動物病院の辞め方。退職時の引き止めをスムーズにかわす方法。

キャリア・転職

ぽこです。

獣医師を10年以上やっています。その間に何回か転職をしてきました。転職の際にどうしても避けられないのが、上司に退職の意思表示をすることです。これ何回やっても気まずいですよね。

そして動物病院退職のあるあるで、退職の引き止め、引き伸ばし!

あの手この手を使って、退職を阻止したり、引き伸ばしたりしてきます。実際に実習生で、転職先を探している獣医師に話を聞いたところ、

実習獣医師
実習獣医師

今の病院を退職するまで、あと1年半は無理と言われた。

いや、大変ですよね。

実際に1年以上前に退職を言わなければならないなんてことはありません。そこは従業員がフォローすることではないですよね。でもこんなことがまかり通っているのが動物病院業界の恐ろしいところです。その背景には「人がいない」と人手不足や、「退職○ヶ月前に伝えること」という就業規則を盾に取っている場合が多いです。

今回は私がやった、退職の引き止め、引き伸ばしをスムーズにかわす方法を紹介します。

退職の引き止めを阻止するには、納得できる退職理由と客観的な引継ぎリスト・スケジュール

動物病院を辞めたいと思うとき

動物病院を辞めたいと思うとき、その理由は大きく分けて次のようなものがあります。

スキルアップ、キャリアチェンジ

今の病院ではこれ以上勉強することがないと感じて、自身のスキルアップのために転職をすること。実際、個人病院で3年程度やっていると、大体の仕事の流れもわかり、その病院で学べることは頭打ち、もう毎日繰り返していくだけになりがちです。より新しい技術や専門性などを身につけたいと思うようになります。また、自身で開業するために離職する獣医師もいます。

また、キャリアを変えて、新しい分野に挑戦したいときです。このまま勤務医でいいのか、社会人としてもっとビジネスを学びたい、やりたいことができた…理由はたくさんあります。

ライフステージの変化、転居

結婚や出産、介護などの家庭の状況、転居など。このまま仕事を続けたいと思っていても、やむを得ない場合も多いです。

人間関係や職場環境の改善のため

動物病院を辞めたい理由の大部分はこれだと思います。長時間労働、きつい、危険、休みも取れない、福利厚生も形だけ…それに加えて、少人数の閉鎖環境になりますので、人間関係が一度崩れてしまうと仕事に行くことすら苦痛になりますよね。命を扱う仕事なので時には厳しく指導されることもあります。しかし、それが度を超えてパワハラになっているケーズも多々、見聞きしました。

本当のことを言えない場合は…

具体的な目標が決まってきたり、転居などの家庭の事情であれば退職理由として伝えることもできますが、人間関係や職場環境が原因だとすると、なかなか言いづらいのが事実です。

そういった場合は当たり障りのない理由をつけて退職の意を伝えることになります。院長によっては、たとえ家庭の事情と言っても「そんなことまで聞くんかい!」ってくらい根掘り葉掘り事情聴取をする人もいます。そこで少しでも揺らいでしまうと退職届を握りつぶされてしまいかねません。しっかり準備をして臨みましょう。

退職までの流れ

一般的には退職までの一連の流れは以下のようになります。

  1. 退職したい気持ちは変わりないかを確認する
  2. 転職活動、いつまでに転職したいかを考えながら。
  3. 内定が出たら、だいたいの退職日を決める。
  4. 引継ぎができる常識的な余裕を持って退職の意向を伝える
  5. 業務の引き継ぎをしながら退職日を迎える。

もし、今ブラック動物病院に勤めていて、心身ともに疲れ切っているのであればこの限りではありません。一刻も早く逃げましょう。その場合は自身で退職を伝える方法以外に

  • 退職代行業者を使う
  • 内容証明郵便で退職届を送る

正直に自分が一番大事です。今まで心を病んでしまった同僚をたくさん見てきました。どれだけ勤務先に滅私奉公しても、心身を壊してしまっても、勤務先はこの先の人生なんて面倒見てくれません。切り捨てておしまいです。後のことは考えずにまずは自分の身を守ってください。

退職の引き伸ばしをスムーズにかわす対策

退職を伝えても、それをスムーズに受け入れてくれることはほぼほぼないですよね。大体は引き止め、退職の引き伸ばしが発生して、それが厄介です。そこを交渉してスムーズにかわすため、私は以下の対策をしました。

退職理由は相手が「それなら仕方ない」と思えるもの

伝える退職理由も準備が必要です。どんなに人間関係が悪くても「院長が嫌すぎて辞めたいんです」とはなかなか言いづらいですよね。(たまに言う人もいますが笑)

