ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。この度アラフォーで出産、育休を経て職場復帰をしましたが、諸事情により復帰後約1ヶ月で転職を決意し、初めて転職エージェントに登録をして転職活動を始めました。
詳しくは過去の投稿で紹介しています。
その転職活動をする中で、出産後ならではの壁にぶつかった経験談を紹介します。
獣医師のみならず、日本の出産後の女性がぶち当たる壁の大きさ、高さ、厚さは手強いぞ。
今までは獣医師という資格と経験があるので転職活動ではあまり苦労をしてこなかったのが正直なところです。そんな感じだから、今回もきっと大丈夫だろうと甘い考えでいました。思いもよらないところでつまづいてしまった、そしてそこからどうしたのか。いち社会人、いち女性としての経験をまとめます。
キャリアチェンジ
キャリアチェンジをするか迷う
当時の私は40歳手前という年齢と、まだ1歳に満たない娘がいるという状態でした。転職先の候補としては、今までのキャリアを続ける「臨床獣医」と、一般企業での「会社員」としてのキャリアチェンジの二つを考えていました。
今までは臨床獣医師としてキャリアを積んできましたが、どうしてもその延長線上で子育てと両立ということに魅力を感じませんでした。なぜなら以前の投稿でも書いてますが、「時間もお金も仕事の充実感も全部欲しい」と思って転職活動を始めたからです。
臨床獣医師としての転職先は選ぶほどたくさん紹介されました。ある程度の診察と手術ができる獣医師であればパートでも正社員でも、どこの病院でも欲しがるとのことでした。(背景には動物病院における獣医師不足が大きいと思いますが)でも臨床獣医を続けていく限り、自分の満足いく仕事と家族との時間、お金を両立することは困難だと感じました。
一方、一般企業の獣医師の募集は業種によってさまざま。製薬会社であったり、保険会社、ペットフード会社などが多かったです。未経験可の求人もあり、だいたいどこの求人にも臨床経験3年以上が求められていました。年間休日、労働時間で言えば動物病院よりも条件の良いところが多い印象でした。
決め手は?
ズバリ、年齢です。
40歳手前という年齢で未経験の領域にキャリアチェンジをするならここが最後チャンスだと感じました。実際に転職エージェントさんとの相談においても、臨床に後ろ髪引かれまくりで内定が出たあとでさえ、さらに迷うような有様でした。私を後押ししてくれた言葉が
今ぽこ先生が臨床を離れても、例えば5年後でも臨床に戻ろうと思えば可能なレベルのスキルを持っています。ではこのまま臨床を続けて5年後、40代半ばからの未経験領域へのキャリアチェンジはより狭き門になりますし、年収も大幅に下がる可能性があります。個人の見解ですが、今の段階でキャリアと経験を積んでおいた方が5年後の選択肢が広がると思いますよ。
この言葉がなんだかストンと腑に落ちて、希望職種を一般企業に絞ることにしました。
自分の市場価値って?
転職活動を通じて思い知った自分の市場価値のギャップ
転職活動を始めて自分の市場価値がイメージと大きくかけ離れていることに衝撃を受けました。
正直、水族館獣医としての経験は話のネタにしかならないことは覚悟していました。でも臨床獣医の経験が長いことや、手術や診察ができることは、一般企業の選考において大したプラスにならないことに驚きました。
なんせ最初に出した2社は書類選考の時点で落ちてしまったのです。
だいぶ落ち込みました。書類だけ、自分の経歴がこんなにもあっさり否定されるのか…(いや、そんな深刻にならないでいいんだよーと今は言いたい)
自分の価値を受け入れる
当初エージェントさんに出した条件が高すぎることが原因だったように思います。
- 年収は落としたくない(可能であれば出産前の年収を希望)
- 子育てと両立しやすい
- 残業ができない
- 未経験でも可能
その後別の転職エージェントさんとの面談で、一番大きな問題はやはり年収の部分だったようです。例え獣医師であっても、臨床経験が何年あろうとも、企業としてはその会社で仕事ができるかどうかはわかりませんよね。なので、もう自分の市場価値は今はこんなもんだ!と開き直って、年収の条件を緩めて転職活動を再開することにしました。
感じた壁は?
