ぽこです。
10年以上獣医師をやっています。初めは水族館獣医でしたが動物病院へ転職し、勤務医として働いていました。世間では「獣医師って稼いでいるんでしょ??」というイメージがあるようですね。獣医師ではない友人と話すときに言われることがあります。
いやいや、実は全くそんなことないんです。特に動物病院の勤務医は。
今回は動物病院獣医師(しがない勤務医)の懐事情をぶっちゃけます!
そして獣医師が稼ぐためにはどんなことをやったらいいの?今の病院で頑張って売上を上げても、多分給与には変化はないかなあ。開業?資格を取る?転職??
獣医師になるには時間とお金がかかる!
獣医師になるためには大学で6年間勉強をして、国家試験に受からなければいけません。
6年間の学費は国立と私立でかなり違います。また獣医学部がある大学は全国で18校しかありません。そうなると自宅の近くで通える大学に受からないことも多いです。その際は1人暮らしで、またお金がかかります。
学校で使う教科書も専門書なのでまあまあ高いです。1冊で一万円以上する本もあります。獣医師一人でこんなにお金がかかっているのですね。私も親に感謝です。
国立大学の学費(6年間):約350万円
私立大学の学費(6年間):約1300〜1500万円
動物病院の勤務医ってどれくらい稼いでるの?
まずはここからスタートですね。従業員として病院に勤務する獣医師のことです。個人病院と企業病院で福利厚生には差がありますが、基本的に月給制で社会保険も完備されていることが多いです。
平均給与ってどれくらい?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、初任給は27.6万円だそうです。そこから経験と共に昇給し、男性では平均月収が37.8万円、年収は535.5万円、女性は平均月収が34.7万円、年収は489.1万円でした。日本の平均的な年収は442万円なので若干高めになります。
女性獣医師の年収が低めなのは出産、育児による離職や時短勤務が影響していると考えられます。
それって多いの?少ないの?
平均から見たら、数字だけなら高いですが、労働条件を考えると決して高くはないです。休憩時間も取れず、残業も多い割に反映されてないこともあります。あれだけお金をかけて獣医師になったのに、基本給だけで見ると新卒の一般企業より少ないですよね。稼いでいるのは、ほぼほぼ残業代ということになります。時間の切り売り‥
ちなみに私が初めて動物病院で勤務した時の月給はこんな感じでした。(水族館でのキャリアはほぼ考慮されず、新卒に少し色がついたくらいの給料でした)
基本給:約20万円 固定残業代:約9万円(当時60時間分)
総支給:約29万円/月
その後、キャリアを積み、転職をし、直近の最高年収は約600万円(残業代込み)でした。出産、育児で時短(という名のフルタイム、8時間勤務)になって約450万円程度(残業代込み)の年収に減少しました。
獣医師が稼ぐためにはどうしたらいいの?
しがない勤務医はあまり稼げない。じゃあどうしたらいいか?
専門医としてのスキルを身につけて昇給
自費と自分の休みを使って資格やスキルを身につけることがひとつです。ただ、せっかく学んで資格を取得しても、すぐには給与に反映されないことも考えられます。
会社や病院が補助を出してくれることもありますが、そうなるとその分会社に貢献しないといけない雰囲気を出されて、悪い条件でも自由に転職できないリスクもあります。
でも得意分野を持っておくことで、自分の武器にもなり、転職時も選択肢が広がります。
転職
同じ病院内に長く勤めても昇給は微々たるもの。そう簡単にあがっていきません。以前勤めていた個人病院は昇給年一回と記載されていたのに、待てど暮せど何もなく、こちらから聞いて「あ、忘れてた」と言われたことがあります。
私の経験上、どれだけ頑張って診察をさばいても、休憩も取らずにオペをしたとしても、給与はそう簡単に上がりません。(実績の分報われる職場であれば全然問題ありません!)
もし環境が悪いなら、給料や条件のいいところに転職をする方が早いです。
開業
独立、開業すると、うまくいけば収入は青天井です。現在、全国の動物病院の売上は増加傾向で、動物一頭あたりにかける金額も上がってきているそうです。
ただ、開業にはリスクもあります。設備投資や家賃などの初期費用の問題、顧客がつくまでの期間の収入、近隣動物病院との競合などです。
地域によってはもう動物病院は飽和状態のところもありますよね。
また、後継者がいない動物病院も増えてきており、事業継承という新しい形もあります。これは初期費用や顧客の問題がクリアできるという利点があります。
開業資金:約3000万円
開業医の年収:約500〜1000万円
副業
動物病院勤務医は激務ではありますが、収入を増やすのであれば副業も選択肢の一つです。執筆活動や講演会、セミナーなどをやったり、クラウドワークスで動物関連の記事を書いたり、資格が活かせることはたくさんあります。
問題は激務の合間で副業の時間をどうやって捻出するかです。
やはり時間の融通が効く働き方ができると、色々なことに挑戦する余裕が生まれます。自分に合った労働環境を探すため転職活動は少しでもやっておくと心にも余裕が生まれます。
まとめ
動物病院勤務医の給与は意外に低い割に仕事の責任は重く、労働環境は過酷です。
- 獣医師になるには6年勉強をし、多額の資金が必要
- 動物病院勤務医の給与は残業や拘束時間を考えると決して多くはない
- 獣医師が年収を上げるためにはスキルアップや開業することが挙げられる
- 手っ取り早く年収を上げるには転職
- 時間を作ることができれば副業も可能かも
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