女性獣医師の働き方。このまま勤務医続ける?それとも‥

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。現在は小動物臨床から一般企業へ転職活動中です。

日本では女性が働きづらいと言われていますね。英誌エコノミストの2021年の「女性の働きやすさ」ランキングだと先進国の中ではワースト2位。実際に働く女性として、その肌感覚としても働きづらいと感じることは多々ありました。特に出産後は痛感しています。

育児は母親だけではなく、両親で協力しながらやることが基本ですが、まだまだ日本社会は母親の負担が大きいことが問題になっていますね。実際に子供が小さいのに深夜まで残業をする男性獣医師を見てきました。果たして、自分が出産してもこんな時間まで働かなければいけないのだろうか?と思った記憶があります。

育休復帰し、動物病院で勤務医をしていた頃、キャリアチェンジを決意しました。そのときに多くの先輩獣医師の方々のアドバイスが参考になりました。その言葉に後押ししてもらい、私は転職を決意しました。

この記事はこんな人におすすめ

  • キャリアに迷っている獣医師の方
  • 獣医師を伴侶に持つ方
  • 家族や友人など身近に獣医師がいる方

今回は私も含め、友人、知人の女性獣医師たちがどんなキャリアを選んだのか、その選択肢とメリット・デメリットを紹介したいと思います!

今まで見てきた女性獣医師の皆さんが歩んでいった道

  • 時短やパートで小動物診療を継続
  • 得意分野に特化して診療
  • 動物病院・往診獣医として開業
  • 一般企業にキャリアチェンジ
  • 社内で部署異動
  • 起業

これは女性獣医師だけでなく、獣医師全体の働き方多様化にもつながると思います。

小動物勤務獣医師として30代半ばで思ったこと

出産前は時間も寝食も気にせず、ガンガン仕事をしていました。かなり多忙な病院で連日深夜になることもありましたが、獣医師という仕事が好きで、やりがいも感じていました。ただ、ふと「私このままでいいんだろうか」と思うことがありました。上司である周囲の男性獣医師たちの働き方を見ていると、こんな激務をあと10年以上続けていくのかと漠然とした不安がありました。

結婚後はさらにその思いは強くなり(夫が一般の会社員だったので、余計に)、いろいろ考えた結果、選択肢は大きく分けて以下の3つ。

  1. 小動物臨床を継続
  2. 独立、開業
  3. キャリアチェンジ

それぞれについて以下で詳しく解説していきます。

①小動物臨床の勤務医を継続

時短やパートでプライマリー獣医師を継続

同じく動物病院の診療に従事する勤務医を続けることです。育休あけてそのまま時短勤務になったり、働きやすい動物病院でパート勤務をしたりすることが多いです。

以前育休明けの先輩の言葉で

先輩獣医
先輩獣医

時間に縛られてるから、今までと同じように自分の満足ができる診療ができないのが辛い。

その時は「へえー」と思っていたのですが、実際に自分が育休復帰したときに痛いほどわかりました。

  • 退勤時間までに気になる患者がいても自分で診療できない
  • 自分の患者が夜間緊急手術などになっても自分で手術できない
  • 忙しい同僚にさらに自分の患者を引き継ぎをすることが心苦しい
  • 子供の熱などで急遽休みになってしまうことがあるので、患者さんに予約の変更をさせてしまう。
  • 今まで通りの広く浅くの「町の獣医さん」の仕事の仕方だと、できないことが増える。
  • 退勤時間に病院が混んでいると帰れない

病院の体制にもよるかと思いますが、時短になると当然やれることが減ります。仕事の効率を上げたとしても、外来は患者さんの都合で、前倒しすることができないことも多々あります。どうしても仕事はセーブする必要があり、周囲にお願いしなければいけない状況が出てきます。責任感が強い先生、キャリアが長くて多くの受け持ち患者を持っている先生にとってはとてもしんどいと思います。

