【飼う前にチェック】珍しいペットを飼うということ、元水族館獣医師から見た注意点!

たわごと

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。もと水族館獣医師から犬猫を中心とした小動物診療を経験してきました。

昨今、SNSなどで可愛らしく、珍しいペットたちの画像や動画などが人気があったりしますね。そんなかわいい仕草を見ていると、自分もこんな動物を飼いたい!と思う方も多いはず。

でもちょっと待って!

飼う前にしっかりとチェックをしておいた方が絶対にいいことがあります。水族館の動物たちのお世話をしてきた獣医師だからこそ、珍しい動物を飼うことの大変さを経験してます。

飼ってから「こんなはずじゃなかった!」となるのは、動物にとっても人にとっても悲しいですよね。これからわんちゃん猫ちゃん以外のペットを飼おうと考えている方の参考になれば幸いです。

エキゾチックアニマル

珍しいペットは犬猫に対して、エキゾチックアニマルと呼ばれる部類に入ります。ここにはウサギ、ハムスター、小鳥、モルモット、チンチラなども含まれます。

どちらかと言うと野生動物に近いので、あまり人に慣れない子も多いです。珍しい動物になればなるほど、野生に近いと考えてもいいと個人的には思っています。

かわいいだけじゃない!ここまで想像してみて!

その動物の生息環境は?

その動物は野生ではどんな環境で暮らしているでしょうか?

比較的涼しいところ?暑くても乾燥しているところ?必ずしも日本の環境がフィットする動物ばかりではないはずです。環境が適切でないと体調を崩す原因となります。

例えば水族館ではアザラシやカマイルカなどは寒い地方に生息しています。日本の夏は彼らにとってはしんどいらしく、プールの水に冷却をかけたりしながら乗り切ってました。それでも苦手な時期だと体調を崩すことも多かったです。

自宅に置き換えてみましょう。場合によってはその動物のために24時間エアコンがフル稼働する必要があります。動物によってはヒーターなどが必要な場合もあります。その電気代まで考えていますか??

飼育スペースは動物にとって適切な広さがありますか?小さな動物だからと小さなスペースで済むかというと、そうではないことがあります。その動物の習性で上下運動が必要なのに平場で飼っていたり、一日中餌を探して動き回る動物に狭いケージといつでも食べられる餌がある環境…どう考えても自然とは違いますね。

また、カワウソなど水が必要な動物の場合、水道代も考慮しなければいけません。汚れた水は細菌が増殖し、体調不良の原因となります。また、泳ぎ回れる十分なスペースも必要です。

その動物に適した飼育環境を整えることはできそうですか??

その動物が食べているものは?

環境と同じく餌も重要です。私たちと同じように、食べる物は身体を作るためにとっても大切です。なるべく自然に近い餌をあげることが理想的ですね。

ウサギなどは、すでに栄養バランスが調整された専用のフードがあります。そうなると比較的ハードルは低くなりますね。

例えば肉食の鳥(猛禽)などはどうでしょう?一時期、映画の影響でフクロウの人気が上がったことがありましたね。肉食だからとスーパーで売っているお肉だけをあげていると、栄養不足になってしまいます。なぜなら、彼らは獲物を血や内臓ごと食べているから、スーパーのお肉では(筋肉だけなので)一部しか満たされないんですね。例えば冷凍のマウスなどを定期的にあげる、サプリメントなどで補うことが必要になってきます。そう考えると毎日毎回餌を準備するのも大変な仕事ですね。

動物によって餌の食べ方も違います。少しずつずっと食べるタイプもいれば、比較的まとまった量を食べて、絶食の日があるとか…

さらに、餌の用意は1〜2回だけでなく、継続的にその餌が手に入るか、災害などで欠品になっても代替品はあるのか、というところまで考えられると安心ですね。

その動物の寿命は?

爬虫類などでありがちですが、かなり長生きすることも予想されます。長生きすることはいいことではあるのですが、ライフスタイルの変化などがあっても、しっかり飼い続けられるか考えてみましょう。基本的には亡くなるまでしっかりお世話をすることが必要です。

ちなみによくびっくりされるのが、鳥の寿命です。小型のインコだと5−8年、中型だと約20年、大型のインコだと50年ほども生きることもあるんです。

生涯しっかりお世話できますか?

その動物はどれくらい大きくなる?

よくニュースやテレビ番組で見ますね。思いの外大きくなってしまって、飼いきれず放してしまう…また、ケージを破って逃走してしまう…

こういったことも、それぞれの動物の生態をしっかりと把握していないがために起こることです。

具合が悪くなったらどうする?

もし、動物が具合が悪くなったら近くに診てもらえる動物病院はありますか?

獣医師の仕事の範囲はものすごく広いです。正直、知らない動物でも診療すること自体は出来ます。でも獣医師は大学で習うのは主に家畜、家禽、よくて犬猫です。エキゾチックアニマルに関しては自身で勉強、経験を積む必要があります。

私も水族館に入った頃は全くのゼロベースからのスタートでした。イルカやアザラシのことなんて大学では習いませんからね。大まかに、珍しい動物に対して動物病院は以下のような対応かと思います。

  • ちゃんと診察、治療をしてくれるエキゾチックに経験のある獣医師
  • 診察自体はできるが、一般的な対応しかできない
  • 診察はお断り

動物病院によりスタンスは大きく違います。安心なのはやはり、エキゾチックアニマルに詳しい先生だとは思いますが、片道1時間かかったりするようだと緊急時には大変です。

特に野生に近い動物たちは具合の悪いことを隠すので、気づいたときには手遅れなんていうことも。

近くにかかりつけ動物病院がありますか?

人に馴れない可能性も大きい。それでもいい?

長く人と一緒に過ごした歴史のある犬や猫に比べるとエキゾチックアニマルは野生に近いので人馴れしないことも多いです。抱っこや触れ合いが思うようにいかないこともあります。場合によっては噛み付いたりしてくることも。

でも、それって動物にとっては当たり前のことなんです。嫌なものは嫌なんです。しつけや暴力で直そうとしても出来ないものは出来ない。

現に水族館のイルカたち、あんなにトレーナーと仲良く、言うことをよく聞いてるように見えますが…現実は言うことをきかなくなったり、噛んだりすることもあるんです。でも動物たちを尊重し、上手くやっているのがトレーナーなんですね。プロであるトレーナーですらそんな状況なので、一般家庭ではなかなか難しいことは目に見えています。

思ってたのと違う、一緒に遊んだり抱っこしたりできなくても、その動物のことを尊重して一緒に暮らせますか?

まとめ

一時期のかわいさ、珍しさに負けず、しっかりと考えてから動物を飼いましょう。

もし、考えて、これは無理!と思うなら、飼うのではなく、その動物が野生で幸せに暮らせるように、何かできることを探してみるといいかもしれません。

  • その動物に適した環境や餌を安定して与えられますか
  • その動物が寿命を全うするまで飼えますか
  • その動物が思ったよりも大きくなっても飼い続けられますか
  • その動物が体調が悪くなった時に適切な医療を受けさせてあげられますか
  • その動物が人馴れしなくても一緒に過ごせますか

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