動物病院、検査をたくさんするvsあまりしない‥実はどっちも危ないかも。

たわごと

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。そうなると色々な獣医師を見てきました。動物病院での勤務医時代に感じたこと、それは

同じような症例でも、獣医師によって検査の数がかなり違う!

と、いうことです。飼い主さんの意向や個体差などはあるので違うのは当然なんですが、中には「この先生、検査好きだなぁ。」「また検査してる‥」と獣医師同士でも感じるほど差があります。

動物病院で診察、検査を受けてお会計のときにびっくりした経験はありませんか?

実はそれ、危ないかもしれません。

今回は検査たくさんするvsあまりしない動物病院を解説して、飼い主さんとしてはどこをチェックしたらいいか紹介したいと思います。

いい動物病院、いい担当獣医師を選ぶ参考になれば嬉しいです。

今回の記事に関しては経験に基づいた個人的な意見です。最終的にはご自身での判断をお願いいたします。

動物病院で検査って?

動物病院での検査はかなり沢山あります。日常的に多くの検査を行います。理由としては、口がきけない動物たちの状態をしっかりと把握し、治療するために情報が必要だからです。検査を大きく分けると以下のようになります。

非侵襲検査

ひ-しんしゅうけんさと読みます。この検査のいいところは、身体に傷をつけたりせず、負担がかからない検査のことです。

尿検査や便検査がイメージしやすいですね。その他、心電図、レントゲン、超音波検査などがこちらに当てはまります。

侵襲検査

上記の非侵襲検査の逆が侵襲検査です。身体に何らかの傷、ダメージがある検査のことです。

よく行われるのが血液検査です。針を刺して血液を採取する際に身体に傷をつけなければいけません。できものに針を刺して細胞を採取する細胞診、皮膚の一部をパンチでとる検査などがあります。麻酔をかけて生検したり、内視鏡検査なども当てはまります。

また、人では非侵襲検査であるCTやMRIも動物では基本的に全身麻酔で行うので侵襲検査になります。

検査をするとなると、動物たちにとっては負担やストレスが、飼い主さんにとっては費用がかかってきます。なるべく負担を少なくしながら必要な検査をしてもらいたいですよね。

検査をあまりしない動物病院はどんなところ?

経験豊富なベテランの獣医師

割とベテランの先生に多い印象です。人の医療と同じく獣医療も目まぐるしく発展しています。つい3年前までの常識が通用しない‥なんてこともあります。

ベテランの先生なら安心!大丈夫!と思いがちですが、中にはアップデートされていない、昔ながらのやり方を続けている先生もいるというのは事実です。

以前と比べて動物たちが受けられる検査も飛躍的に増えてきています。ただ、ベテランの先生だと長年のカンだったり、感覚によるところが大きく、あまり検査をしない傾向があります。検査を飼い主さんが求めても、明確な理由なしで却下される場合は少し問題かもしれません。

最低限の診断に必要な検査をせず、身体検査のみで話が進んでいくようなところは要注意です。治ればいいのですが、治らないのに検査をしない場合はセカンドオピニオンをとってもいいかと思います。

病院の規模の関係

また、小さな動物病院や往診専門などの獣医師は物理的に検査までできないこともあります。なかには予防中心の病院で、レントゲン設備自体がない病院などもあります。

たとえ物理的に検査ができなくても、「検査が必要なので、大きな病院へ行ってください」と言ってもらえれば充分です。往診専門だと装備も限られ、詳しい検査よりも今必要な応急処置をすることに重点を置いていることが多いです。

これらの場合は、適切に検査の必要性を判断して、次の動物病院に繋いでもらえるなら心配いりません。

検査をたくさんする動物病院って?

対象的に、規模の大きな動物病院、若い獣医師に検査をたくさんする傾向があります。

また、残念ながら動物病院の利益のために不必要な検査もする病院があると聞いたこともあります。

大規模な動物病院

規模の大きな病院ではそれだけ設備も整っているので、院内でできる検査の選択肢もたくさんあります。なので町医者的な個人動物病院よりも検査は多くなりがちです。(逆にそれを目的に受診する場合もあります。)

若い獣医師

若い獣医師は、まだ経験が浅く、診察には出ているものの不安なんですね。

「よく分からないからひと通り全部検査します!」

と、いう先生を何人も見てきました。実際に私もそう感じてた時期もあります。

検査して悪いことはないですが、本当は血液検査だけでも充分なところを、心配だからレントゲンやエコー検査などやりたくなってしまうんです。だいたいは先輩獣医師に止められます。

じゃあどうやって判断したらいいの?

