどを放置したりすることでも臭いが出やすいです。

大きな野太い声

ペンギンが鳴いているところを見たことがありますか?

見た目が可愛らしいのでピィピィとか鳴きそうですが、実際は

もおおおおおおおーーーーーー!

(種類によっても違いますが笑)

と、結構野太い声で、しかも大きな声で鳴いてくれます。ご近所には響きそうですね。

あまり人馴れせず、攻撃的な面も

基本的には人のいる環境で生まれても野生動物です。人に触られたり、抱き上げられることを好みません。抱き上げたらまず暴れます。小型のペンギンでも身はずっしり、力もあります。フリッパー(翼)で叩かれるとまあまあ痛いです。

さらに痛いのがクチバシ!ペンギンのクチバシは魚を捕まえるので、細かいギザギザがあります。これでかじられると痛い、突かれても痛い。たまに流血します。目の高さの抱っこはやめましょう。目を突かれたら一生の傷になります。

彼らは遠慮なく、嫌なことされたらつつきます。餌と一緒に指までかじってきます。それでも可愛がれますか??

まとめ

ペンギンがペットとしてお家で飼うのに向かない理由を解説してきました。

ペンギンたちをかわいいと思うなら、水族館や動物園、動画などで愛でましょう。そして野生で彼らの生息する環境についても、ちょっと思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

  • 購入費用が高い
  • 餌代、水道代など飼育費用もかかる
  • ちゃんとした知識が必要
  • 診察してくれる動物病院はかなり少ない
  • 意外と臭いがキツい
  • 意外と野太い、大きな声で鳴く
  • 人にはあまり馴れない
  • つつかれると結構痛いし、ケガする

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