実際に私が感じた壁です。出産前までは全く意識もしたことがないような壁でした。出産後、子育てとの両立という譲れない条件ができたことで、自分の前後左右に壁ができて身動きが取れなくなったような感覚になりました。
フルタイムの壁
フルタイム勤務ができるかどうか。実際に動物病院では時短という名前の一般的なフルタイム(定時が8:30〜20:00のところ17:30まで)で勤務していたのですが、企業の採用担当者から「現在時短で働いていて、急にフルタイム勤務は難しい」と返事されたことがありました。
また、フルタイムで通勤時間を考えると保育園のお迎えがギリギリ…というパターンもありました。「頑張ればなんとかなる」レベルであっても、実際に働いてみないと何が起こるかわかりません。定時にちゃんと帰れるのか、電車の乗り継ぎがどうなのかとか考えると選択肢がどんどん少なくなっていきました。
未経験の壁
一般企業での獣医師としての採用枠で、「臨床経験は3年以上が望ましい」と記載されている会社が多かったです。いくら臨床経験が長くてもその会社での仕事は未経験ということで年収はやや低めからのスタートを提示されることがほとんどでした。
また、未経験OK、女性が働きやすいと記載されていた会社でも「女性が働きやすい環境整備を進めているものの、それは子育てしながら働きやすい環境ということであり、未経験からでもチャレンジしやすい職場環境ではない」要するに、子育てしながら残業しないで未経験の仕事は難しいと言われてしまいました。まあ、会社側からしたらそうなりますよね。
そんな条件に合う会社を探すのはもう、自力では不可能だと感じました。
残業の壁
大体どこの会社でも面接で「残業できますか?」と聞かれました。正直に言えば「したくない」ですよね。保育園のお迎えもあるし、残業しなくて済むなら断然そっちの方がいい!
そう正直に答えることはできないので、「状況次第で、家族の協力が得られれば…」といった濁すような返答しかできませんでした。残業時間に関しては転職エージェントからの情報が役に立ちました。月の平均残業時間を各企業で記載してくれていたので、希望する企業を選ぶ際に大いに参考になりました。
また、獣医業界ではあるあるな「固定残業」。これがあるということは、基本的に残業があると思っておいた方がいいとのこと。求人票にはそう書いていなくても、提示年収が実は固定残業込みだったりすることがあるので、エージェントに確認をしておくのをお勧めします。
壁を乗り越えるには一人では難しい
それぞれの壁をクリアしていくには、条件がどんどん厳しく、選択肢も少なくなっていきます。一般的な転職サイトなどで自分でピックアップするには時間も労力も子育てママには到底足りない…
そこで転職エージェントが大活躍したわけです。求人のピックアップから書類作成、条件交渉などやってくれる、しかも無料です。こんなにありがたいことないですよね。業界特化型の転職エージェントから、幅広い業種を網羅する転職エージェントまで様々です。相性もあるので2〜3社を登録して比較してみてもいいのではないかと思います。私は1社目のエージェントと相性が合わなくて、2社目に登録し、無事に転職活動を乗り切りました!
まとめ
育休復帰後の転職、さらにはアラフォーでのキャリアチェンジには今まで意識したことがない壁が立ちはだかっていました。でも転職エージェントのおかげで効率良く、希望する企業をピックアップしていくことができました。
- キャリアチェンジに年齢制限はないが、年齢とともに条件は厳しくなる
- フルタイム勤務について、通勤時間や残業なども考慮すると選択肢が減る
- 残業ができるかはどこの会社の選考でも聞かれる
- 実際に子育て中で残業が難しいなら、初めから残業時間が多い企業は除外する
- 未経験職種だと、資格やキャリアがあってもアラフォーママには厳しいことがある
- 転職エージェントを大いに利用するべし
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