具体的に何件以上が検査が多い、少ないとは言えません。それは患者さんである動物の状態、そして飼い主さんの経済的な面とそれぞれに関係してきます。それでも大切な家族のため、判断は飼い主さんがしなければいけません。

インフォームドコンセントの重要性

飼い主さんが判断をするためにはインフォームドコンセントが最も重要です。

インフォームドコンセントとは、患者さんが検査や治療に関する説明をしっかりと受けて、納得して治療を進めるため、医師(獣医師)はしっかりと行わなければいけません。

チェック項目は以下の通り

  • 今の状態から考えられる疾患
  • 診断、治療のためにはどんな追加検査が必要か
  • その検査をすることで何が分かるのか
  • その検査には費用はいくらかかるのか
  • 検査のリスクはどうか

大まかにはこんな感じです。もし、説明を聞いて質問があったり、分かりづらいことがあればしっかり聞き直してOKです。

あとは、聞きづらいかもしれませんが、しっかりと費用を確認しておきましょう。獣医師から説明がある場合はいいのですが、説明がない場合は聞いた方がいいです。検査はあくまでも検査なので、検査でお金がかかりすぎて治療にお金がかけられない‥なんて本末転倒にならないように気をつけましょう。(こういうこと実際にあります)

侵襲検査は特に注意

なかには「検査しときますねー」のひと言で、奥に連れて行かれて、会計でびっくりすることも。身体にダメージのある侵襲検査は特に了承を取らなければいけないと教わりました。

聞いた話ですが、脾臓という臓器が腫れてるわんちゃんを検査で預かり中に、細胞診をしようとして針を脾臓に刺したそうです。そこから出血してしまい、容体が急変してしまったそうです。50代くらいの獣医師でしたが、飼い主さんには針をさすこと、そしてそのリスクは話していなかったそうです。話を聞いてとても怖いと感じました。

細胞診自体は診断をするために必要な場合もあります。ただ、状態が悪くなるにしても、リスクや必要性の説明を聞い納得してからなのか、何も聞かずにただ後から説明されるのか、このふたつは大きく違いますよね。

結局は何のために検査をするのか、そこにその金額を払う価値を感じるかどうか

検査が多過ぎてもお金はかかるし、動物たちへの負担も増えます。逆に検査が少なすぎても必要な診断、治療ができずに病気が長引いたり、動物に辛い思いをさせる可能性があります。

たとえば検査を複数提案されたとき、それが本当に必要かどうか、獣医師からしっかりと説明を聞いて判断しなければいけません。(病院の利益のためや、獣医師の不安解消のためではないか?その検査をして何が変わるのか?)

判断は飼い主さんの考え方、また経済的負担も大きく関わってきます。

  • お金はいくらかかってもいいから、出来る検査全てやって、診断してほしい
  • 必要な検査はやってほしいけど、なるべく負担はかけたくない
  • 費用の制限があるので、この金額内でできる限りやってほしい

こういった希望はぜひ伝えていただけると獣医師からの提案もしやすいです。

そして最も重要なのは、その検査をすることでどんな結果が得られるのか?

その結果で確定診断ができて、治療法が確定する

これが最適解です。でも残念ながら、どんな検査も100%ではありません。なので検査を組み合わせて、候補を絞り込んでいきます。検査をしてもしなくても、やることや治療は変わらないのであれば、必ずしも必要とは限りませんよね。

困った時はこんなふうに聞いてみましょう。

「先生、その検査をすることで何が分かりますか?それによって何か変わりますか?」

費用と得られる結果の重さを考え合わせて、飼い主さんが担当獣医師と相談しながら判断しましょう。

まとめ

いかがでしょうか?検査が多過ぎてもお金はかかるし、動物たちへの負担も増えます。逆に検査が少なすぎても必要な診断、治療ができずに病気が長引いたり、動物に辛い思いをさせる可能性があります。

  • 必要な検査はそれぞれの動物の状態によって異なる
  • また、飼い主の経済的な負担も考慮する必要がある
  • あまりに検査が少なすぎて、病気が長引く場合はセカンドオピニオンをおすすめ
  • 検査が多すぎる場合は、本当に必要な検査はどれか、優先順位を確認
  • インフォームドコンセントは重要
  • 獣医師の説明をもとに、相談しながら飼い主さんが判断をしていきましょう

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