ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。仕事は転々と変わってきましたが、小動物臨床の経験は自分の中で大きなものです。今は一般企業で働いていますが、転職前に自分の気持ちを棚卸しして整理した結果、こうなりました。
小動物臨床獣医師とは動物病院のいわゆる「獣医さん」。どんな仕事もそうですが、いいところ、悪いところありますよね。
今回は、動物病院で働いていたときの経験から、私が思う小動物臨床獣医師のメリット、デメリットを紹介したいと思います。
一獣医師の経験なので、全てが当てはまるわけではないですが、小動物臨床を目指す方の参考になれば嬉しいです。
この記事はこんな人向け
- 進路に迷っている獣医学生さん
- 小動物臨床に転職を考えている獣医さん
小動物臨床獣医とは?
まず獣医師というと最初に思い浮かぶのが動物病院で働く獣医師ですね。これが小動物臨床獣医師です。
主に犬や猫を中心に診療にあたりますが、最近ではウサギ、フェレット、ハムスターなどのエキゾチックペットにも対応している病院もあります。中には鳥類、爬虫類、両生類、魚類などを診る獣医師もいます。
診療内容としては、一般的な動物病院だと平たく一次診療を行っているところがほとんどです。内科、外科、皮膚科、眼科、産婦人科、小児科(子犬子猫科?)など広い範囲の診察、治療を行います。ある程度の手術にも各動物病院で対応しているところがほとんどです。
最近では循環器、呼吸器科、皮膚科、腫瘍科など専門性をもった動物病院や、規模が大きく、設備も揃っている大きな動物医療センターなども増えてきました。
さらに病気や怪我の診療だけではなく、栄養学的な指導からしつけ相談まで幅広く対応しています。
こうやって考えると獣医師の業務量ってすごいですよね。人の医者の場合は内科、外科など専門が細かく分かれていて、「それ専門外なんで診られません。」ということもあります。でも獣医師の場合は(動物種でお断りすることはありますが)基本的に最初はどんな疾患でも診察をします。
結論、動物病院の獣医師の仕事は多岐に渡り、多くの知識や技術が求められる仕事です。少なくとも私はそう思っています。
小動物臨床獣医のメリット
私が経験して思う、小動物臨床獣医師のメリットは以下の通りです。
やりがいはものすごくある
動物が元気になると嬉しい
やはり動物が元気になって、もりもりごはんを食べるようになると嬉しいです。痛いことをするので嫌われることもありますが、やはり頑張って治療した成果が目に見えることは大きな充実感があります。
小動物臨床で1番と感じたのはこれですね。
自分の目の前で患者さんから感謝される
そして飼い主さんから直接「ありがとう」を言ってもらえること。これもめちゃくちゃ励みになります。長く診察していると、友達のような飼い主さんや、親戚のおばちゃんのように気にかけてくれる飼い主さんなど仲良しの人がたくさんできます。お話をすることもとても楽しみです。
やはり病院なので、どんなに手を尽くしても亡くなってしまう子もいます。そんなとき、飼い主さんから「先生、ありがとう。先生に診てもらってて良かった。」とお言葉を頂くと、獣医師として幸せなのと同時に、もっと頑張らないとと、身の引き締まる思いがします。
どこにいってもある程度職に困らない
日本全国に動物病院はたくさんあります。選り好みをしなければ、どこに行っても就職先に困ることはありません。(ただし、ある程度スキルは必要)
家庭の事情などでの引越しでも、就職にはある程度困らないことが多いです。
徐々に働き方の多様化
以前は翌日朝まで泊まりで、さらにそこから日勤で、休みもなくて‥といったブラックな働き方が多かったのですが、最近では世情もあり、徐々に働き方は多様化してきています。
専門医として特化診療をしたり、往診専門で開業したり、家庭の事情に合わせてパート勤務をしたり、自分で働き方の調整ができることが増えてきたように思います。
開業してうまくいけば収入は青天井
開業すれば、事業所得になりますので、勤務医とは違い、収入はうまくいけば青天井と言われています。最近はエキゾに特化した動物病院とか、皮膚科に力を入れた動物病院などといった差別化が目立つようになってきました。ぜひ得意なことがあれば挑戦してみてはいかがでしょうか?
小動物臨床獣医のデメリット
仕事がきつい
精神的、肉体的に仕事は大変です。やはり生命を扱うという仕事なので責任もありますし、意外に肉体労働もあります。猫や大型犬と格闘することもありますし、細かい手術などにも対応しなければいけません。ケガをする可能性もあります。
さらに人手不足の動物病院も多く、一人当たりの業務量が多すぎることもあります。日によってどんな患者さんがくるか予測できないことも多く、重症患者がたくさんきた日には、もうぐったりなんてことも。
長時間労働になりがち
時間通りに全てが進む訳ではないので、長時間労働になることもしばしば。受付終了1分前であっても、急患がきたらそこから対応しなければいけません。仕事後に予定を入れるのは、ほぼほぼ難しかった思い出があります。
勉強をし続けなければいけない
獣医療は日々進歩しています。1年前まではスタンダードだった治療法は、今ではもう推奨されないなんていうこともあります。自分の知識や技術のアップデートは必須です。ウェブセミナー、勉強会、学会など学ぶ機会はたくさんあります。
しかも専門医でない限り、内科から外科、皮膚科、眼科など幅広い範囲の勉強が求められます。ハードワークに加えて、自主学習も必要となると自分の時間は削られることが多いです。
年々体力的にキツくなる
心身共にハードワークですが、年齢と共にキツいと感じることが増えてきます。若い先生がいればいいのですが、開業して1人で診療をしていると、もう自分がやるしかありません。
先輩獣医師が疲れ切って残業をしている姿を見て、これが自分の将来か‥と思ったことが何回もあります。
あと、年齢とともに視力が衰えてしまうのは仕方ないのですが、細かい仕事が多い獣医師は大変そうです。先輩がたは老眼鏡、ヘッドルーペ、虫眼鏡‥いろいろなアイテムを駆使して診療をしていました。
勤務医の給料は思いのほか安い
勤務医であれば給料制ですので、例えば2倍診療や手術をこなしてもお給料は変わらないことが多いです。年に一回昇給があることもありましたが、徐々には上がりますが、業務量によってそこまで大きくは変わらなかったのが正直な感想です。(動物病院にもよりますが)
時間外手当が出ないこともあったり、拘束時間を考えると意外とそこまで多くはありません。
平均で一般のサラリーマンより気持ち多いくらいです。残業が多いことを差し引くと、あまり変わらないかもしれません。
開業をしても生き残れるかは分からない
これからまだ、ペット業界の市場は伸びると言われていますが、飼育動物は減っていく傾向にあるそうです。そうなると動物病院の淘汰も進みそうですね。開業をする際には事業継承なども含めて、検討していく必要がありそうです。
まとめ
経験者は語る。小動物臨床獣医師のメリット、デメリットはこれ!
小動物臨床獣医師の良いところ
- 動物が元気になることが何より嬉しい
- 飼い主さんとのお話も楽しみで、直接感謝をしていただくとやりがいを感じる
- どこに行っても就職先はある
- 働き方に関して最近は多様化してきた
- 開業してうまくいけば収入は青天井
小動物臨床獣医師の悪いところ
- 心身ともに仕事がきつい
- 仕事が予定通り進まないことが多く長時間労働になりがち
- 日々進歩していく獣医学に対して自分のアップデートが必須
- 年々体力、視力がキツくなる
- 勤務医の給料は思いのほか安い
- 開業しても将来的に残るかは分からない
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