ぽこです。
獣医師を10年以上やってます。その間に何回か転職を経験してきました。さらに大きな企業病院勤務の時はグループ内の他の病院へ異動になったり、応援に行ったりしてまあまあ多くの病院で(数だけは)働きました。
グループ病院であっても、病院が変わって人が変われば仕事の仕方も少しずつ違うというのが驚きでした!
中途採用のみんなへ。新しい環境でどうかなーと不安な気持ちがあるかもしれません。私が転職やら異動やらで感じた、新しい病院でやってくために把握が必要なもの2つ紹介します。
それはローカルルールと物の場所の把握です。
なんだ、そんなことかと思ったりしますよね。転職後なんだからもっと即戦力になるために大事なことってあるんじゃないの?異動や転職後にまず慣れなかったのがこの2つなんです。逆にこれを把握することで仕事の効率が良くなり、新しい職場に早く慣れるポイントになると思っています。
中途採用ってちょっぴり辛いよ
動物病院業界での転職はよくあること。でも本当に病院によっていろいろ違うことに毎回びっくりします。私が転職後にちょっと困ったなぁと感じたことは以下のようなことでした。
できる前提で指示される
まあある程度獣医師としてのキャリアはあっても、慣れない場所だとなかなか100%の力を発揮するのって難しい。さらに指導もつかず(ついてもあまり教えてくれない)やや放置気味‥
「できるでしょ」
いや、出来るけど、物の場所も分からないし、機械も違ったり、もちろん患者さんとも初めましてだし‥恐る恐る、いろいろ聞きながらになりますよね。早く力を発揮するためにはその病院のやり方にまず慣れることが必要になります。
今までの常識、やり方を否定されることも
今までやってきたことをあっさり否定されたりするんですよ。病院によって文化が違うので、やりながら覚えていくしかないのですが‥
『自分のやり方、自分が当たり前と思ってきた常識』のちゃんとした根拠をもってると、否定されてもそれが意味ない否定なのかどうかが分かります。口に出す出さないは別にして、周りの言いなりになって流されず、しっかり自分を持っておくのも大切です。
逆に指摘されて初めて気づくこともありますよね。その場合はそこで気付けて良かった!でいいと思います。
同期がいないことが多い
中途採用の辛いところは、同期がいないことが多いことです。同じ時期に入った仲間がいれば、情報共有だったり、話しやすいなどメンタル面の支えになり、大きな役割を果たしてくれることがあります。
新しい環境に自分1人という心細さは不安材料の1つでした。でも、もとからいるスタッフと、どんどん話して打ち解けたら同期いなくても大丈夫でしたが笑。要は『人』なんですね。コミュニケーションは重要‥
把握すべきはこの2つ!
残念ながら覚えるしかない!
ローカルルール
病院ごとの文化の違い
基本の医療はだいたい同じですが、やり方や決まりはそれぞれです。これを覚えるのがなかなか大変。
予防接種ひとつとっても、扱っている混合ワクチンの種類、接種間隔、持病のある子への対応、シャンプーやホテル利用までの待機期間など病院によって、院長の方針によって違います。在庫管理や衛生管理などもそうで、一つ一つの仕事にそれぞれの病院のやり方があります。私の経験で、一つ動けば「違う!」と言われるような動物病院もありました。例を挙げてみましょう。
例 衛生管理
- A動物病院:感染対策で診察台などの消毒はペーパータオルを使用
- B動物病院:診察台は消毒するが水洗いの使い回し雑巾(ペーパータオル使ったら怒られた)
例 在庫管理
- A動物病院:在庫が見える化されており、スタッフがみんなで在庫の管理を行う
- B動物病院:薬品の在庫は1つの段ボールに全て入れられており、担当者が主に在庫管理を行う
それぞれ確立したやり方で、悪いわけではないですが、上記の例だとB動物病院の方は感染症が出た際にもっと対応が必要になるリスクがあり、業務効率はあまり良くなさそうで、担当者の負担も大きく、不意に休んでしまうと在庫の管理ができなくなる可能性がありますね。
獣医師ぽこが驚いたローカルルールの例
私が実際に経験して驚いたローカルルールの一部を紹介します。(全てが1ヶ所の病院ではありません)
- 昼休みは全員で一室で食べる
- お茶代払っても飲めるのは3年目から(ヒドイ!)
- 病欠は欠勤(有休あるのに嘘でしょ⁈)
- 採血は必ず右後肢サフェナじゃないとやってくれない(いや、毎回同じ⁈)
- 腕時計をしてたら外せと言われる(壁掛けで見てって‥)
- 内服薬や処置の値段は院長のさじ加減だから毎回確認(決まってないんかい!)
