【動物病院勤務のみんな】有休って取っていいんだ!知っておくべき制度

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。出産を機に一般企業の学術職へ転職しました。

もう労働環境の違いに愕然としました。今まで当たり前だと思ってたことが当たり前じゃない。本当は労働者ってここまで働きやすくなるんだと驚きました。

ブラックな職場を当たり前と思ってると、なかなかそこから抜け出せなくなってしまいます。

実際に、労働者を守るための制度がありますが、まず「知らない」とほとんど利用できません。個人経営の病院に至っては、昔のままアップデートされてなかったり、もうアウトな感じのとこもありますよね。かといって、行政のホームページや印刷物って本当に字ばっかりで分かりづらい。自分で調べるのはひたすら億劫です。

自分も、周囲の人も悩みが多かったのが『有休』。取りたいけど取りづらい。なかなか取れない。取れるような雰囲気じゃない。体調不良で休んだら有休あるのに欠勤にされた…いろいろな声を聞きますし、私もいろいろ思っていました。

結論。有休はとっていいんです!

今回は動物病院勤務のみんなが知っておくといい「有休について」をまとめてみました。(2022年5月現在のもの)今の職場は大丈夫?もしかしたら、これらを知ることで、もっと働きやすくなるかもしれません。

※私は法律の専門家ではありません。あくまで自分の労働環境改善のために自分で調べてまとめたものです。各職場で就業規則などで条件が変わることがあります。

動物病院ってなんでブラックなとこがあるの?

個人経営が多いから

個人的経営だと、あまりコンプライアンスが守られていないこともあります。労働基準法は知ってはいると思うのですが、年配の院長だと自身の経験から気にしない人もいるようです。

なんせ自分の時代は「24時間戦えますか?」の時代です。誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰ったら評価される時代です。もちろん無給。そのイメージがあるので、従業員にもそれを求めがちな傾向があります。

「そんなことで休むのか。俺の若い頃はな‥」

という感じです。アップデートがされていないことも理由かと思います。

慢性的な人手不足

仕事量に対して人手不足の病院も多々あります。激務なので、最近は臨床を離れる人が多く、募集をかけても集まりにくいと転職エージェントの方が言ってました。

すると自然と1人あたりの仕事量は増え、1人が休んだだけでも仕事が大変になるという悪循環です。

生命を扱う責任

動物病院の仕事はやはり生命がかかってますので、人の都合のいいようにはならないことも多いです。受付終了5分前で急患が来たらもう残業決定です。そこはどうしようもないことですが、それを理由にパワハラじみた指導やサービス残業を強いることはまた別の問題ですよね。

知っておきたい有給休暇

有休ってそもそもなに?

有給休暇は仕事を休んでもその日の分の給料が支給される休暇のことです。労働基準法により労働者の権利として定められています。正社員に限らず、条件を満たせばパートやアルバイトでも有休をとることができます。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法第39条

要するに、勤務開始から6ヶ月以上経っていて、かつ8割以上の出勤をしていれば誰でも有休はもらえるということです。条件を満たして有休申請したら「お前まだ診察も出てないのに有休欲しいだなんて生意気だ」これは立派なパワハラですね。

有休って取っていいの?

これは実際に以前勤めていた動物病院で、看護師さんが言ってた言葉です。勤務してから3年間有休を取ったことがないと言ってました。

上記の条件を満たせば取得する権利があります。有休取っていいんです!!

一度とった有休は2年間は有効です。その年に消化できなくても、1年は繰り越しできます。その後は消えていくことになります。私も今まで知らずに消えていった有休が何日あったでしょうか…。

ちなみに法定通りの有休付与日数は以下の通りになります。勤続年数が増えると有休日数も増えていくんですね。勤続年数が長くて、有休を使っていなければ最高で年間40日のお休みがあることになります。

出典:リーフレットシリーズ労基法39条

有休っていつ取ってもいいの?

