ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。動物病院で勤務医として診察に、オペにわたわた忙しく働いていました。
ここで質問です。動物病院の待ち時間って長くないですか?
ある調査では、動物病院の不満点について、「待ち時間が長い」ことが79.9%でダントツ1位でした。納得です。実際に中で働いていてもそう思います。
獣医師としては毎日毎日一生懸命に診療をしているんですが、それでも動物病院は待ち時間が長くなりがちです。中には文庫本持参の常連飼い主さん、お仕事しながら待つ飼い主さん‥
いつまで待つんだろ‥
うちの子の具合が心配。
飽きてそわそわし始めちゃった。早く呼ばれないかな。
人の病院でも待ち時間が長いですが、動物を連れているとなると気もつかうし、疲労困ぱいですよね。
今回は、獣医師だからこそ知っている動物病院の待ち時間が長い理由と、少しでも待ち時間を減らすコツを紹介したいと思います。
動物病院の待ち時間ってどうして長いの?
じゃあどうして動物病院の待ち時間が長くなってしまうのか?考えてみました。
診察ってなにやってるの?
人の病院と比べると明らかにやることが多いです。ちなみに私事ですが、出産後、小児科の診察内容がシンプルでびっくりしました。(動物医療と小児科はよく似ていると言われるのですが‥)
診察でやること
まずは飼い主さんからの情報の聞き取り、問診です。動物は口がきけないのでとても重要なポイントになります。(ここでのお話の長さも飼い主さんによってかなり違います)
そして体重測定、身体検査、体温などをチェックしていきます。頭の先から口の中、耳の中、肉球の間までしっかり診ていきます。触診で痛いところはないか、腫れているところはないか‥
さらに状況によって検査が入ります。便や尿の検査、血液検査、レントゲン、超音波検査など。場合によっては半日以上かかる検査もあります。(その場合は半日お預かりすることが多いです)
そして診察の結果をお話して、治療の説明や注射などをしていきます。
だいたい何分くらいかかるの?
診察の内容にもよりますが、いろいろな先生を見てると、元気な子のワクチンなどでだいたい15分程度が多かったです。ということは、具合の悪い子などはもっと時間がかかる可能性があるということです。一件あたり30分程度の予約枠を使うことが多いですが、オーバーすることも多々ありました。
処置の時間
診察の結果、処置が必要な場合はその場でやることもあります。例えばケガをしてたら、毛刈りして洗浄して薬を塗って‥もちろん動物たちは大人しくはしてくれないので、保定(動かないようにおさえること)が必要にります。そうなると人手も時間もかかります。
緊急の処置になると30分から1時間以上も付きっきりということもあります。獣医師が1人しかいない動物病院だと、もうそこで外来はストップしてしまいます。
外来はどんな子がくるか分からない
そして、多くの動物病院は一次診療といって、いわゆる「町のお医者さん」「なんでも屋さん」です。予防接種から手術、内科、外科、歯科、皮膚科、眼科なんでも診ます。
たとえ予約制であっても、当日どんな患者さんが来るか予測はとても難しいです。予約時は大したことないと思っていた子が、診察してみたら思いの外重篤だったとか、なかなか予定通り進めることが難しいのです。
そうなるとどんどん患者さんは詰まって、待ち時間が長くなってしまいます。
調剤もなかなか大変
そして、人の病院では薬局へ行くことが多いですが、動物病院はその場で調剤してお薬を出すことがほとんどです。
動物用の薬が全てではなく、人用の薬も多く扱っています。身体が小さい動物たちに使う場合、小さく割ったり、粉にしたり、シロップ剤にしたりします。
これがまた時間がかかります。
1週間分などではいいのですが、例えば心臓の薬を4〜5種類を2ヶ月分などになると、10分はかかりそうです。そこに人員がかかりきりになると、小さな病院では他の処置などで人手が足りず、作業がそれぞれ終わるまで待たなくてはいけないことも。これも時間がかかる原因のひとつです。
待ち時間が長くて困ること
飼い主さんの時間が縛られる
単純に拘束時間が増えます。かわいいうちの子のためとはいえ、時間は有限です。短く済むならその方がいいですよね。
動物たちのストレスが増える
待ち時間が長いと人もそうですが、動物たちのストレスも心配です。ただでさえ動物病院は「怖い場所」なのに、ずっとドキドキしながら待つのは想像するだけで疲れてしまいそうです。怖がりの猫ちゃんでは緊張がピークに達したのか、いざ診察となった時に大爆発して大暴れしてしまう子もいます。
なるべく待ち時間が短いに越したことはないですね。待ち時間を快適に過ごすには携帯の水飲みなどがあると便利です。
体調不良の場合は、動物たちの負担が心配
動物病院にくるということは、体調が悪いときが多いかと思いますが、具合の悪い子を長時間緊張状態に置いておくことは飼い主さんとしても、また獣医師としても心配です。
待ち時間が長い場合、スタッフが定期的に様子を見てくれることもありますが、ぜひご自身でも状態の観察をしていただき、あまりにも具合が悪そうなら遠慮なくスタッフに声をかけてください。状態により診察の順番を調整したり、先に預かって処置を始めたり対応できることもあります。
動物病院の待ち時間短縮するコツは?