個人的病院の方がクセが強い印象がありますが、あまりにひどいと人が居つかない原因にもなりますので、そのルールに根拠と納得できる理由があるかは要チェックです。
物の場所
これ地味に重要です。物の使い方はわかる、これ使いたい。でもどこにあるか分からない。こんなことがしょっちゅう起きます。
「ぽこ先生、このチョコちゃん、採血してスクリーニングでよろしく!」
いや、できるけど、採血は。シリンジと針どこやねん?ここで言うスクリーニングはどこまでじゃい??
ある程度の規則性に従って、動線を考えて物が配置されてることが多いのに、病院のスペースの関係で「なんでここにこんな物が??」ってことも個人病院では多々ありました。
この物の場所を覚えるのが、私は苦手で時間がかかります。以前の職場とごっちゃになってしまうタイプです。でも物品の場所を覚えると作業効率は飛躍的に上がります。
初めはこれだけで十分!即戦力なんて気負わなくていい!
中途採用だからって即戦力にならなきゃって焦っていた頃もありました。でも初めのうち1ヶ月程度は物の場所とローカルルールの把握を中心に心がけてみるといいかもしれません。
中途採用だからこそ見える改善点
外から来た中途採用者だからこそ気づける問題点や改善点があります。私も含めて、組織の中にいるとそれが当たり前になってしまい、悪い慣習であってもズルズルと続けてしまうことがあります。
もっとこうしたら仕事の効率がよくなるのに
もっとこうしたら患者さんのためになるのに
そんな気づきがきっと初めの1ヶ月はたくさんあると思います。ぜひその感覚を大切にしてください。仕事の効率があがったり、患者さんにとっていいことを提案してくれることは、病院にとってもプラスの要素になります。
郷に入っては郷に従え
とありますが、まずは従ってみて、その上で自分の今までのやり方の方がいいならぜひ提案し、改善していけるといいですね。
上司が違う文化も受け入れてくれるか?
ただ、いろいろ気づいたからといって全てを直そうと言い過ぎるのは要注意です。たとえそれが正論だったとしても、今までやってきたことを変えることは、人はなかなか難しく、出来ないこともあります。
特に院長や看護師長のキャラクターが関係してきます。フットワークが軽く、新しいことを取り入れて病院をどんどん良くしていこうというタイプなら提案はしやすいです。きっと興味深く意見を聞いてくれて、いい意見なら取り入れてくれるかと思います。
一方で、保守的な上司だと、「俺のやり方はこうなんだ!口出すな」と、逆効果になることも。そんな病院は昔ながらのやり方を突き通してたり、業務が非効率で看護師の負担の上に成り立ってたりすることもあります。中にはパワハラやブラック労働が常態化してる病院もあり注意が必要です。自分が気持ちよく仕事をするためには、上司を動かすか、また再度転職するかです。
コミュニケーションは重要!
いくら自分がいいと思って提案しても、客観的に見て良くなかったり、病院の方針にそぐわなかったりすることもあります。(例えば小さな個人病院にいきなりCT入れようって言っても現実的じゃないですよね)
また、正当な理由があったとしても、言い方1つで、相手が拒絶反応をすることもあります。逆に保守的な上司であっても、言い方を工夫すれば意見を聞いてくれることもあるかもしれません。
病院とはいえ、『人』が働いているのでコミュニケーションは本当に本当に重要です。元からいるスタッフと円滑なコミュニケーションが取れれば、助けてもらいながら、環境に慣れ、仕事もしやすくなります。病院の改善にも役に立つので、ぜひ積極的にコミュニケーションをとることをおすすめします。
まとめ
中途採用だと即戦力にならなきゃ!と焦ることもありますが、まずは物の場所とローカルルールを把握するだけでも充分だと思います!
そこで得た気づきは、未来の職場環境の改善に大きな役割を果たす可能性があります。元からのスタッフとコミュニケーションを取りながら、徐々に仕事に慣れていきましょう!
- 物の場所の把握は業務効率を上げる(やりづらいところは、落ち着いたら改善していこう)
- ローカルルールはひとまず従うが、改善点はしっかりと頭に入れておく
- 転職したての時期が一番改善点、問題点が見えやすい時期
- 上司のキャラクターに合わせて改善活動をしていこう
- 気負わず、まずはスタッフとコミュニケーションをとって助けてもらおう
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