時短獣医師のメリット

  • 今までの経験を活かして仕事ができる
  • 転職をせずに今までの職場で働ける
  • 同僚との信頼関係ができているので仕事を頼みやすい

時短獣医師のデメリット

  • 自分の満足いく仕事ができないことがある
  • 同僚への引き継ぎにいい顔をされないこともある
  • 勤務時間が減るので収入も減る

自分の得意分野に特化する

専門医を取ったり、得意分野に特化して完全予約制にしたりする先生もいました。循環器、皮膚科、鍼灸などの得意分野に特化して、基本的に完全予約制できっかり定時に帰るというやり方でした。

特化診療のメリット

  • 自分の好きな得意分野で仕事ができる、場合によれば資格手当てなどで収入もアップできる
  • 完全予約制なので、ほぼ定時に帰ることができる
  • 予約を取る際に、子育て中だから急遽予約の変更や担当医が代わることを事前に了承とれる
  • 同僚獣医師に事前に患者情報を共有できて、任せられる部分を探せる

特化診療のデメリット

  • 一般診療の経験ができなくなることもある
  • 自分以外の獣医ができない分野だと引き継ぎができないことがある

②独立開業

動物病院を開業

子育てがある程度落ち着いたら、自分のペースで仕事をするために開業をする先生もいました。正直自分には真似できないなあと感心しました。自分のやり方で、自分のペースでできることが大きなメリットだと思います。

往診で開業

病院という建物を持たずに往診で開業する先生もいました。私の周りではこちらの方が多数派でした。動物病院も競争が激化してきているので、往診で患者さんのニーズに合わせた診療をする、さらに自分のペースでできるというメリットを考えると、これから往診での開業は増えてくるのではないかと思います。女性獣医師の方が話しやすいという方も多いので、病院の診察よりはゆっくりとお話を聞くことができそうですね。

往診開業のメリット

  • 初期投資が病院開業よりも少なくて済む
  • 動物たちも高齢化してくるので訪問診療のニーズが高い
  • 自分のできる範囲、時間に合わせて仕事の調整が可能

往診開業のデメリット

  • 子供が小さいうちはなかなか仕事ができないこともある
  • 集客に時間がかかる
  • 収入が安定するまでに時間がかかる

③キャリアチェンジ

一般企業へ転職

やはり動物病院の勤務医は労働条件が良くないところが多々あります。一般企業であればフルタイム社員であっても、動物病院と比較すれば条件としては改善することもあります。同じ勤務時間でも、動物病院では時短扱いでも、企業ではフルタイム。祝日休みの分年間休日も10日以上増えます。

一般企業へ転職のメリット

  • 労働条件が改善されることがある
  • 福利厚生が充実
  • 社会人としても経験を積むことができる

一般企業へ転職のデメリット

  • 勤務医からキャリアチェンジして未経験の職種であることが多い
  • 臨床獣医師としての仕事ができない

起業。自分でビジネスを立ち上げる

自分で獣医師の資格を活かして起業する先生もいらっしゃいました。中にはヨガのインストラクター資格を取ってペット鍼灸と一緒にできるヨガスタジオを開いた方もいました。獣医の仕事って色々なやり方があるんだと感じましたね。

起業するメリット

  • 自分の自由になる
  • 勤務医と違って収入の制限がない

起業するデメリット

  • ビジネスがうまくいくかどうかはリスクがある
  • 収入が安定しない

まとめ

正直、出産をしたからといって女性だけが働き方を変えなければいけないことはないですよね。男性獣医師だって、子供ができたり、親の介護が必要になったり、ライフステージの変化に伴って柔軟に対応できるようになればと願っています。(ただ、すでに開業しているとなかなか変えることができないのも事実ですが)

今まで見てきた女性獣医師の皆さんが歩んでいった道

  • 時短やパートで小動物診療を継続
  • 得意分野に特化して診療
  • 動物病院・往診獣医として開業
  • 一般企業にキャリアチェンジ
  • 起業

女性獣医師だけでなく、獣医師全体の働き方の多様を求む!

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