予約をとる
基本的なことですが、まずはこれです。予約をとっていても予約時間通り呼べないことも多々ありますが、予約ではない場合に比べると比較的スムーズにお呼びできるかと思います。
最近ではネット予約システムを導入している動物病院もあり、待ち人数の表示などがあることも。まだ順番が来ないようなら少し外にいたり、車で待っていたり、なるべくリラックスできるようにしましょう。
完全予約制の病院などでは比較的待ち時間が少ない傾向があります。予約が取れない、順番通りの動物病院は空いている時間帯を狙って行きましょう。(後述)
なかには「行列ができてた方が病院が繁盛してるように見えるから、予約制入れてないんだよ。」みたいなことをのたまう院長先生もいます。(残念ながら実話です)
本当に動物と飼い主さんのことを思ってくれる病院を探しましょう。
動物病院の比較的空いている時間帯をねらう
動物病院の混んでいる時間って何時ごろでしょうか?
病院によって差はあるものの、開院直後、午前の診療終了前、夕方の診療開始直後、人が仕事が終わる時間(17:30〜閉院まで)がだいたい混みます。
「朝イチだから空いてると思ったのに」
「終わる間際は空いてると思ったのに」
よくこれ患者さんから聞くんですが、実はけっこう混んでいる時間帯なんです。比較的空いている時間は午前中10:00〜11:00、午後は17:00前後が狙い目です。(もちろん病院にもよりますし、その日にもよりますが)
常連さんの中には電話で「今空いてる?なら行くわ!」とリサーチをする方も。(ネットで待ち人数見られるといいですよね)上記の通り、外来はガラガラでも処置などで時間を取られるケースもあります。
ちなみに予約制なら、午前、午後の1番早い時間帯を取りましょう。後にずれていくとどんどんオーバーした時間のしわ寄せで予約通りに呼べない可能性が大きくなっていきます。診察開始直後の枠が1番確実です。
動物病院へ行くときは、予約であっても何が起こるか分かりません。時間には余裕をもって受診しましょう。
決まっている薬の処方などはあらかじめ伝えておく
もし毎月決まった薬を取りに行く際には、あらかじめ電話や予約時に伝えておくと前もってお薬の用意ができる場合があります。(状態にもよりますが)そうすると薬を待つ時間の短縮が可能なのと、スタッフも焦って調剤しなくて済むので双方ともにありがたいですね。
検査がある場合は先に伝えておく
「今日、血液検査の予定なんですが」
「下痢をしちゃったので、便を検査用に持ってきました」
こんな場合は、待ち時間の間に検査を進めることができます。(診察を待たないとできない検査もありますが)
便や尿の検査は10〜15分くらいかかります。診察に呼ばれてから検査を始めると、その分長引いてしまいます。あらかじめ検査があることが分かっていたら、先に受付などで伝えてみましょう。
爪切りなどのお手入れを先にできるようなら済ませておく
もし、診察といっしょに爪切りとかしたいなぁと思っていたら、あらかじめ伝えておきましょう。手が空いた看護師さんが先に対応してくれることもあります。診察の時にお願いすると、状況によってはそこからさらに爪切りのための待ち時間が増えることもあります。
まとめ
動物病院では的確で丁寧な診療のためにどうしても待ち時間が長くなりがちです。そんななかで少しでも待ち時間を短くするためのコツをご紹介。
- 予約をとる。または予約が取れる動物病院を選ぶ
- なるべく混まない時間帯を狙っていく
- 決まった薬の処方などがあれば、あらかじめ伝えておく
- 検査があるなら、あらかじめ伝えて検体を渡しておく
- 爪切りなどのお手入れは待ち時間中に済ませられそうならやってもらう
- 動物病院の待ち時間はその日、その時によってだいぶ違います。時間に余裕をもって受診しましょう。
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