春ですね。予防接種の季節です。わんちゃんがこの時期にやっておきたいこと4選

どうぶつ

ぽこです。

獣医師を10年以上やってます。動物病院でよく聞かれることなどを、なるべく専門用語を使わず、分かりやすく、おしゃべりする感覚で解説していきたいと思います。

春ですね。今年もまたこの時期がやってまいりました。動物病院は一年で一番忙しい時期になります。スタッフは気合を入れて頑張ります。

普段はあまり動物病院にかからないわんちゃんもこの時期は病院に行くことがほとんどではないでしょうか。せっかく動物病院に行くので、ぜひこの時期にやっておきたいことを紹介します。

狂犬病予防接種

これはちゃんとそれぞれハガキがくるので忘れないですよね。犬を飼っている方は年に1回の狂犬病予防注射をすることが義務付けられています。

狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極め て稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である。

厚生労働省

狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)に基づき、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けなければなりません。また、交付された鑑札と注射済票は、必ず犬に付けなければなりません。

 日本国内には狂犬病の発生はありませんが、近隣諸国では狂犬病がまん延しており、日本への本病の侵入リスクは皆無ではありません。犬を飼われている方は、社会に対する責務として、犬の登録と年1回の狂犬病の予防注射を必ず行ってください。

厚生労働省

要するに、狂犬病は人にもかかる怖い病気で、日本の近隣諸国にはまだ蔓延しているため、侵入を防ぐためにもみんなで予防しましょうねということです。もしこの注射を怠った場合は20万円以下の罰金が課されることもあります。

体調が悪かったり、疾病の治療中である場合にはかかりつけの獣医師と相談しましょう。注射を延期したり、場合によっては『猶予証明書』という、体調面の問題から狂犬病予防注射が打てませんという証明書を発行してくれる場合もあります。これは獣医師による判断で、飼い主さんが打ちたくないから証明書出してと希望しても難しいです。

フィラリアの検査

よく聞くけどそもそもフィラリアって何?

蚊に刺されることによって感染する小さな寄生虫です。その寄生虫が犬の身体の中で成長して、血管から心臓へ寄生します。そこでその虫がさらに子虫を産んで、それが蚊に吸われて他の犬に感染していきます。

イメージとしてはそうめんみたいな虫がわんちゃんの小さな心臓にいたらどうでしょう?血がうまく流れなくなったり、血栓(血の塊)ができたりして健康に悪影響をもたらします。

都内ではたまに見る程度ですが、地方へ行けばまだまだたくさんフィラリアはいます。地方から保護犬などを引き取った方は注意が必要です。

ちなみに、水族館時代、アザラシやオットセイの解剖でフィラリアがたくさん寄生しているのをみた事があります。

なぜ毎年血液検査が必要なの?

フィラリアの予防薬は虫が感染していないわんちゃんにとっては問題ないです。しかし、万が一、前年の予防がうまくいっていなくて、フィラリアの虫が身体の中にいる(感染した)状態で予防薬を使ってしまうと、虫と薬が強いアレルギー反応を起こしてしまい、ショック状態になることもあります。

必ずフィラリアの薬は前年分は飲み切ってください。また、ご家庭で昨年の残りの薬があるからと、検査なしで投薬することも実はとても危ないのです。

フィラリアの予防薬の処方

フィラリアのお薬はフィラリアを予防するものであって、実は蚊に食われなくなる予防薬ではないんです。

フィラリアの予防薬もいろいろな種類があります。病院によっては注射を1回打てば1年間大丈夫というものもあったりします。飲み薬は錠剤タイプやおやつタイプなどがあります。4〜5月から投薬を開始、12月くらいまで月1回飲みます。なのでわんちゃんが嫌がらないタイプのお薬を選ぶといいでしょう。

病院によっては予防薬を1年分まとめ買いしたら少し安くなるキャンペーンもやっています。(私は3つの動物病院で働いたことがあるのですが、どこもやっていました)

ノミやマダニも一緒に予防しよう

ノミ、マダニやお腹の寄生虫も同時に予防できるお薬もあります。都内でもノミやマダニがつくことは結構多いです。特にこの暖かくなり初めの時期、まだ予防薬使ってなかったためにノミがついてしまう子がよく病院に来ます。

マダニには怖いウイルスを媒介するものもありますので必ず予防することをお勧めします。中には人にもうつる病気があります。

人がマダニにかまれて感染する病気には、ライム病、日本紅斑熱、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などがあります。

健康診断

そして、健康診断。フィラリアの検査で採血をするので、この機会に全体的な血液検査を通常よりもお手頃価格で受けられる「春の健康診断キャンペーン」のようなものがある病院もあります。せっかく採血をするので、この機会に健康診断もやってしまいましょう!

まだ若くて元気な子でも年に1回受けておくことで、外見では分からない数値の変化などを毎年チェックすることができます。また、7歳以上のシニアの子であれば春と秋という感じで年に2回の検診をお勧めしています。

わんちゃんは4〜5倍はやく歳をとります。シニアのわんちゃんが年に1回の検診で安心できないのは、人間でいうと、高齢者の方が「5年に1回の検診」で安心できないのと同じです。

まとめ

獣医師がすすめる、春の予防シーズンにはぜひ動物病院でやっておきたいこと4選。

  • 狂犬病予防接種
  • フィラリアの検査
  • フィラリア、ノミ・マダニなどの予防薬の処方
  • 健康診断

この時期は動物病院は混雑します。ぜひお早めに。

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