【獣医師解説】動物病院で働くって実際どうなの?

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。最初は水族館で働いていたのですが、その後は動物病院へ転職。そして現在は一般企業へ転職活動中です。

私の実家では動物を飼っていなかったので『動物病院』がどんなところか、どんな仕事をしているのかほとんどイメージが湧きませんでした。

なんせ就職した時に「狂犬病注射ってなに?」みたいなレベルでした笑。スタートラインはゼロに等しい、または詳しい飼い主さんよりも低いところからのスタートだったように思います。そこから学び、鍛えられ、自分で診療、手術ができるようになり、責任ある立場にもなり、後輩の育成を任されるようになりました。

今回は動物病院へ就職、転職を希望する人に向けて「動物病院で働くこと」についてまとめてみました。参考になれば嬉しいです。

動物病院での仕事ってどんな感じ?

動物病院の大まかな仕事を紹介していきます。これは病院の規模によっても業務範囲が変わってきますので、あくまで目安です。大きな病院でスタッフが大勢いるところは分業が進んでいますし、規模が小さな個人病院であれば院長でもお会計をしたりすることもあります。

動物病院で働く人はどんな仕事をしてるの?

動物病院で働く人は獣医師、動物看護師、受付、トリマーなどがいます。

獣医師

獣医師は獣医師国家試験に合格し、獣医師免許を取得した人です。主に動物の診療、薬の処方、入院管理、手術などに携わります。病院によっては事務仕事や会計、機器のメンテナンスなどをすることもあります。要するに獣医師だからといって獣医診療のみやっていけばいいというわけではないんです。

勤務医

まずはここからスタートですね。従業員として病院に勤務する獣医師のことです。個人病院と企業病院で福利厚生には差がありますが、基本的に月給制で社会保険も完備されていることが多いです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、初任給は27.6万円だそうです。そこから経験と共に昇給し、450〜500万円程度が平均年収だそうです。日本の平均的な年収は442万円なので、平均よりは若干高めになります。

一般診療をする勤務医から、専門性をもって専科診療に当たる獣医師まで様々です。

院長

自身で開業をする獣医師も多いです。勤務医に比べて開業医の方が収入が多い傾向はありますが、開業資金の準備や経営の資質が必要と条件は厳しいです。最近では企業病院の院長や事業継承などの選択肢もあります。

パート、フリーランス

家庭の事情でパート勤務やアルバイトで働く獣医師もいます。最近ではある程度診療できればフリーランスという選択肢もあります。獣医師や動物看護師の派遣会社もありますね。

動物看護師

診療の補助や爪切りなどのケア、検査、手術の助手など幅広く業務があります。これからは国家資格もできるとのことで、これから働き方が変わっていくかもしれません。

動物に関わること以外にも、発注や薬、フードの在庫管理、諸手続きなどやる場合も多いです。獣医師よりも仕事のデキる看護師さんも多いですね。資格とかよりも、互いにリスペクトし合える関係だと良い仕事ができます!

受付

動物看護師が兼務する場合もあります。外来の受付、会計、電話応対、薬の受け渡しなどをします。電子カルテと紙カルテでまた違いますが、基本的なPC操作は必要です。そして患者さんから質問も受けやすいので、ある程度の知識も求められます。

病院の顔ともいう大事な部署ですが、クレームの窓口にもなりやすく、精神的にキツい面もあります。でも患者さんと接する機会が多いので、おしゃべりしたり仲良くなったりできるため、接客が好きな人が向いていると思います。

トリマー

動物病院にトリミングサロンが併設されていることも多いです。動物たちのシャンプーやカットをします。トリマー専属の場合もあれば、動物看護師業務も兼務することもあります。

病院併設だと、一般のサロンで断られるような持病があったり、高齢の子に施術する機会が多くなるのが特徴です。自身でサロンを開業したいので、病気の子の対応を学ぶため勤務する人もいます。

動物病院の獣医師の仕事は多岐にわたる

ひと口に動物病院の獣医師といっても診療分野は多岐にわたります。一般的な「町の獣医さん」は、人の医者と違って専門分野が分かれていないことがほとんどです。要するに内科も外科も、歯科、皮膚科、眼科、婦人科全て網羅する知識と技術が必要ということです。

全てにおいて専門医レベルは現実的に無理ですよね。一定のレベルまでの診療をし、手に負えないと判断した場合は、速やかに専門医を紹介するのも大切な仕事です。

動物病院で働くにはどうすればいいの?

