動物病院のスムーズな退職に向けて準備。やるべきことは引き継ぎ患者リスト作成!

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。そんな中で何回か転職をしてきました。動物病院の退職時には理不尽で強引な引き止めや引き伸ばしがあることも多いです。半年から1年以上も前に退職を伝えなくてはいけないという動物病院もあります。

ただ、基本的に就業規則で決まっていても、常識の範囲を超える退職予告期間は無効になることが多いです。自身のキャリアのためにも「辞めたい」ところにいつまでも残ることがいいこととは思えません。一般的な企業では1〜2ヶ月前に退職を伝えることが多いと言われています。

では小動物臨床の勤務獣医師はどうでしょうか?

これは人によるところが大きいのですが、最低でも担当患者の引継ぎを責任をもってできる期間は必要だと考えられます。じゃあその期間ってどれくらい?それを前もって知りたいけどどうしたらいい?

獣医師がスムーズに退職するためにやっておいた方がいいこと、それは引継ぎ患者リストの作成です!

これは上司に退職の意向を伝える前からこっそりコツコツと準備をしておくと色々と便利です。以下で解説していきます。

退職交渉は難航すると思っておくべし

辞めたいと言ってすぐに承諾してくれることはほぼないかと思います。

「いったい理由は何なんだ⁈」

「うちの何が気に入らないんだ⁈」

「人手不足なのに、どうしてくれるんだ⁈俺へのいじめなのか⁈」

これは実際に私が退職を伝えた際に言われたことです。真摯に向き合って話あってくれる院長もいれば、矢継ぎ早に質問と文句をぶつけてくる院長もいます。ここでは相手のペースに巻き込まれず、いかに冷静に伝えられるかがカギになります。その交渉のためにあると良いものが、客観的に自分の業務量が分かる引継ぎ患者リストなんです。

引継ぎ患者リストを作成するメリット

病院側で多いのは「人手不足や引継ぎのため」と理由をつけて退職の引き伸ばしをしてきます。引継ぎにおいては患者さんに迷惑がかかるからと。

これは臨床医としては辛いところですよね。担当医が変わることは、患者さんには確かに迷惑な部分もあるかと思いますが、しっかり引継ぎをして安心してもらいたいのは、自分も、院長も同じはずです。だからといって半年以上も時間をかける理由にはなりません。聞いた話では1年半も辞めさせてもらえない先生もいました。

自身の退職前の業務を楽にしてくれる

退職が決まってからは、自分の退職日までに引継ぎをしなければいけません。決まってからリスト作成をするのはまあまあ忙しく、引継ぎと同時進行になってしまい、抜け漏れが出る恐れがあります。

事前にリストを作っておくことで、自分が退職までに何をしなければいけないかが明確になるので、スケジュールを立てやすくなります。

担当患者への挨拶のためにもリストは大活躍です。運悪く、ご都合などで受診出来なかった方にはお電話で退職の挨拶などするようにしてました。心情的にも、今まで診てきた患者さんなので最後のご挨拶はしたいですよね。このように何かとバタバタしがちな退職前に、抜け漏れなく、to doが分かりやすくなるメリットがあります。

客観的に引継ぎ業務量が見やすい

院長へ退職を伝える前からコツコツ準備しておくのがおすすめです。外来診察に来た担当患者をその都度メモしていきます。(私はExcelにメモしていました)そうすると診察の間隔などを考慮しても、2ヶ月程度でほぼほぼ全ての担当患者を把握することができます。(獣医師と病院の規模にもよるかと思いますが)なぜなら一般的には、細かく調整が必要な定期診察は1〜2ヶ月に1回程度だからです。

客観的に評価ができる業務量のリストを作成することで、「自分は今これだけの担当患者と業務をもっている。引継ぎには2ヶ月は必要なので、責任を持って引継ぎをし、2ヶ月後に退職します。」という1つの指標になります。

後に残るスタッフにとっても有用

引継ぎを受ける側にとっても有用です。私も、自分への引継ぎ患者が複数いたりすると、いざ、自分が診察にでるときに「あれ?この子何て言われてたかな??」となることがありました。そんな時にリストを見ると、患者さんの概要がまとまっているのですぐに思い出すことができます。

引継ぎ患者リストってどんなもの?

Excelなどで十分です。先輩獣医からは紙でリストを渡されたこともありましたが、データはなるべく退職時には共有しておきましょう。患者情報を詳細に記載する必要はありません。あくまでリストです。

記載する事項

記載事項は次のようなことが入っていれば十分です。患者さんの詳細はカルテを見ればわかるはずです。(医療記録なのでわからないと困ります。中には紙カルテで、字が芸術的すぎて解読不能な場合もありますが…)

  • カルテ番号
  • 患者氏名、動物名
  • 犬種/猫種
  • 疾患名
  • 現在の状況:以下に例を示します。

例:僧帽弁閉鎖不全症ACVIMstageB1で現在3ヶ月に1回の心臓エコー実施中。次回○月予定。

  犬アトピー性皮膚炎でアポキル内服中、悪化時薬用シャンプーで改善することが多い

  変形性関節症でカルトロフェン月1回。痛みが強ければ内服使用する。

こんな感じの概要がわかる程度で十分です。実際に引き継ぎをするときはさらに詳しく説明をし、患者さんの前で後任を紹介して挨拶します。

可能であればマスターカルテを作っておくと後任が喜ぶ

電子カルテの一番先頭や、紙カルテの表紙のマスターカルテに自分が担当した期間の大きな出来事を書いておくと、後に誰が見ても経過を追いやすいです。何かあったとき、カルテをざーーーーっと見ていくの大変ですよね。私も嫌いです笑。高齢の子なんか特に分厚い紙カルテなんか見るのも嫌になりますよね。

マスターカルテに日付と出来事、変更事項などを簡単に書いておくと引継ぎもしやすく、後々の患者さんのためにもなります。じゃあどんな項目があると助かるかというと、例えば

  • 手術や入院
  • 薬を開始した、変更した
  • アナフィラキシーや薬での副反応
  • 患者ご家族の意向(例:薬はなるべく使いたくない、注射は見えないところで打ってほしいなど)
  • 動物の性格(例:口を触られると噛む、女性獣医師希望など)

普段の診療時からマスターカルテを記載する癖をつけておくと色々な面で役に立ちそうですね。

まとめ

スムーズな退職のためにできる準備はして臨みましょう!ぜひ後悔のない就職、転職を!

ただ、今もし、ブラックな職場環境やパワハラで退職を考えているのなら準備よりも自分の心身を大切にしてください!すぐに逃げましょう!!

  • スムーズな退職交渉に向けての準備は引継ぎリスト作成
  • リストは退職を伝える前からコツコツ作っていこう
  • 客観的な業務量を伝えることで、強引な退職の引き伸ばしを阻止
  • 引継ぎリスト作成により、退職までにやるべきことが明確になる
  • 残るスタッフにとってもリストは役に立つ
  • リストは詳細ではなく、概要でOK

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