スキルアップを理由にする場合は「どう頑張っても今の動物病院ではできないこと」を理由にしましょう。もし中途半端に「もっと勉強したいから」とかだと「うちの病院でもできるじゃないか!」となり、引き止める材料になってしまいます。

労働環境もそうです。お金や時間を理由にすると「じゃあ給料上げてやるよ。早く帰っていいよ。」みたいなことになります。

それで希望が叶って自分が働きやすくなるなら退職しなくても済むかもしれません。でも本当に辞めたい時は、相手が「それなら仕方ない」と思える理由を見つけましょう。たとえば

  • 開業したい
  • 循環器の勉強をしたいので専門病院で働きたい
  • 親の介護が必要になった
  • 小動物臨床ではなく、ビジネスを学びたいのでキャリアチェンジしたい
  • 家庭の事情で引っ越しをすることになった

などなど。ただ、あまりにも嘘で作るのではなく、自分の希望を軸にして前向きな理由にすると、納得されやすく、問い詰められても困らないのでおすすめです。

客観的な引継ぎ必要期間を提示する

自分の担当患者のリストを簡単なものでいいので作成しておくと便利です。引継ぎにはもちろん、退職交渉にも使えます。それを見ると客観的に引継ぎにどれくらいの期間が必要か分かりますよね。

ちなみに私の例だとだいたい診療件数15〜25件/日、ひと月に300件程度でした。定期的な診察が必要な引継ぎ件数としては150件程度、1ヶ月〜2ヶ月で担当医の引継ぎと患者さんへのご挨拶を終わることができました。

無期雇用労働者の「退職の自由」は民法上規定があるため、病院側は病院の都合で拒否できないことになっています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法627条1項

就業規則によって退職までに長い期間必要とされている病院もありますが、あまりにも常識を外れるような長い予告期間が設けられている場合は上記民法で定められている「退職の自由」を制限し、無効と判断される場合が多いそうです。

就業規則で6ヶ月前に言わないといけないと言われたが…

私の実体験です。就業規則上、獣医師は責任があり、引き継ぎの期間も考えると6ヶ月は辞められないと言われました。事前に引継ぎ患者リストを作っており、どうやっても2ヶ月もあれば引継ぎは終わる数でした。なので上記の「退職の自由」を伝え、客観的に6ヶ月は必要ないことを説明し、退職交渉をしたら約2ヶ月で退職することができました。

①就業規則で決まっていても半年〜1年といった常識を外れた長期の予告期間はあくまで病院側の「お願い」になることが多く、法律上は2週間前で問題ないということ。

②患者さんに迷惑をかけないように自分の業務を引継ぐためにはどれくらいの期間が必要か客観的にわかるようにすること。

以上の2点を伝えて退職交渉をしたらスムーズに進みました。

次の就職先が決まっている、転居があるなどと期限を伝える

あまりにも難航するようであれば「次の就職先が決まっている」「引っ越しをしなければいけない」などと期限を伝えてみましょう。転職先が決まっていても現病院でそれを伝えるのはNGです。聞いた話ですが、「うちの獣医を取りやがって!!!」と、実際に電話をかけてクレームを入れた院長がいるそうです。

院長から、人がいないから後任が入るまで辞められないよ。規則通り6ヶ月は続けなさい。と言われたのですが…

そこは経営者が管理することなので、従業員である私たちが人手不足に関して我慢することはありません。人がいなければいないで何とかなります。今までそれを放置してきたのは院長です。

ぽこ「今までずっと求人出してきて入らないんだから、待ってる必要あるんですか?大学にまで人を探しに行っても入らないじゃないですか。」

院長
院長

それは、これからもっと積極的に採用活動をするんだよ!

ぽこ「じゃあ6ヶ月待って人が入らなかったらどうするんですか?そこで辞めていいんですね?」

院長
院長

それは…辞めなければいいんだよ、うん。

まあ、こんな不毛なやり取りをしました。特に都内では動物病院が多く、新卒でもブランクがあっても未経験でも人手が欲しいという状況です。病院の言いなりになって仕事を続けたところで新たな人が入る保証もありません。「人がいない」ことを理由にするのは管理職の責任転嫁だと個人的には思っています。人手が足りないのは従業員のせいではなく、経営者である院長のせいです。そう割り切って話を進めましょう。

まとめ

動物病院を辞める際にはまだまだ、かなり強引な引き止め、引き伸ばしがあります。客観的な立場から「それはおかしい。こう言う理由で私はこの日で辞めたい」と強い意志を持って提示しましょう。そして病院側の事情もあるので双方が納得するところまで交渉をしてください。なかには言葉が通じず「そんなん知らねえよ!決まりは決まりだ!!」と話にならない院長もいます。そんな場合は退職代行などの力を借りましょう。

退職の引き止めを阻止するには、納得できる退職理由と客観的な引継ぎリスト・スケジュール

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