基本的にはいつとってもいいのですが、例えば繁忙期など、人がいないと業務が回らないことが考えられる場合には「有休の時季を変更してください」と会社側が変える権利があります。

使用者は、前各項による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

労働基準法第39条第5項

これは、限定的な状況であり、単なる人手不足などでは認められず、同時期に複数のスタッフが有給休暇を申請したケースが想定されるそうです。例えばお正月にスタッフ全員が有休希望を出したとか。

人手不足を理由に有休を延期されていたら、新しい人が入るまで(さらにはその人が仕事ができるようになるまで)有休が取れないことにもなりかねません。聞いた話ですが、実際にそうやって有休を取らせてもらえない動物病院もあるそうです。

働き方改革関連法案により、2019年4月からは、従業員に年5日の有給休暇の取得をさせることが義務付けられました。1年間に5日以上の有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法第39条により、労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられます。(院長など経営者側が罰金ということです)

有休は必ず事前申請しないと取れない?

労働基準法によると、有給休暇は事前申請が原則だそうです。

例えば当日、急病で休んでしまったとしても、会社側はそれは有休として認めなくても違法ではないそうです。しかし、現実的には「やむを得ない事情」と判断し、事後申請でも有休扱いにしてくれる会社が多いそうです。その場合は就業規則にそのことが記載されている必要があるそうです。

私が以前勤めていた動物病院では、1ヶ月前の事前申請でないと欠勤扱いでした。つわりで1ヶ月休んだ時も、子供の熱で休んだ時も、有休はまだ全然あるのにひたすら欠勤でした。

ただ、病欠や事故、子供の熱などに柔軟に有休で対応してくれるところと、ひたすら欠勤扱いになるところでは、どちらが労働環境がいいかは明白ですね。だって突発的なことは事前申請は無理です。

有休取りたいって言ったら理由をしつこく聞かれた

企業は従業員からの有給休暇取得の請求を拒否することはできず、従業員が希望している日時に有給休暇を取得させなければなりません。また、労働基準法では、有給休暇を取得するための理由についても特に制限をしていないため、有給休暇取得の理由によって請求を拒否することもできません。

なのでしつこく理由を聞かれたら「私用です!」で十分なんです。私が個人的に思うのは、だいたい院長たちは理由をきいてどうするんでしょうね笑。

また有休をとったことで賃金の減額など不利益な扱いを受けることはしてはいけません。(労働基準法附則第136条)

みんなが有休を取れるような環境へ

誰か一人が有休を取っただけで仕事が回らないような職場は管理する院長の方に責任があります。誰が休んでも大丈夫なように日頃から業務を共有して回している職場の方が絶対に働きやすいし、何かあっても休みやすいですよね。

周りの雰囲気も重要で、休みを取るのをためらうような空気感だと「とっていいよ」とたとえ言われても難しいのが実情です。

最近では動物病院の求人情報に「有休消化率〇〇%!」などと記載されることもあります。逆に言えば、動物病院業界はそれが売り文句になるような労働条件なんですね。それが本当なのか、単なる建前なのか、就職や転職の際にはよく見極めることが大切です。

現在の職場がどうなのか、交渉して休みがとれそうなのか‥ただ、それで気まずくなるくらいなら労働条件のいい動物病院や企業に転職してしまった方がなにかと楽になります。

転職活動自体はノーリスクなので、水面下で始めてみてもいいかもしれません。

まとめ

労働者を守るためにいろいろな制度があります。ただ、現状それを知らないと利用できないことも事実です。自分を守るためにもまずは「知る」ことが大切だと痛感してます。

  • 勤務開始から6ヶ月以上(かつ8割以上の出勤)経っていれば誰でも有休はもらえる
  • 年に5日は取ることが義務付けられている(取らなきゃいけない!)
  • 有休の理由は伝える必要はない
  • 会社側には時季変更権はあるが有休取得を拒否することはできない
  • 職場や上司が変わりそうになければ転職もアリ

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