ぽこです。
獣医師を10年以上やっています。その間にいくつかの動物病院を渡り歩きましたが、「これは失敗したなあ。」と思うような病院もありました。また勤務している中で同僚から他院の話も色々聞いて、世の中にはヤバい「ブラック動物病院」が意外に多く存在することが分かりました。
動物病院への就職は面接と実習で決まることが多いです。中に入ってみて初めて「こんなはずじゃなかった」「聞いてた話と違う」となることは避けたいですよね。
今回はこんな人向け
- 動物病院に就職を考えている動物看護学生さん、受付さん、獣医学生さん
- 動物病院に転職を考えているみなさん
私自身の失敗経験から同僚たちとの情報も含めて、動物病院の就活ではここを見ろ!というポイントを5つ紹介したいと思います!
- 面接時に労働条件の説明があるか
- 院内の掃除、整理整頓ができているか
- 実習生への扱いはどうか
- スタッフ同士の会話の雰囲気
- スタッフの勤続年数
プラスα:院長以外のスタッフと話すべし!!
動物病院への就職の流れ
希望する動物病院のピックアップ
自分の希望する勤務条件で希望する動物病院をピックアップしましょう。今は転職サイトも業界特化されて検索もしやすくなっています。また、転職エージェントを使う場合はもっと簡単で、直接希望を伝えれば条件に合った求人をピックアップしてくれます。そしてそこから最終的に話を進める求人を絞っていきます。だいたい3〜5件くらいまで絞るとその後がやりやすいかと思います。
要注意!
- 常に求人が出ている病院
- 相場より給料が高い
- 急募!と記載がある
就職希望の連絡
希望する動物病院がいくつかピックアップできたら、連絡をしてみましょう。転職サイトからまとめてメールを送れることもありますし、直接メールや電話をする場合もあります。そこで具体的な流れを聞きましょう。
面接と実習
おそらく面接と実習をする日程を調整するかと思います。企業病院などでは、本社で面接した後、各グループ病院での実習がありました。個人病院では、当日面接してそのまま実習(たまに面接もなく、ちょっと話そうかー的な軽い感じもありますが)。実習の日程は1日だけのところから1週間程度までさまざまです。希望を聞いてくれるところもあります。
内定、就職
実習後に就職希望であれば連絡をします。2022年現在は都内では動物病院はほぼ人手不足と聞くので、よほどでない限り選択権は求職者側にあることがほとんどです。実際に以前の病院で何人も実習に来た方がいましたが、お断りの電話が多く、内定には至らなかったようでした。企業病院で新卒で複数人採用するとかであれば選考があることもあります。
もし、自分が実習や面接をして、どうも違うと思った場合には焦って決めずにまた、1から動物病院をピックアップして探していきましょう。
面接時、実習時の要チェックポイント!
面接時に労働条件の確認
特に給与や残業について面接時に十分な説明があるかどうかをチェックしましょう。
例えば、私の経験ですが、閉院後の残業代が毎日固定残業代としてついていましたが、1日の休憩時間が1〜3時間と幅があって、その間休憩が取れなかったとしても時間外がつかない場合などがありました。これを突っ込んで聞いた時に「まあ、分かりづらいから、おいおい説明しますよ」と言われて誤魔化されてしまいました。のちに説明なんて全くありません。手術などで休憩が取れなくても何もありませんでした。
しっかりとした病院は事前に労働条件の説明があります。このように少し説明を流したり、誤魔化したりする場合は実情と異なることがあるので要注意です。
院内の掃除、整理整頓ができているか
動物病院はとても汚れやすいです。もちろん患者さんや動物たちが入ってくるので毎日掃除をしています。毎日必ずやる床や壁以外の部分がポイントです。
例えば、受付の本の上の埃、診察室のこまごまとした外用薬の棚、機器の隙間、エアコンの吹き出し口など。患者さんの目につくところにもかかわらず、埃や毛が溜まっているようであれば掃除をする余裕がない様子が伺えます。もし、暇そうにしているのに汚い場合は衛生管理の状態が悪い可能性があります。