動物病院の就職活動は一般企業とは少し違います。最近では企業経営の大きなグループ病院も増えてきているので就職活動も変わってきていますが、基本的には面接と実習です。

就職活動の流れはこんな感じ

  1. 希望する動物病院のピックアップ(通勤は短い方がおすすめ)
  2. 動物病院に連絡(メール、電話など)
  3. 面接
  4. 実習
  5. 内定、就職

実習ではここを見よう!

一般企業にはあまりない、実習というシステム。実際に1日または数日動物病院で、診療や手術、日常業務などを見学したり、少し手伝ったりします。病院によっては面接と実習が同日にある場合もあります。

そんな中で見てほしいポイント

  • 面接時に労働条件(特に残業や給与)に関してしっかりと詳しく説明があったか
  • 院内の清掃、整理整頓は行き届いているか
  • スタッフ同士のコミュニケーションは良好か
  • 院長の指示に対してスタッフがちゃんと返事をして動いているか
  • 院長以外のスタッフと積極的に話してみる

必ず複数の病院に実習に行こう!

1ヶ所だけでなく、複数の病院へ実習に行って比較検討しましょう。その理由は、数日の実習で必ずしも全てが分かるわけではありません。入職してから「話が違う」ということになる時もあります。そんなミスマッチをなるべく少なくしていくためには、いろいろな病院を見ることが重要です。

自分が求める条件に優先順位をつけて、自分の希望にあう病院を見つけましょう!

ブラックな動物病院もあるって本当?

残念ながら労働環境が悪かったり、パワハラが多い動物病院があることがあります。一般企業に比べると福利厚生もしっかりしていないことも。就職前にはしっかりチェックする必要があります。

なぜブラック動物病院が多いのか

個人開業の動物病院ではコンプライアンスが守られるかどうかは院長の度量や経営資質によるところが大きいです。私が思う理由は↓

  • 命を扱う仕事なので、定時で終わることができない場合も多い。
  • やりがい搾取が起きやすい
  • 動物病院が多いので、差別化のため休診がなかったり、夜までの診療をする場合がある。
  • 人手不足なので1人あたりの業務量が多い
  • 院長が法令に関して無関心または詳しくない

パワハラが起きやすい環境って?

命を預かる仕事なので、時には厳しい指導があることもあります。長時間労働で疲労も溜まるとイライラしやすい面も影響しているのか‥

  • 個人経営だと少人数での閉鎖環境で毎日仕事をする
  • 命を扱う仕事なので指導が厳しくなりがち
  • 閉鎖環境なので、一昔前の常識のままアップデートされていないことがある
  • 人手不足なので人間関係のトラブルがあってもすぐに辞められない

動物病院の転職事情って?

現在社会的に大転職時代と言われていますが、動物病院も同じ流れだと思います。働き方が多様化した今、自分に合った職場、仕事を求めて転職をする人は増えたように思います。特に技術職なので、自分の能力を活かせる場所を見つけることは年収アップにもつながります。

動物病院→動物病院

今までのキャリアをそのまま活かせるパターンです。より専門的なスキルを身につけるため、ライフステージにあった労働環境に変えるためなど理由もさまざまです。

注意が必要なのは、業界が狭いので、退職時に喧嘩別れしてしまったりすると、どこでその情報が伝わってるか分からないことです。可能な限り円満退職を目指しましょう。ただ、ブラック動物病院から逃げるときはその限りではなく、速やかに逃げましょう!

動物病院→他の職種

今までのキャリアを変えて他の業務にチャレンジすることもあります。多い転職先としては製薬会社、ペットフード会社、ペット保険会社などの一般企業です。他にも公務員だったり、起業したり現在はさまざまな選択肢があります。

まとめ

結論として、動物病院で働こうと思ったとき、その働き方、働きやすさ、やりがいなどは「病院による」ということです。自分が何を重要視するか、年収なのか、時間なのか、やりがいなのか優先順位をつけて探しましょう。

  • 動物病院勤務医は平均よりもやや多い年収だが業務量は多く、残業も多い
  • 開業医の方が年収は上がる可能性もあるがリスクもある
  • 最近では働き方も多様化してきた
  • 就職には面接と実習があることが多い
  • ブラックな職場もあるため見極めは重要
  • 転職しながらキャリアアップしていこう

もし、運悪く合わない職場だったり、ブラックな労働環境だった場合は無理せず、転職を考えましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました