【獣医師解説】犬の足裏の毛って切ったほうがいいの?

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。動物病院や一般企業での勤務経験をもとに飼い主さんや動物たちに役立つ情報発信を心がけています。

みなさん、わんちゃんの足の裏に毛が生えているのご存知ですか?

意外としっかり毛があるんです。長毛種になるとかなり長くなります。ロングのミニチュアダックスさんなど、かなり毛が伸びて立ってるのに足裏の毛が見える子もいます。

足裏の毛がある理由

犬の足裏の毛には、本来野生であれば肉球の間の皮膚を保護する役割があります。野生ではゴツゴツした地面を走ったりしなければいけないですよね。肉球自体はクッションのようになっていますが、指の間の皮膚は通常の柔らかい皮膚なので傷がつかないようにうまくできているんですね。

足裏の毛のお手入れが必要な理由

野生では地面との物理的な接触、摩擦により自然にすり減っていきますが、飼われているわんちゃんではすり減るよりも伸びるほうが早く、結果として足の裏の毛が伸びてきてしまうのです。そうなるとわんちゃんにとって都合の悪いことが出てきてしまうのです。

足裏の毛が長いと室内で滑りやすい

毛で肉球が覆われてしまうと、特に室内などツルツルした床で滑りやすくなってしまいます。そうなると思わぬ怪我をしたりすることも。また、小型犬で多い膝蓋骨脱臼(膝のお皿が外れる)などは滑ることで徐々に悪化していくこともあります。ほ

他の関節疾患の子も、高齢で足腰が弱っている子にも滑りやすいことは負担になってしまうことが多いです。

足裏の毛が長いと汚れやすい

足の裏は地面につくので、もちろん色々な汚れが付着しやすいです。たまに診察をしていると、まるでモップのように色々な汚れをくっつけている子がたまにいます。汚れやゴミをわんちゃんが気にして口にしてしまったり、家の中に汚れを広げてしまうこともあります。

足裏の毛が長いと皮膚炎を起こしやすい

足裏の毛自体が皮膚炎の原因にはなりません。これは耳毛が外耳炎の原因にならないのと同じです。ただ汚れが溜まりやすかったり、湿気がこもりやすかったりする事が引き金になり、炎症を悪化させることがあります。

濡れている状態が続くのは皮膚にとってとてもストレスです。濡れた皮膚はバリア機能が弱くなり、物理的な刺激に対しても弱くなってしまいます。雨のお散歩帰り、シャワー後など足裏の毛が濡れてしまいますよね。毛が長ければ乾きづらいので、皮膚に負担になってしまうことも。

特にアレルギーなどを持っている子は指間炎といって、指の間に赤み、痒み、カサブタなど炎症を起こすことが多いです。そうなるとわんちゃんは痒いから必死で舐めたり、噛んだりしますね。

そうなると元から炎症がある状態で、さらに水分、湿気が加わることになります。足裏の皮膚炎が悪化する可能性があります。

足裏のお手入れの仕方

あらっ、うちの子足の裏の毛、伸びてる!

そんな時はどうしたらいいでしょう?お家でできるお手入れ方法をご紹介します。

濡れたままにしない

まず普段からのお手入れとして、足の裏は汚れやすいため清潔を心がけましょう。お散歩あとは足の裏を拭いたり、軽く洗ったりしますよね。大切なのはそのあとです。短毛種ではタオルドライだけでもいいかと思いますが、毛が伸びてる子や長毛種であればなるべく水分を飛ばしてあげるといいです。かと言ってドライヤーを毎回かけるのは大変ですよね。

そんな場合におすすめなのが吸水タオルです。普通のタオルより水分を吸収してくれます。これは自宅シャンプーでも大活躍するアイテムですね。

以下の投稿で解説しています。

バリカンやハサミでカット

毛が伸びてきたらバリカンやハサミでカットをすることもできます。ただこれは慣れていないと難しいかもしれません。

足の裏はやはり敏感なところで、わんちゃんによっては触られることを嫌がることもあります。嫌がらないにしても、動くわんちゃんの毛をカットすることは獣医師でも難しいです。(いや、トリマーさんは本当にプロだなぁといつも感心します。)

自宅で切るとしたら、肉球からはみ出した部分をカットする程度でもOKです。あまり指の間までしっかり処理しようと頑張ると、皮膚を傷つけてしまう恐れもあるからです。

バリカンやハサミの刃を足の裏に対して平行になるようにして切ることがおすすめです。なぜならわんちゃんが動いても歯に当たりづらいからです。例えば足の裏にハサミの先を向けて切っていると足が動いたら刺さってしまう角度ですよね。わんちゃんの足は骨格的に動く方向が限られています。

人で例えると腕を上下には動かせるけど、横に広げることができないというのが、犬の前足の動きです。なので、もしわんちゃんが動いたらどう動くのかを考えると、刃を足の裏と平行にして切ると安心ということが分かりますね。

プロにお任せ

自宅で難しいようなら無理せずプロにお任せするのも全然アリです。短時間でぱぱっと終わるのでわんちゃんのストレスも少なくて済むかもしれません。月に1回程度、爪切りと足回りのカットだけで動物病院にくる方もたくさんいました。また、定期的にトリミングに出しているのであれば、そこで爪も足裏もやってくれるので、特に気にしなくてもいいかと思います。

まとめ

わんちゃんの足の裏の毛は伸び過ぎないようにお手入れをしましょう。

  • 足の裏の毛はたくさん歩いてると自然にすり減る
  • 伸びてくると室内で滑りやすくなり、関節の負担になることも
  • 汚れや水分が付着しやすくなり、皮膚に影響がでることも
  • なるべく水分や汚れを拭き取るようにしよう
  • 無理しない範囲で自宅でカットする方法もある
  • 難しければ遠慮なくプロにお願いしよう

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