また、院長やスタッフの物の扱い方も見てみましょう。要注意なのは「やりっぱなし」。整理整頓ができていないと、作業効率の低下や物品の紛失などにつながります。
引き出しは開けっぱなしだし、すぐ下にゴミ箱があるのに机の上にゴミを放置、使ったものは片付けず…便や血液がついたものをそのままにして次の診察に行ったりする先生もいます。こういった獣医師の管理のもとだと、病院にもかかわらず衛生的な管理ができていないことが多いです。そしてその片付けや掃除にスタッフが追われて、重要な入院動物たちの管理にしっかりと手が届かない悪循環が生じます。
実習生への扱いはどうか
忙しいからといって実習生を放置したり、診察や業務を見せずに掃除やカルテ整理などの雑務要員として使ったりする病院は要注意です。
確かに忙しくて人手が足りない時に少しお手伝いをお願いすることはあります。でも半日裏の部屋でチラシに病院のハンコを押したり、掃除をしたりするだけだったら、動物病院の仕事の実習と言えないですよね?忙しい中でもスタッフが働きながら説明してくれたり、色々見せてくれる病院はいい病院のことが多いです。
スタッフ同士の会話の雰囲気
何気ないスタッフ同士の会話の雰囲気にも、その病院の人間関係が出ます。ちょっとした時間にする雑談や業務連絡でも楽しそうにしているところは良好な人間関係が期待できます。
一方、険しい顔で(緊急時や忙しい時になったりもしますが…)必要以上のことを喋らなかったり、院長の指示にスタッフが返事をしていなかったりするとちょっと怪しいかもしれません。動物病院は少人数の閉鎖環境です。人間関係は日々仕事をする上でめちゃくちゃ重要なのでどんな人がいるのか、一緒に働くとしたらどうかと考えながら実習してみてください。
スタッフの勤続年数
スタッフの勤続年数も聞いておきましょう。
- スタッフの勤続年数が1−2年の人ばかり
- 勤続年数が長い人と浅い人だけで中間がいない
上記の場合は人が長く勤めず、定着しない=労働環境が悪い可能性があります。勤続年数が長い人と浅い人がいる場合は、何かトラブルがあって下が育っていない可能性があり、これも要注意です。難易度は高いですが、その病院での離職率と離職理由などが聞けるととても参考になります。
院長以外のスタッフと話すべし!
院長は猫をかぶっている場合があります。実習時は極めて丁寧で、スタッフにも優しく接していたのに、就職して初めて本性が出てくる場合も多いです。なので院長以外のスタッフと話をすることを強くお勧めします。スタッフもあまり悪いことは言わないと思いますが、院長よりはスタッフの証言の方が信憑性があります!
病院の忙しさは、実習日だけでは判断しない方がベターです。日によって患者さんのばらつきがあることはよくあることです。あと、なぜか実習生が来ると「暇になる」ことがあるんですよね。
お昼休みなどリラックスした際にでも聞いてみてください。その病院について色々聞くことは「前向きに就職を考えている」ことです。何か事情がない限り、嫌がられたりはしないのでどんどんスタッフとコミュニケーションをとってみましょう。
- 普段の忙しさは今日(実習日)と比べてどうか
- 休日は何をしているか?(要するに休めているか)
- 大体毎日何時ごろ帰れるか
- 有休は取れるのか
- 働きやすい環境かどうか
まとめ
ブラック動物病院かどうか、実習や面接で判断できずに失敗しました。今から思うとあれは危険信号だったなと思うところをまとめてみました。参考になれば嬉しいです。
- 面接時に労働条件の説明がきちんとしてくれるかチェック
- 院内の掃除、整理整頓ができているかで病院の衛生管理、医療品質が見える
- 実習生への扱いがちゃんと丁寧なところを選ぼう
- スタッフ同士の会話の雰囲気は実情が垣間見えるチャンス
- スタッフの勤続年数が浅い人ばかりの病院は要注意
プラスα:院長以外のスタッフと話すべし!!
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