獣医師解説。わんちゃんの自宅シャンプーでこれやっちゃダメ!!

動物の病気について

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。普段、病院でよく相談されることなどを、なるべく専門用語を使わずに、わかりやすく、おしゃべりする感覚で解説していきたいと思います。

以前の病院で皮膚科を担当しており、病院のトリマーさんと飼い主様向けのシャンプーセミナーをしたことがありました。その際にお伝えしたポイントを中心にお話します。

自宅でわんちゃんのシャンプーをされている方いらっしゃるかと思います。本当にそのシャンプーの仕方、大丈夫ですか??

今回は意外とやってしまいがちな、わんちゃん自宅シャンプーでのNGなことを解説します。

  • お風呂と同じ温度のお湯で洗う
  • シャンプー剤を直接かけてゴシゴシ
  • すすぎはささっと素早く
  • ドライヤーの温風を使う

犬の皮膚について

皮膚は外界からの物理的な刺激、微生物、化学物資、紫外線などから身体を守ってくれるものです。皮膚のバリア機能はとても大切!

犬の皮膚はというと、意外とデリケートで繊細なんです。人の皮膚の3分の1程度の薄さなので、ちょっと刺激が強いと炎症を起こしてしまうこともあります。

シャンプー後の皮膚はどうなる?

シャンプー後はなんだか皮膚が潤うようなイメージですが、実は逆。シャンプー後の方が皮膚は乾燥してしまうんです。

経表皮水分蒸散量という、皮膚の乾燥具合をシャンプー前後で調べた報告によると、シャンプー1日後は最も乾燥し、その後乾燥具合は落ち着いてきます。シャンプー前に比べるとシャンプー後の3日間はシャンプー前よりも乾燥することが分かっています。

「シャンプーしたのに痒がる」「シャンプー後にフケが出やすい」そんなわんちゃんはこの乾燥が原因かもしれません。

乾燥すると皮膚のバリアも弱くなり、皮膚に炎症を起こしやすくなってしまいます。これを見るとシャンプー後に保湿はセットでやった方がいいとよく分かります。

愛犬のシャンプーでこれやっちゃダメ!

人のお風呂と同じ温度のお湯を使う

わんちゃんのシャンプーをするとき、給湯器の温度を人のお風呂と同じ温度にしていませんか?

デリケートなわんちゃんの皮膚には刺激が強いほか、皮脂が取れ過ぎてしまうことで乾燥が悪化して痒みが出やすくなってしまいます。

以前、患者さんでアトピー性皮膚炎のジャックラッセルテリアの子がいました。治療とシャンプー療法、保湿をしていてもなかなか痒みが落ち着かない。むしろシャンプーの後に皮膚の赤みと痒みが悪化するとのこと。よくよく聞いてみたら、お湯の温度が40℃で毎回シャンプーをしていたということでした。

わんちゃんのシャンプーに最適なお湯の温度はぬるめの36〜37℃くらいです。

先程のジャックラッセルの子は、お湯の温度を変えただけで、痒みが減ったと飼い主さんが報告してくれました。

シャンプー剤を直接わんちゃんにかけてゴシゴシ

シャンプーするとき、シャンプー剤を直接わんちゃんにかけて、ゴシゴシ泡立てていませんか?

デリケートなわんちゃんの皮膚は、人が洗顔料で顔を洗うように、たっぷりの泡で摩擦を少なく、優しく洗ってあげてください。シャンプー剤は基本的に薄めて使うように作られているので、原液だと刺激が強すぎることがあります。

また、泡立ちが悪いとついついゴシゴシ強く擦ってしまったり、必要以上のシャンプー剤の量を使ってしまうことも。なので、しっかり泡立ててから毛にのせてあげてください。

手で泡立てるのは大変なので、泡立てるためには身近なグッズを活用しましょう。泡立てネットやスポンジを使うと簡単にたっぷりの泡が作れます。百円均一のものでも十分です。また、ペットボトルにお湯とシャンプー剤を入れて振っても泡を作ることができます。

すすぎはささっと素早く流すだけ

泡が見えなくなったら、すすぎを終わらせていませんか?

シャンプー剤が残ってしまうと、皮膚への刺激になり、皮膚炎の原因になってしまいます。

シャンプーのぬめりがなくなり、毛を指でしごいた時に、きゅっとするくらい。目安としたらシャンプーしている時間の倍くらいの時間をかけてすすいであげてください。

ドライヤーの温風で乾かす

これもやりがちですが、わんちゃんの皮膚には刺激になってしまいます。冷風を使うことがおすすめです。

そうは言っても、乾かすの大変だし、冬だと寒くてかわいそう。

そんなお声が多くありました。わんちゃんは全身毛があって、特に長毛の子などは乾かすだけでも大仕事ですよね。トリマーさんからのアドバイスは

タオルドライをしっかりとやる!

毛の根本から乾かす!

でした。小型犬でもバスタオル2枚くらい使ってしっかりタオルドライをすれば、ドライヤー時間は短くなります。大型犬や毛の長いわんちゃんではたくさんのバスタオルでもいいですが、プールなどで使われる「吸水タオル」も便利です。

また、ドライヤーをかけながら、トリマーさんはスリッカーという道具を使い、毛の根本をとかして乾かしていきます。お家でやるときはドライヤーを台の上などに置くとやりやすいかと思います。位置を少しずつ変えながら乾かしていくと、意外に早く乾きます。

ただし、ここでもゴシゴシ力を入れたり、必要以上にブラッシングをするのは気をつけましょう。

もし、冷風だと、どうしても寒いという場合には温風にして遠めから風を当ててください。自分の手に当たった風が、常温に感じる程度の距離です。

まとめ

わんちゃんの自宅シャンプーでやっちゃダメなことを解説しました。意外にやりがちですが、気をつけていきましょう。

  • お風呂と同じ温度のお湯で洗う
  • シャンプー剤を直接かけてゴシゴシ
  • すすぎはささっと素早く
  • ドライヤーの温風を使う

もし、これらをやってた場合は、変えてみるだけでもわんちゃんの皮膚の状態が改善するかもしれません!

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