【獣医師解説】寒くなったら注意したいおしっこトラブル

動物の病気について

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。一般企業や動物病院での勤務経験をもとに飼い主さんや動物たち、動物で働くみなさんに役立つ情報発信を心がけています。

寒くなってくるとわんちゃん、猫ちゃん共に増えてくるのが「おしっこトラブル」です。

膀胱炎や尿石症といった尿路系のトラブルが起こりやすいのが寒い季節なんです。理由はお水を飲む量が減って、おしっこが濃くなりがちだから。

対策は寒くてもしっかりお水を飲むことです。でも、わんちゃん猫ちゃんにお水を飲ませるって一体どうやるの??無理矢理注射器などで飲ませるのは嫌がる子も多いし、飼い主さんもやりたくないですよね。

今回は寒い季節に増えるおしっこトラブルについて、そしてその対策「どうやってお水を飲ませるか」を解説していきます。

犬猫のおしっこトラブルって?

膀胱炎や尿道炎

まず代表的なものが膀胱炎や尿道炎です。文字通り膀胱や尿道の炎症のことですが、原因としては細菌感染やストレスなどさまざまです。頻尿や血尿、排尿痛などの症状が見られます。尿に石ができてしまう尿石症も含まれます。

尿石症の悪化

尿石とは尿にできる石のことで、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石です。二つとも動物病院ではよく見られる結石で、犬や猫でメジャーな(2大巨頭ともいうべき)石の種類です。

犬や猫の尿のpHはだいたい弱酸性です。これがアルカリ性に傾くとストルバイト結石ができやすくなり、酸性に傾くとシュウ酸カルシウムができやすくなります。

尿石ができる原因としては体質、食餌、感染、水分不足、肥満などさまざまな要因があります。

尿道閉塞

炎症により膿や血液、炎症産物というねっとりした物質が増えたり、尿石や砂があまりに重度になると危険な状態になる可能性があります。これが尿道につまってしまうと、尿道閉塞となり、尿を出すことが出来ずに膀胱がパンパンに膨れ上がり、場合によったら急性腎不全などを起こすことも。

寒いとどうしておしっこトラブルが増えるの?

お水を飲む量が減るから!

原因は割とシンプルで、お水を飲む量が減るからです。人も動物も同じで暑いと喉が渇いてたくさんお水を飲みますが、寒い季節になるとあまりお水を飲まなくなります。

また、天気が悪い日が多かったりすると、わんちゃんではお外で積極的に遊んだり動いたりすることも少なくなります。するとお水を飲む量も減ってしまうのです。

少し話は逸れますが、肥満気味な子がおしっこトラブルのリスクが高いのも同じ原因です。肥満気味になると動くことが億劫になり、お水をあまり飲まなくなるので尿路系にトラブルが起こりやすくなってしまいます。

尿石症用療法食を食べてたら大丈夫?

すでに尿石症があって、療法食を食べている子に関しても寒い時期は要注意です。

尿量減り、尿が濃くなってくると療法食を食べていたとしても症状が出てくる場合があります。ここで注意なのは「このフードが効かなくなった!」ということではなく、環境的な原因で再発した可能性もあるということです。

一時的なものであれば、ちゃんと治療をすればまた療法食で安定したコントロールができることも。なので自己判断で療法食を変えたりせずに、まずは獣医師に相談してみましょう。

予防するにはどうしたらいいの?

それは水分をしっかり摂ること!

尿量が減って尿が濃くなるとトラブルが起こりやすくなります。意識をしてお水を飲むようにしましょう。

その子が好むお水

例えば水飲みを複数用意しておく、お皿だけでなくボトルや循環式、流水などその子によって好むお水が違うことがあります。いくつか用意してあげるとすぐ飲めるようになり、飲水量を増やすことができます。特に猫ちゃんではその傾向がありますね。

適度な運動

冬は人も寒いので運動量も減りがちです。できる範囲でお散歩を増やしたり、ランなどでの運動をするとお水も飲む量を増やすことができます。猫ちゃんは、室内でも簡易アスレチックやおもちゃ遊びなどで動く量を増やしてみましょう。

フードの水分を増やす

普段ドライフードを食べている子は、ふやかしたりすることも有効です。ウェットフードに切り替えたり、トッピングに使う方法もあります。

特に療法食などで制限がなければ、スープというやり方も。鶏肉などを煮た煮汁をスープとしてドライフードにかけてあげると嗜好性も上がりますし、水分補給にもなります。

動物病院では毎回煮たりする時間はないので、こんな方法でやっています。

①鶏肉(もも肉でもささみでも)は適度な大きさに切ってラップして冷凍ストック

②使う分だけラップしたまま耐熱皿に入れ、下1/4〜1/3くらいのお水を入れてレンチン

③火が通ったら冷ましてほぐし、スープごとフードにかける

ポイントはレンチン前にお水も少量入れることです。レンジ加熱だけだとパサつきがちなのですが、ふっくら仕上がります。さらにお水にはチキンエキスが加わり、美味しいスープとして使えます。

まとめ

寒くなるとわんちゃん、猫ちゃんのおしっこトラブルが増える原因はお水を飲む量が減ること!

  • 飲水量が減ると尿が濃くなる
  • 濃い尿だと結石も出来やすい
  • 療法食でコントロールできていても、冬場に再発することもある
  • 予防としてはお水をたくさん飲んでもらおう
  • 運動量を増やし、肥満は要注意
  • フードをふやかしたり、ウェットフードを活用しよう
  • 水飲みは複数設置しよう
  • その子が好むお水を用意してみよう

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